リモートワークをきっかけに、自宅にも文具・ステーショナリーを置くようになった人も多いだろう。PCやタブレットでの作業が中心とはいえ、こだわりのペンや手帳、ノートなどのアナログ文具を揃えると、それだけで一段と仕事ができるようになった気がするから不思議だ。デザイン性の高いステーショナリーなら尚更である。眺めるだけでテンションがあがり、良いアイディアが舞い降りてくる。そんなデザイン性に優れた美的ステーショナリーを紹介しよう。
ケンウッドやソニーで製品デザインを担当した後に独立し、六本木ヒルズのセキュリティゲートや、交通系ICカードのチャージ機、一本用のワインセラー、サーモマグコーヒーメーカーなどのプロダクトデザインに関わってきた秋田道夫。名前は知らずとも、彼が手がけたプロダクトを目にしたことのある人もいるだろう。そんな彼と新潟県燕市の金属加工メーカー「タケダ」が生み出したブランドが「プリマリオ」だ。要素を極限まで少なくし、それでも機能をはたせる「重量感」「スタイル」「輝き」をキーワードにしている。書類トレイ、デスクトップスタンド、スマートフォンスタンド、ペーパーウエイト&ペンスタンドなどがある。中にはステンレスインゴットから削り出したプロダクトも。
手で開けられるし、ハサミやカッターでも構わない。ペーパーナイフの存在意義に疑問を投げかける人もいるが、一度使えばペーパーナイフの使い勝手に納得する。彫刻のように美しく、デスクに置きたくなるペーパーナイフがある。ひとつはイタリアを代表するデザイナー、エンツォ・マーリによるステンレス製のペーパーナイフだ。一見すると、ひねっただけのようにも見えるミニマルなデザインだが、封筒を開封する際にストレスがかからないよう、計算された角度になっている。もう一方は1970年代にフィンランドの彫刻家兼デザイナー、タピオ・ヴィルカラによってデザインされたもの。
香川県の革製品メーカーである「ルボア」と、デザイナーの宮城壮太郎、そしてアッシュコンセプトとのコラボレートにより生まれたブランドが「hmny」だ。原材料から製品加工に至るまで、ジャパンクオリティをモットーにしている。そんなhmnyのカジュアルラインである「hmny casual」の手帳付き手帳ケースがこちら。ジッパー付きで、ペンや付箋などを入れることができるほか、縫製の隅々にまでこだわりが詰まっている。しなやかで手になじみやすい革でつくられており、使うほどに味わいが出てくる。
電卓も計算だけなら、スマホの計算機アプリで良いのでは? という声が聞こえてきそうだ。しかし、そのApple社もBRAUN社のプロダクトデザインからインスピレーションを受けていたといわれている。そんなBRAUN社のデザインを取り仕切っていたディーター・ラムスとディートリッヒ・ルブスが手がけた電卓の名作「ET66」が、「BNE001」として復刻された。ボタンの配色が機能ごとに変えられており、押しやすいように適度なふくらみを持たせてある。「あいまいさや予測不能な要素をいっさい残してはならない。デザインをするうえでの細心さ、正確さは、消費者への誠意を示すものだ」というディーター・ラムスのデザイン信条を体現するような名機である。