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タミヤの戦車プラモ「1/35」シリーズのおすすめキット&作品集
2021.11.02
初心者向けに「ミリタリースケールモデル(戦車プラモ)」の魅力を伝える本連載。今回は、初心者でもつくりやすく、定番人気を誇るタミヤの1/35シリーズをフォーカス!
東京・荻窪にあるホビーショップ「キヤホビー」にて、長年プラモデル担当として勤務し、戦車プラモデルコンテスト「キヤコン」の主宰でもある五嶋拓成さんに、今オススメのタミヤ1/35シリーズのキットを教えてもらいました。モデラーたちの渾身の作例も、ぜひご覧ください!
▶第1弾:初心者向けキット・道具
▶第2弾:1日モデリングに挑戦
▶第3弾:モデラーたちの作品集
Edit&Text/Takunari Goshima
初心者には1/35シリーズの新製品がオススメ
ミリタリーモデルブームの基礎をつくった「タミヤ 1/35 ミリタリー ミニチュア シリーズ(以下タミヤ 1/35シリーズ)」。50年以上たった今でもミリタリーモデルのトップであることは間違いありません。
1/35スケールというのは、タミヤがはじめて世界に浸透させたスケールのこと。スケールモデルとしてコレクションするにも単体でディスプレイするのにも丁度良い大きさで、現在、数ある戦車モデルのなかでも、最も標準的でポピュラーなスケールになっています。
タミヤ1/35シリーズをオススメする理由はそれだけではありません。タミヤの魅力は、精密さやフォルムや完成した時の雰囲気もさることながら、つくりやすさも重視されているところ。しかも、常に進化を遂げているんです。
初期に発売されていたモデルで、今現在も販売され続けているロングセラー商品もあります。クオリティーは今も劣らないので、好みのアイテムがあれば手にするのも良いでしょう。
しかし、ミリタリー模型づくりが初めてで、特にこれといって欲しいアイテムがなく、とにかくミリタリーモデリングを体験したいという人や初心者には、まずは比較的最近発売された新製品(新金型)の商品をオススメしたいです。
タミヤ1/35シリーズ新金型のオススメキット
今回、初心者や久々にミリタリーモデルを組み立てたい、という人に特にオススメしたいのがタミヤⅣ号戦車、ケッテンクラート。2021年7月に発売されたばかりのタミヤ新作キットです。
タミヤ1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.378「ドイツIV号戦車G型 初期生産車」
第二次世界大戦中、ドイツ軍機甲部隊の中核となった戦車。大戦中A型~J型までが生産され、初の長砲身タイプとなったG型を、今回モデル化。今まで敵戦車に歯が立たなかった短砲身タイプから長砲身となり、戦車兵が「勲章の代わりにください」と、いったとかいわないとか。
こちらのG型は、イギリス軍からは「マーク4スペシャル」と呼ばれ恐れられていました。長砲身タイプH型、J型は、同社より既にキット化されていて、一部流用パーツもありますが、ほとんどが新パーツで構成されています。
完成形はこのような形(下写真手前)になり、戦車に積める土のうやジェリカンなどのアクセサリーパーツ、戦車兵の人形も付属。
特に足回りのキャタピラはベルト式や転輪との一体式から部分連結キャタピラになり、より精密に、しかも組み立てやすくなっています。
◆「ドイツIV号戦車G型」の作品
さて、こちらのキットをモデラーが塗装し、手を加えて仕上げるとどうなるのかというと……。東京・荻窪の模型ショップ「キヤホビー」にて、2021年に行われた模型コンテスト(通称:キヤコン)に参加したⅣ号G型戦車の作品がコチラ!
サビや土汚れの乾いた質感、地面のキャタピラ跡までリアルに再現されていて、今にも砂埃が舞ってきそう。
皆さんも是非キットを完成させて、好みの塗装や世界観づくりといった次のステップ、ミリタリースケールモデルの深淵なる世界に進んでもらいたいです。
その他初心者にオススメの1/35シリーズ
タミヤⅣ号戦車、ケッテンクラート以外にもおすすめモデルをピックアップしてみました。初心者でもストレスなく簡単に組み立てられ、ミリタリーモデルの魅力もしっかりと味わえるモデルばかりです!
オススメ① タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.374「ドイツIV号戦車F型」
こちらは、2020年12月に発売されたタミヤ1/35スケール374番目の最新作。第二次大戦間、「軍馬」と渾名され、8500輌も生産された当時ドイツの主力戦車です。
短砲身タイプは、同社からすでにD型が発売されていましたが、こちらは後年発売されたH・J型の一部パーツを使った新キットで、よりフォルムも正確になっています。旧キットのD型とつくり比べ、キットの進化を楽しむのも面白いですよ。
こちらのキットには2種のデカールが付属(写真右)していますが、さらにディテールアップしたい場合は、サードパーティ製のデカールセット(写真左)を使用するのもオススメです。「トワイライトモデル1/35 ドイツ IV号戦車G型 初期生産車+IV号戦車F型 デカールセット」には9種類のデカールが付属しています。
◆「ドイツIV号戦車F型」の作品
こちらは第13回ミニキヤコンに参加したジオラマ作品。ロシア戦線でのドイツIV号戦車F型を再現しており、背景の茅葺き民家や草原までつくりこまれた力作です。
オススメ② タミヤ1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.377「ドイツSd.Kfz.2 ケッテンクラート中期型」
もう一つのオススメキットはこちら。第二次大戦中、ドイツ軍が空挺部隊用に開発した小型ハーフトラックで、オートバイのハンドルで操作する珍しい車輌です。実際には、ドイツ軍が空挺作戦をあまり行わなかったために、冬季のロシア戦線で活躍することとなりました。
映画「プライベート・ライアン」にも登場し、ミリタリーファン以外にも人気の高い車輌。タミヤは、一度初期型を40年程前にモデル化していますが、こちらは2021年5 月に発売された全く新しいキットになります。
◆「ドイツSd.Kfz.2 ケッテンクラート中期型」の作品
ロシアにて、ぬかるみからの脱出を試みるトラックを助けるケッテンクラートのワンシーンを再現。当時の白黒写真風に情景を製作。こうした色を楽しめるのも、プラ模型ならではの醍醐味です。
筆者は店舗に立っている人間ですが、コロナ禍で「久々にミリタリーモデルを作りたくなった」という声を本当にたくさん聞くようになりました。また、模型初心者の参加も確実に増えていると思います。
ミリタリースケールモデルの製作は本当に楽しく、奥が深い。少しでも興味のある方は、重く考えず、まずは軽い気持ちで始めてみてはいかがでしょう。
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▶第1弾:初心者向けキット・道具
▶第2弾:1日モデリングに挑戦
▶第3弾:モデラーたちの作品集
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「キヤコン」主宰
五嶋拓成
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東京・荻窪にあるホビーショップ『キヤホビー』にて、長年プラモデル担当として勤務しながら模型誌作例、イラストライターとしても活躍。ミリタリーモデラーの中では、知る人ぞしる戦車プラモデルコンテスト「キヤコン」の主宰でもある。