クルマ選びにはその人のセンスはもちろん、ライフスタイルも色濃くあらわれる。普段は都市生活の足として使いながら、週末は気の合う仲間や家族と山や海、もしくは1人で自然を求めて気の向くままに出かける。そんな趣味人たちの愛車を拝見した。いかにもアメリカンなピックアップトラックに、ヤングタイマーなステーションワゴン、そしてツウ好みなレンジローバー。三者三様のクルマ選びをご覧あれ。


メカニクスウェア ジャパン セールス
東福寺智さん
世界中のあらゆるシーンで使用されるトップグローブブランド〈MECHANIX WEAR(メカニクスウェア)〉でセールスを担当。アメリカンカルチャーが大好きで、歴代アメ車を乗り継いできたほか、ヴィンテージバイクも3台所有。
IG:mechanixwear_jp

ピックアップトラックはその大きさや燃費などの問題から日本で見かけることは少ないが、アメリカでは新車販売ランキングでも常に上位を独占するほど人気の車種。これまでアメ車ばかりを乗り継いできた東福寺さんの愛車は、そんなピックアップでも特に“アメ車らしさ”が色濃く残る’79年製のシボレー K10。‘60年代の初代登場以来、長らくアメリカを代表するピックアップトラックとして親しまれてきた名車だ。いかにもアメリカの広大な田舎道をトコトコと走っていそうな、古き良き雰囲気が堪らない。

「バイクも余裕で積めるフルサイズで、昔ながらのパワフルなドロドロ系V8エンジン、そして悪路でも安心な4輪駆動。趣味のキャンプやサーフィンに行くのにもぴったりで、乗っていて本当に楽しい。自分のライフスタイルにはこれ以上ないクルマ」(東福寺さん)
もちろん、45年以上も前のクルマなので、小まめなメンテナンスや愛車との対話は必須だが、それもまた楽しいと言う。まさに、クルマとの付き合い方を考えるうえでも最高のお手本だ。





ローステッドコーヒー ブランドマネージャー
三木 穣さん
自家焙煎による鮮度の高い豆を使用したロースタリー併設のコーヒーショップ〈Roasted COFFEE LABORATORY(ローステッドコーヒーラボラトリー)〉ブランドマネージャー。アメリカンカルチャーを愛し、サーフィンが趣味。
IG:roasted_coffeelaboratory

現在、高感度な若い世代の間でもブームになっているのが、「ヤングタイマー」と言われる80〜90年代のクルマたち。クラシカルまでいかないネオ・クラシカルな佇まいが今の時代にも新鮮に映り、再注目されている。ボルボ 940はそんなヤングタイマーを代表する人気車種。角張った四角いフォルムや、完成されたレトロスペクティブなデザインに魅力を感じる人は今なお多い。三木さんもそんな940に魅了されたひとり。

「サーフィンをやっているので、サーフボードを中積みできるクルマを探していて、行き着いたのがこのクルマ。決して洗練されているワケではないけど、四角いフォルムが絶妙にダサカッコよくて使い勝手も抜群なんです」(三木さん)
80〜90年代のアメリカのサーファーたちが、こぞってこのワゴン型のボルボに乗っていたという当時の背景も、アメリカンカルチャー好きな三木さんにはグッときたそう。ステーションワゴンは、現在では絶滅危惧種。でも、ヤングタイマーなステーションワゴンは、スタイルと趣味を両立したい趣味人にとって絶好の1台なのだ。




Hag-Le店主
ハナダヨシロウさん
東京・世田谷の住宅街にぽつんと佇む隠れ家的古着屋さん「Hag-LE(ハグレ)」店主。アメリカから直接買い付けてきた良質な古着から、ヴィンテージと相性の良い新品まで巧みに取り揃えている。
IG:hagle_vintage

レンジローバーといえば、1970年の初代登場以来、現在でも愛され続けている名車。「砂漠のロールスロイス」とも評される高いオフロード性能は、初代から続く伝統だ。進化を遂げた現行のレンジローバーはラグジュアリーなイメージもあるが、ハナダさんが乗るのは‘94〜’02まで発売された2代目となるモデル。クルマ好きの間では「セカンド・レンジ」と呼ばれるツウ好みの1台だ。

「このクルマを見た瞬間に自分が乗っているイメージがパッと湧いたのが一番の理由。ヴィンテージのデニムやGジャンも実はセカンドに名作が多いのですが、そういう古着屋ならではの意識が働いたのもあるかも」(ハナダさん)
30周年記念の限定カラーであるウィンブルドングリーンも、この時代ならではの空気感を感じさせる。ここ数年、最初の選択肢として挙げられることが多いSUVだが、そのぶん街を走らせれば被ることも多く、便利だけど個性を出しづらい。どうせ乗るなら、こんな武骨だけどちょっと気の抜けたSUVっていうのも新鮮で憧れる。


