青森県以外にも、アートで町おこしをしている地域が、全国各地にある。
そんななかから、アートテラー・とに〜さんも注目するアートスポットを厳選して紹介。
アートなホテルや、絶景の美術館など、アートファンでなくても、
一度は訪れてみたいところばかりだ。夏休みの旅先候補に加えてみては?
Photos:KAZUSHIGE MORI(人物) Text:SHINSUKE UMENAKA 2023.5.15
財団を設立し、地元・前橋市の活性化に取り組んできたアイウェアブランド「JINS」の田中仁社長が、廃業し、取り壊しの危機に瀕していた創業300年の白井屋旅館を新たな食文化とアートの発信源として再生。それが2020年12月に誕生した白井屋ホテルだ。
建築家の藤本壮介が設計したホテルには、ローレンス・ウィナーやリアム・ギリック、杉本博司、ライアン・ガンダー、白川昌生、レアンドロ・エルリッヒら、世界的なアーティストの作品が館内随所に飾られている。また、ジャスパー・モリソン、ミケーレ・デ・ルッキ、レアンドロ・エルリッヒ、藤本壮介がデザインしたスペシャルルーム4室も完備しており、滞在中はアートの世界にどっぷりと浸ることができるのも特徴となっている。
さらに、群馬出身のシェフ、片山ひろが手がけるメインダイニング「白井屋ザ・レストラン」や、東京・青山「EMME」のオーナーパティシエ、延命寺美也がプロデュースするフルーツタルト専門店「白井屋ザ・パティスリー」など、美食の発信地としても注目を集める。
TEL:027-231-4618(7:00〜22:00)
年中無休
https://www.shiroiya.com/
大阪中之島美術館の建設計画が立ち上がったのは1983年のこと。紆余曲折を経て、2022年2月2日に開館した同美術館は、「大阪と世界の近代・現代美術とデザイン」をテーマに洋画や日本画、海外の近代絵画、現代美術、版画、写真、彫刻、デザインなど6000点以上のアート作品を所蔵している。また、大阪出身の画家、佐伯祐三や吉原治良らの作品も有する。
現在、開館1周年記念特別展として、「佐伯祐三 ― 自画像としての風景」を6月25日まで、同じく開館1周年記念展として、「デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン」を6月18日まで開催中。
TEL:06-6479-0550(10:00〜17:30)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
開場時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
https://nakka-art.jp/
国内外の現代アート作品を約8000点所蔵している国立国際美術館は、大阪中之島美術館に隣接している。1977年の開館当初は吹田市万博記念公園にあったが、2004年に中之島に移転し、リニューアルオープンした。あべのハルカスの設計も担当した、アルゼンチンの建築家シーザー・ペリが手がける入口のモニュメントがひと際、目を引く。実は作品のすべてが地下にある「完全地下型」の美術館。ポール・セザンヌ、パブロ・ピカソ、マックス・エルンスト、アンディ・ウォーホル、藤田嗣治、国吉康雄らの作品を所蔵している。
5月21日まで特別展「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」が開催中で、6月24日からは、アンドロ・ヴェクア、竹村京ら現代美術作家8名による「ホーム」をテーマにした作品を展示する特別展「ホーム・スイート・ホーム」が開催予定。
TEL:06-6447-4680
定休日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替期間、年末年始
開館時間:10:00〜17:00(金・土は20:00まで/入場は30分前まで)
https://www.artmuseums.go.jp/
2017年に富山県立近代美術館のコレクションを引き継ぐ形で誕生した富山県美術館は水辺に建つ美しい美術館。建築家、内藤廣が設計した富山県の木材やアルミを使ったガラス張りの外観が特徴で、屋上には遊具が並ぶ庭園も完備されている。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、パブロ・ピカソ、ジョアン・ミロ、ジャクスン・ポロック、フランシス・ベーコン、棟方志功らの作品を所蔵しており、ポスターや椅子のコレクションにも定評がある。
5月21日まで開館5周年記念の企画展「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」が開催中で、6月3日からは、「『前衛』写真の精神:なんでもないものの変容―瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」が開催予定。
TEL:076-431-2711
定休日:水曜日(祝日を除く)、祝日の翌日、年末年始
開館時間:9:30〜18:00(入場は17:30まで)
https://tad-toyama.jp/
TEL:076-461-3100
定休日:第1・第3水曜日、年末年始
開館時間:9:30〜18:00
(金・土は20:00まで、入場は閉場の30分前まで)
https://toyama-glass-art-museum.jp/
富山市は、「富山の売薬」に由来する、薬びんの製造が盛んだった街。市内には、ガラス作家を育成する富山ガラス造形研究所や、作家の制作活動を支援する富山ガラス工房などがあり、現代ガラス芸術に力を入れている。そんなガラス芸術が盛んな富山を象徴するミュージアムが富山市ガラス美術館だ。
建築家・隈研吾が設計を手掛けた複合施設「TOYAMAキラリ」内にあり、世界的に有名なガラス彫刻家デイル・チフーリが手掛けたインスタレーション「グラス・アート・ガーデン」が楽しめるほか、ガラス美術に気軽に触れられる空間となっている。
善光寺に隣接する城山公園内に位置する長野県立美術館は、1966年に財団法人信濃美術館として発足。その後、長野県信濃美術館としての活動を経て、2021年に本館が新築され長野県立美術館に改称した。長野県ゆかりの芸術家の作品や、信州の自然を描いた作品を中心に所蔵している。
また建物は、城山公園と小高い丘の間に、建物を埋め込むように配置された「ランドスケープ・ミュージアム」で、周囲の風景に溶け込んだ構造が特徴的だ。そのほか併設の東山魁夷館には、日本画家・東山魁夷の作品と関係図書を所蔵・公開している。
TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
定休日:水曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
開館時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
https://nagano.art.museum/