特にここ最近、次世代のコミューターとして大きな注目を集めているeバイク。ただ、その名前は聞いたことがあっても、まだまだどんな乗り物なのか知らない人も多いのではないでしょうか!? ということで、ここでは国内e-バイクのパイオニアとして、さまざまなeバイクを世に送りだしてきたヤマハ発動機広報グループの松尾さんにお話しを伺いました!
Edit&Text/Kazuyuki Nomura
二輪車をはじめ、船外機や産業用ロボットの開発など「陸・海・空」全てのフィールドで活躍する製品を、180を超える国や地域に展開するヤマハ発動機の広報担当
「ロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクなどスポーツタイプの車体に分類され、スポーツサイクル用に開発されたドライブユニットを搭載しているものを当社ではeバイクとしています。日常での使い勝手を重視した軽快車タイプの電動アシスト自転車とは異なりスポーツ走行が可能で、より趣味性が高いのが特徴です」
「eバイクは人の力に対する補助力として作用するよう設計された自転車で、ペダルを踏むとモーターがプラスアルファの力を加えてくれますが、日本では道路交通法のルールのなかで性能の上限が決められています。eバイクも電動アシスト自転車同様、発進から時速10kmに達するまでは、ペダルを踏む力“1”に対して最大で“2”の力でアシストすることができます。時速10kmを超えるとスピードが出過ぎないようにアシスト力が制限され、時速24kmに達するとアシスト力が“0”になります。よくスピードが3倍になると誤解されがちですが、人力とモーター力が融合することで“3分の1の力で漕げる”というイメージです」
「eバイクにはさまざまなタイプのモデルがあり、主にロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイクがあります。それぞれ特性が異なるので、どんなシーンで乗るか、どんな乗り方をしたいかを考えて選ぶと良いと思います。また、安全に乗るためにはサイズも重要になってくるので、そのあたりもしっかりと考慮してください」
特に2018年頃から各メーカーがこぞってeバイクをリリースしたことで、今では選択肢も増え、とても盛り上がりを見せている。そもそも、eバイクにはどんな歴史があるのだろう。
「eバイクのルーツとなる電動自転車は、1993年にヤマハ発動機が世界で初めて『PAS』を商品化しました。その後2010年頃から欧米諸国でeバイクがブームとなり、日本での今日の人気に繋がっているのだと思います。電動アシスト自転車市場は前年比約8%で伸びており、出荷台数は10年間で約2倍に増えています。PAS発売当初はシニアのお客様がメインだったのですが、近年では子育てファミリーから通勤、通学、そしてレジャー分野まで広がっているのも注目すべき点だと思います」
「こちらはヤマハ発動機の最新eバイクとなるYPJ-MT Pro。オートバイの開発から着想を得た設計で、バッテリーとサスペンションをフレームで挟み込むようなDual Twin フレームとなっており、マウンテンバイクに特化したアシスト性能になっているのが特徴です。今後もeバイクは市場、楽しみ方が広がっていくと感じており、新たな需要が生まれていくと考えています」
「eバイクの心臓部ともいえるドライブユニットも、それぞれのモデルの特性にあわせて違うものが採用されています。ヤマハ発動機のeバイクも3種類のドライブユニットを使い分けています。この部分のセッティングにより走行性能や乗り味も変わってきますので、eバイクを選ぶ際は気にしておくと良いと思います」
最後に、街でeバイクを乗ろうと思って意外に戸惑うのが、どこを走れば良いの?ということ。ただ、戸惑う必要はなし。eバイクは自転車なので、道路交通法上は「軽車両」となるので、一般的な自転車と同じルールで走れば大丈夫。ここで簡単におさらいしておきましょう!
歩道は歩行者が優先。「自転車および歩行者専用」の標識や表示があるところでは歩道を通行することができるが、通行できる部分が指定されている場合は指定された部分を走行する
さらに見落としがちなのが、交差点の右折方法。自転車は交差点の左側に沿って徐行する、いわゆる2段階右折をしなければいけません。信号のある交差点の場合、正面の信号は青の時に直進、左折が可能。右折する時は、図のように正面の信号に従い交差点の左側を直進して右折します。
見た目にもカッコよく、性能も進化を遂げているeバイク。きちんと交通ルールを守りながら、お気に入りの1台をぜひ見つけてみてください!