社会人ともなると、友だちと予定を合わせて旅行するのは、けっこう大変だ。しかも行きたい場所や、やりたいこととか、意見がまとまるとは限らない。でも、食べ物に旬があるように、旅にだって旬がある。気になる!行ってみたい!そんな場所があるなら、先延ばしせずにすぐ行動に移すべきだ。たとえば、大阪万博。友だちとの予定調整に時間がかかると、乗り遅れる可能性が高い。思い立ったが吉日。ふらっとひとりで大阪へ。大阪ならそれが可能だ。京都や奈良よりカジュアルな街だし、ひとりで楽しめる飲食店や、スポットもたくさんある。さあ、大阪へのひとり旅に出かけよう。
Photos:TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling:YONOSUKE KIKUCHI
Model:HAYATE OGASAWARA
Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)

開催前にはネガティブな話題が飛び交っていた大阪万博。でも、蓋を開けてみたら、万博独特のお祭りムードを満喫する人たちの動画がSNSに溢れかえった。興味がなかったけど、なんか気になる……という人もいるだろう。熱狂は伝播するのだ。そして、少しでも琴線に触れたことがあるなら、心の声にしたがって、自分の目で確かめてみるべきだろう。祭りに飛び込んだからこそ、見える景色があるからだ。パビリオンの入場予約が取りにくいという情報もあるが、各国の文化が滲む建物だけを見ても万博らしさは体験できるだろう。そんな万博散歩にも価値がある。フォトジェニックなパビリオンを中心に紹介しよう。

メディアアーティストの落合陽一氏がプロデュースしたパビリオン。「いのちを磨く」をテーマにしていて、人類が見たことのないインタラクティブな構造体として設計されている。ツヤツヤで周囲の景色が映り込む外装は、リアルタイムで変形する特殊な伸縮性の鏡膜でつくられていて、周りの風景自体を生きた彫刻に変換する。また、訪れる人の身体をデジタル化して、パビリオン内で有機的に変形する「Mirrored Body®」と対話することができるという。
シャツ63,800円/ユーゲン(イデアスTEL:03-6869-4279)、インナー3,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、パンツ42,900円/イレーヴ(イレーヴTEL:03-5785-6447)、靴はスタイリスト私物

生物学者で作家の福岡伸一氏が手がけたシグネチャーパビリオン。帽子のつばのような、ふんわりとした屋根をもつ軽やかなデザインの建物は、生命が動的平衡を保ちながらうつろいゆく流れの中で、一瞬だけ立ち現れる自律的な秩序を表す姿を具現化しているとか。中に入るとインタラクティブな光のインスタレーションを体験できる。
シャツ31,900円/ザ ライブラリー(ザ ライブラリー 表参道店TEL:03-3470-2151)、インナー3,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、パンツ33,000円/サバイ(イボルブTEL:03-6823-5074)、ベルトと靴はスタイリスト私物


木材を組み上げたニュアンスのある外壁が印象的なポーランドパビリオン。ポーランドの創造性と革新性の波が広がることを表現しているという。設計を担当したのはポーランドに拠点を置くインタープレイアーキテクツで、代表者のアリシャ・クビツカとボルジャ・マルチネスは隈研吾事務所の出身だとか。どうりで日本との親和性を感じる。コンサートルームでは定期的にピアノのリサイタルが開催され、ポーランド出身の作曲家・ショパンの曲が楽しめるという。
シャツ31,900円/イレーヴ(イレーヴTEL:03-5785-6447)、パンツ59,400円/フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ(ノウンTEL:03-5464-0338)、インナーと靴はスタイリスト私物

会場をぐるりと囲むように設置された、大阪万博のシンボルともいうべき建築物。「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表している。日本の神社仏閣などの建築に使用されてきた伝統的な貫接合に、現代の工法を加えて建築されていて、全径は約2km。会場の動線であり、同時に雨風や日差しから避難できる快適な滞留空間でもある。また、上に登り、景色を眺めながら歩くこともできる。
ジャケット14,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、シャツ41,800円/ハバーサック(ハバーサック フラッグシップストアTEL:03-3477-0521)、インナー6,600円/ハバーサック(ハバーサック フラッグシップストアTEL:03-3477-0521)、パンツ10,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、靴はスタイリスト私物


ナツメヤシでできた巨大な柱が所狭しと並ぶ、UAEパビリオン。柱の数はなんと90本。UAEから運ばれた、およそ200万本のナツメヤシの葉の芯を組み上げてつくったという。同国では豊かな財政を背景に宇宙探査や、医療技術の革新にも着手しており、持続可能な未来に挑戦している様子が映像やパネルを通じて、学ぶことができる。アラブの伝統料理である「エミラティ料理」を味わえるカフェレストランも併設している。
シャツ36,300円/イレーヴ(イレーヴTEL:03-5785-6447)、パンツ33,000円/サバイ(イボルブTEL:03-6823-5074)、ベルトと靴はスタイリスト私物


「アルプスの少女ハイジ」のイメージからか、壮大な山並みを想起させるスイス。実はテクノロジー大国で、スウォッチ・グループやロレックスに代表される時計産業や、ノバルティスなどの製薬業・ヘルスケア産業も発展している。白い球体が目印のパビリオンではそんなスイスのアルプス文化と最先端技術をインタラクティブな展示を通じて学ぶことができる。
シャツ31,900円/ザ ライブラリー(ザ ライブラリー 表参道店TEL:03-3470-2151)、インナー3,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、パンツ10,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、バッグ38,500円/イッチ(イチギャラリーTEL:03-5454-5111)、靴はスタイリスト私物



アジアとヨーロッパにまたがるコーカサス山脈とカスピ海に囲まれた美しい国・アゼルバイジャン。アーチ状の建物がひときわ目を惹く。「七つの美」の像、没入型のテクノロジー感覚体験、そして思慮深いデザインが融合したパビリオンで日本人にとっては馴染みの薄い同国の多様な文化に触れることができる。
シャツ31,900円/ザ ライブラリー(ザ ライブラリー 表参道店TEL:03-3470-2151)、インナー3,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、パンツ10,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、バッグ38,500円/イッチ(イチギャラリーTEL:03-5454-5111)、靴はスタイリスト私物
各国が世界に向けて、未来のテクノロジーや最先端の技術を披露する場が万博。しかし、それはパビリオン内の展示にとどまらない。一目でわかる建築もコンセプトや設計、使う素材や工法など、もてる英知を誇示して建てる。だから万博は歩くだけで楽しいのだ。続いては、そんな万博ウォークにふさわしいファッションを提案する。

インナーに着用したシャツブルゾンのサファリ味のある柄が、東洋や欧州はもちろんアフリカンや中東など、あらゆる文化が入り混じった万博会場の異国感とマッチする。またコットンキュプラタイプライターのさらりとした肌触りが真夏の熱波をクールダウンしてくれる。品の良さが漂うのは、2列にボタンが配されたダブルブレストの効果。
ジャケット14,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、シャツ41,800円/ハバーサック(ハバーサック フラッグシップストアTEL:03-3477-0521)、インナー6,600円/ハバーサック(ハバーサック フラッグシップストアTEL:03-3477-0521)、パンツ10,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、靴はスタイリスト私物

つやつやの壁が動き出す、まるで生き物のようなパビリオンnull2。その質感に負けない存在感を放つのが、ユーゲンの幾何学柄のシルクシャツだ。規則正しさをもつグラフィックがヌルッとした壁に相対する。また、しなやかなシルクを贅沢に採用していて、時折吹く風によって舞い上がる様子はエレガントそのもの。
シャツ63,800円/ユーゲン(イデアスTEL:03-6869-4279)、インナー3,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、パンツ42,900円/イレーヴ(イレーヴTEL:03-5785-6447)、靴はスタイリスト私物

生地端に柄が入ったイレーヴのドビーシャンブレーシャツ。オープンカラーのゆったりとしたシルエットが特徴的だ。グラデーションによる静な主張をもつこのシャツに合わせるのは、マスターテーラー平野史也が手がけるパンツ。繊細で美しいコーディネートは、職人の手仕事によるパビリオンの多い万博によく似合う。
シャツ31,900円/イレーヴ(イレーヴTEL:03-5785-6447)、パンツ59,400円/フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ(ノウンTEL:03-5464-0338)、インナーと靴はスタイリスト私物

コンサバティブなコーディネートに欠かせないザ ライブラリーのホワイトシャツ。作品鑑賞のノイズにならないので、アートティスティックな空間との相性が良い。こんなシンプルなスタイリングにはラフな雰囲気が漂うトートバッグが似合う。こちらはイッチの肩掛けワンショルダータイプのトートバッグだ。大振りすぎないサイズ感と太めのショルダーがアクセントに。
シャツ31,900円/ザ ライブラリー(ザ ライブラリー 表参道店TEL:03-3470-2151)、インナー3,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、パンツ10,990円/アンフィーロ(オンワード樫山TEL:03-5476-5811)、バッグ38,500円/イッチ(イチギャラリーTEL:03-5454-5111)、靴はスタイリスト私物

本来ならば、それと出合うために、僕らが日本を飛び出す必要がある。そんな遠い国のカルチャーと気軽に触れることができるのが、国内開催の万博に出向くメリットだろう。空に向かって伸びるUAEパビリオンのナツメヤシを背景に、イレーヴのシャツとサバイのパンツが静謐なムードを盛り上げてくれる。
シャツ36,300円/イレーヴ(イレーヴTEL:03-5785-6447)、パンツ33,000円/サバイ(イボルブTEL:03-6823-5074)、ベルトと靴はスタイリスト私物