コロナ禍が終息し、リモートワーク推奨から、出勤しての勤務に回帰する企業が増えている。とはいえ、子育て中ならリモートワークを選択したいし、フリーランスの人、あるいは自宅で溜まった作業を片付けたい時もあるだろう。そんな時頭を悩ますのが、自宅の防寒対策だ。オフィスと比べると、暖房機器の性能やデスク環境が劣るのは否めない。かといって、暖房家電をフル活用すると、電気代が跳ね上がってしまう。そこで今回は、家電のプロであるビックカメラのバイヤー・門脇さんに今おすすめの、リモートワーク用の防寒家電を厳選してもらった。
Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
ビックカメラ 季節・空気清浄機バイヤー
門脇 弘
2013年入社。モバイルバッテリーなどデジタルデバイスの仕入れ担当を経て、季節・空気清浄機バイヤーに。昨冬はリモートワークも多く、自宅での防寒対策に頭を悩ませたという。寒いのが人一倍苦手。
「オフィスと自宅では暖房機器の性能が全く違います。今年は暖冬の予測が出ているとはいえ、しっかり防寒対策をしなければ、寒くて仕事に集中できませんよね。しかも、電気代が上がっているので、部屋全体を温めるのではなく、足元やデスクの周辺に暖房を集中させるなど、メリハリのある防寒対策が欠かせません。実際、私も昨年はリモートワークが中心でしたが、寒さで作業効率が落ちないように、ずいぶんと試行錯誤しました。その時の経験、そして売れ筋商品の動向から考えて、まずはエルパのパネルヒーター 5面パネルタイプをオススメしたいですね。デスクの足元に設置するパネルヒーターで正面と左右、そして足を乗せる床面も発熱します。加えて天板パネルによって熱を逃さない設計になっていて、こたつに入っているかのような暖かさです。消費電力も195wと省エネタイプ。足元暖房なら、広電の足温器もカバーを丸洗いできるのでオススメです」
「上半身も寒いという人にはデスクの上における卓上タイプのファンヒーターがオススメです。私もタイピングする手や指が寒くて、集中できなかった記憶があります。オイルヒーターで有名なデロンギのセラミックファンヒーター カプスーラデスクなら、柔らかな暖気で手元をじっくりと暖めてくれます。コンパクトなのでデスクの上に設置することもできます。夏もキャスター付きの移動できるスポットクーラーが人気でしたが、リモートワークでも持ち運べるヒーターが重宝しますよ。
ダイキンの遠赤外線暖房機 セラムヒートもコンパクトで人感センサー付きなので、作業中のデスク周りを暖めるのに最適です。セラムヒートはじんわり熱が伝わるため、急速に暖めたい時には向かないのが難点でした。新製品のハイブリッドセラムヒートは、温風を出すことでその欠点を補った商品です。こちらは前面パネルの表面温度が50度以下に抑えられるように設計されているので、小さいお子さんがいらっしゃる家庭でも安心して使えます」
「会議や打ち合わせで立ち歩くことも多いオフィスでの勤務と違って、自宅でのリモートワークだとずっと座わりっぱなしになりがちです。それでは血行が悪くなり、疲労も溜まってしまいます。私の経験では意識的にコーヒーブレイクを挟み、キッチンまで歩くことが、座りすぎの予防になっていました。ただ、そんな時は足元暖房やスポット暖房から離れるため、寒さを感じます。頻繁に移動する人にオススメなのが、着るタイプの電気毛布です。USBで給電できるタイプならモバイルバッテリーが使用できるので、コードを気にせず、移動することができます」
「防寒対策で、もうひとつ大切なのは“加湿”です。空気が乾燥すれば、暖房効果も下がりますし、なによりインフルエンザや風邪などウイルスの飛散も心配です。そのため、自宅でも暖房器具と合わせて加湿器を使いたいところですが、オススメは上部給水型の加湿器です。加湿器を利用している方ならお分かりだと思いますが、日中に使っていると、加湿用の水があっという間になくなってしまいます。頻繁に給水する必要があるのですが、タンクを取り出して給水するタイプは意外と面倒です。その点、上部給水型なら上から水を注ぐことで、簡単に給水ができます。在宅勤務の場合は仕事の合間に自分で給水しなければいけないので、ちょっとした手間も減らしたいところです」