昭和54年に街の小さなホルモン焼き店としてスタートした「小川亭　とらちゃん」。上質な肉へのこだわりで、瞬く間に鶴橋屈指の人気焼肉店へと成長した。現在は、指定生産農家さんが育てた生後28カ月以上の雌牛をさらにオーナーが厳選し、小川亭認定牛として提供している。その肉質を堪能するなら、「特撰サーロインの焼きしゃぶ2480円（1枚）」がおすすめ。やわらかく適度にサシの入った牛肉は口溶けがよく、何枚でもペロリと食べられる。また、ランチなら1日10食限定で提供されている「万葉牛イチボ丼（1780円）」も捨てがたい。万葉牛の希少部位であるイチボをタタキにした丼で、卵黄とのマリアージュは旅の思い出になるはず。

路地が縦横無尽に走り、迷宮のような鶴橋駅前のアーケード商店街を抜ける。閑静な住宅街まで来ると、見えてくるのが本場の韓国料理をリーズナブルに楽しめるサルビアだ。店内にはアーティストの作品が飾られ、洒落たカフェのよう。ダッカンマリやプテチゲといった定番の韓国料理ももちろん旨いが、ひとりで訪れるならランチの定食がおすすめだ。12種類と種類が豊富でお得に楽しめる。イチオシは「豚カルビチム（1650円）」。チムとは煮込み料理のこと。肉厚なスペアリブは、身が簡単に解けるまで、柔らかく煮込まれていて、奥行きを感じる旨味に包まれている。隠し味に日本の味噌を使っているというが、かといって和の味付けでない。あくまで本場テイストで箸が進む。

東京で冷麺を看板にしているお店なんて見たことがない。人気メニューで冷麺があったとしても、メインは焼き肉だろう。しかし、鶴橋には冷麺がフラッグメニューのお店がある。それが冷麺館だ。それほど冷麺がソウルフードとして根付いているのだ。しかも冷麺館では、そば粉を使った自家製麺を店内で手打ちしている。つるんとした喉越しで、コシがまるで違う。そして牛骨と鶏ガラを使ったコクのあるスープはしっかりと冷えていて、飲み干したくなる旨さである。おすすめは「ビビンバ定食B（1450円）」。冷麺にビビンバ（小）がついたお得なセットランチでボリューム満点。お昼にラーメン、飲んだあとの締めにラーメンは経験あるが、鶴橋に来たなら、お昼に冷麺、飲んだあとの締めに冷麺もあり。そう思えるはずだ。

鶴橋の駅前商店街には、ホルモンや韓国食材が手に入るお店が並んでいる。韓国旅行に来たような錯覚に陥るほどで、それらを巡るのも楽しいが、お土産のキムチを手に入れるなら豊田商店が外せない。豊田商店は鶴橋で50年以上営業を続けるキムチ専門店。黄色いユニフォームに赤いエプロンを身につけた店員さんが目印だ。店頭には色鮮やかな各種キムチが並ぶ。オモニがつくる本場のキムチは厳選素材が味の決め手だという。韓国産の最高級トウガラシと青森県産のニンニクを使用し、白菜キムチなら愛知や長野の最高級品のみを使用している。定番の白菜キムチのほか、チャンジャや、まかない明太子も人気。ぜひ、お土産に買って帰りたい。ちなみに店頭に自動販売機もあるので、万が一、営業時間に間に合わなかったら、そちらでも一部商品は購入することができる。