ファッションならコート、ニット、マフラー、そして手袋。こたつや鍋も、冬と聞けば思い起こすシーズナリーなアイテムだろう。衣替えとともに、それらを引っ張り出していけば、自然と冬支度が整っていく。しかし、今年は暖冬で例年のようにはいかないだろう。防寒対策がトゥーマッチになりかねない。そこで、暖冬イヤーを快適にする今年ならではの冬支度を考える。
Photos:TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling:YONOSUKE KIKUCHI
Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
Special Thanks:plywoodニホンバシ店、iki ESPRESSO TOKYO
「人手が足りないと、知人に頼まれ、カフェを手伝うことになった。会社を辞めて、ふらふらと転職活動をしていることを、どこかで聞きつけたのだろう。あいかわらず地獄耳なやつだ。でも、挽きたてのコーヒー豆の香りに包まれていると、声をかけてくれたことにむしろ感謝したくなる。見知らぬ人と交わす挨拶で、心がじんわりほぐれていくからだ。
顔見知りのお客さんもちょっとずつ増えてきた。先日は、調子に乗って“いつものですか?”なんて尋ねてみたが、その時のお客さんの何ともいえない笑顔が忘れられない。会社員時代は味わえなかった、心地良い距離感の交流。いつか、自分のお店を持ってみるのも悪くないな」
「子供の頃の遠足もそうだったが、あれを持って行こう、これを用意しようと、最高の結果を想像しながら、準備している時間が一番楽しい。サーフィンもそうだ。日課のように波をチェックし、日取りを決め、そして車にボードやウェットスーツを積み込む。その高揚感がたまらない。サーフィンの朝は早いし、冬になれば痛いほど風や海が冷たい。だから当日は楽しいことばかりじゃない。波に恵まれず、凹む日だってある。それでもまた数日経つと、海が恋しくなるのだから、不思議なものである」
LLビーン
「メンズ ソロン・フリース・プルオーバー」
日本の気候やトレンドに合わせ、日本のデザインチームが開発したLLビーンのJAPAN EDITIONコレクションのひとつ。90年代を彷彿とさせるレトロフューチャーなカラーリングと、フリースの質感に哀愁がある。オリジナルのボンディング・フリースには、保温性が高く軽量な中空ポリエステル繊維サーモライト糸を使用。通常のフリースで使用されるサーモライト糸より細いため、ソフトでなおかつ膨らみと張りのあるフリースに仕上がっている。
「イベントの開催や展示会への出展が決まると、プランが次々と湧いてくる。クライアントとともにコンセプトを考え、コピーを練っていく。ときには空間もデザインする。催事の成功には入念な準備が欠かせない。
そんな準備で慌ただしい時ほど、オフィスを抜け出して、歩きたくなる。無心でちょっと散歩すれば、考えが整理されて、アイディアが降りてくることも珍しくないのだ。方向性がまとまれば、あとは腕を動かすだけ。だから、今日も歩く」
「週末の楽しみはもっぱらバイクとキャンプ。念願の田舎暮らしが迫っており、しばらくは引っ越しの準備で手いっぱいだが、落ち着いたら、行きたいキャンプ場がたくさんある。自然のなかに自分だけの基地をつくっていく楽しさは、基礎から建てていく家づくりみたいだ。一人ひとり、過ごし方が違い、細部を彩るこだわりのアイテムも人それぞれ。特に最近はデザイン性に優れたキャンプギアが多く登場していて、目移りしてしまう。週末にふらりと立ち寄ったアウトドアショップでも、置き場に困るほどキャンプギアを持っているのに、欲しくなってしまう。眺めているうちに、頭のなかはすでにキャンプ場。自分なら、こんなキャンプをするだろうと、妄想がはじまる。ああ、早くキャンプに行きたい!」
Barbour × BEAMS PLUS
「別注 BEDALE 2レイヤー」
バブアーといえば、クラシックなワックスジャケットが定番だが、ONとOFFで着倒すなら、ハードボイルドな質感はトゥマッチだ。その点、BEDALEは撥水、透湿、防風性を兼ね備えた高機能素材を使用し、今日的にアップデートしたモデル。雨や風、そして暖房が効いたオフィスビルでも、快適な着心地を約束してくれるだろう。また、動きやすいラグランスリーブやサイドベンツ、ハンドウォーマーポケット、袖口には風が入らないようにリブが配されるなど、機能性も申し分ない。裏地にハウスチェックを使用するなど、細部に施されたクラシックなデザインセンスも魅力的。スマートな佇まいはアウトドアだけでなく、都会的なシーンにもマッチするはず。
「リモートワークをする人が減って、電車が混んでいる。すっかり以前の混雑ぶりに戻ってしまったみたいだ。リモートワークに慣れてしまった身体にはどうにも堪える。そこで、ダイエットも兼ねて自転車通勤を始めてみることにした。
例年なら寒くて、冬に自転車に乗ろうなんて思わなかったけど、今年はまだまだ風が心地いい。満員電車を尻目に、都心を駆けていく。立体構造パターンのアウターなら動きやすく、ストレスも感じない。もうしばらくはこの通勤スタイルで行こうか」
「関心はあったけれど、本格的に手を出すには至らなかったゴルフだが、もうそろそろ始めてもいいかもしれない。誘われることもめっきり増えてきたし、最近始めたという声も聞こえてくる。同時期に始めれば、下手だなんだとバカにされることもないだろう。
でも、しばらくはコソ練かな。打ちっぱなしでちょっとクラブを振るだけでも十分にゴルフ気分を味わえる。爽快だし、今更ながら、何でみんなゴルフをするのかわかったような気がする」
アークテリクス
「ソーヤー ウール フーディ」
アークテリクスのフィット感を微調節できるフーディ。ウールが持つ天然素材の心地良さ。フリースの柔らかな暖かさ。そして、ソフトシェルが持っている透湿性と耐候性をすべて兼ね備えたテックウールを使用した一着だ。立体構造パターンを採用しているため、運動時の可動性も十分。風を通しにくい防風素材なので、自転車通勤にも使える。