2日目は早朝からカナディアンカヌーに挑戦する予定を立てた。旭川の市街地から車で北上すると朱鞠内湖(しゅまりないこ)という湖がある。1943年に雨竜第一ダムの建設にともなってつくられた人造の湖で、東京ディズニーランド30個分もの広さがあるという。1974年に一帯が道立自然公園に指定されたこともあり、周辺には原生林が残り、また幻の淡水魚といわれる「イトウ」も生息するなど、豊かな自然が残っているというのだ。
なお冬の厳しい寒さも有名で気象庁の公式記録ではないが、1978年2月17日にマイナス41.2度を記録したこともあるそうだ。
動植物の保全のため、道路などを整備していないエリアも多いが、カヌーなら比較的自由に湖を移動することができる。そのためカヌーの聖地とも呼ばれていると聞く。イトウも釣ってみたいし、カヌーもしてみたい。朝日が昇るタイミングがとくに幻想的だと聞き、早朝に訪問することにした。
日の出の時間を調べると、AM4:00前後だった。そこで街が静まり返ったAM2:30にホテルを発つ。旭川鷹栖ICから道央自動車道に乗り、北上する。終着の士別剣淵ICから、40分ほど北西に進むと、徐々に辺りが明るくなってきた。日の出が近づくころ、ようやく朱鞠内湖が見えてきた。湖の駐車場に車を止めると、イトウを狙い、竿を出す釣り人がちらほら。邪魔にならないよう、カヌーを準備し、そっと湖面に浮かべた。水音で魚が逃げないよう慎重に乗り込み、オールで岸を蹴ると、滑るようにカヌーは進みはじめた。
風もなく、カヌーには最高のコンディション。朝日が昇るタイミングには間に合わなかったが、鏡のような湖面と目線の先に広がる白樺の林が眩しい。
夏の旅では水辺のアクティビティも増えるだろう。したがって、サンダルを用意しておきたい。ビーチサンダルは鼻緒の摩擦で皮がめくれてしまうこともあり、怪我もしやすい。コロンビアの「ココペリ キャンプ スライド」のようなクッション性に優れたEVA素材のサンダルや、自転車乗りのためのブランドnarifuriとリカバリーサンダルブランド「rig」によるコラボモデル「moja-NF」、そしてキーンのハイブリッドサンダル「ドリフト クリーク エイチツー」などは、軽量で実用的だ。
朱鞠内湖は東京ディズニーランド30個分の広さで、大小13の島が浮かんでいる。また、フィヨルドのような入り組んだ地形になっており、どこをカヌーで進んでも飽きさせない。
最初はぎこちなかったオールの使い方も徐々に慣れてきたが、体幹でバランスを取りながら漕ぐため、想像以上に疲れる。そこで、上陸できる島を見つけ、しばしコーヒーブレイク。香ばしい匂いが森に立ち込め、緊張がほぐれていく。至福の時間とはまさにこのこと。
朱鞠内湖には、イトウ、サクラマス、アメマスといったトラウトが生息している。5月にシーズンがはじまり、11月ごろまでは釣ることができる。そして冬になれば、湖面が氷に閉ざされ、ワカサギ釣りのシーズンになる。
せっかく旭川まできたのだからと、ルアーを投げるが、ビギナーズラックはやってこない。結局、自分の竿にはイトウは掛からなかったが、目の前で釣り上げるアングラーに遭遇した。静かな湖畔に魚が暴れる水音が響くと、周囲の釣り人がサポートしようと集まってくる。そして、大きな魚影が姿を現すと、自然と拍手が沸き起こるのだ。自分で釣るのは、次に訪れたときの楽しみとして、とっておこう。