映画やドラマ、そして舞台での活躍にとどまらず、近年は地元・福岡県嘉麻市のキャラクターをプロデュースしたり、アニエスベーのLINEスタンプを描くなど活動の幅を広げている瀬戸康史さん。考えるのが好きで、人とは違うことを追い求めるクリエイティブな姿勢が活動の幅を広げる原動力になっているようだ。
「例えばファンミーティングで販売するグッズをどんなものにしようか、スタッフとアイディアを出し合う時間が好きです。せっかくなら思いが伝わるデザインが良いのではと、僕が描いたイラストをグッズに使うようになり、それが今のイラストレーターの仕事につながっています。また、この間楽屋のれんを伏見京子さんというアーティストの方につくってもらったのですが、普通の楽屋のれんだとテンションが上がらないので、使わなくなった服の切れ端をつなぎ合わせたデザインにしました」
つくりたいもののイメージを伝え、それを形にしてもらったという。オリジナリティがあるものに惹かれ、ファッションも既製品をそのまま着るのではなく、リメイクすることも多いと語る。
「これも伏見京子さんに依頼してつくってもらったものですが、MA-1とスーツを縫い合わせて、一着の服に仕上げてもらいました。MA-1とスーツなんて、普通は組み合わせないものですが、それくらい対局のアイテムのほうが面白いものができあがるんですよ」
そう言うと、私服を見せてくれた。スーツのフォーマルさと、MA-1のミリタリーテイストが一体となった個性的なアウターだ。
ファッションをデザインすることにハマっている瀬戸康史さんだが、自宅にはこだわりの食器棚や椅子があるという。
「椅子や食器棚といった家具は妻の趣味によるところが大きいのですが、こだわりのものがいくつかあります。アンティークな食器棚は、つっぱり棒をしていないと開けた時にガラスの重みで倒れてしまいそうなくらい古く、不安定なものですが、めちゃくちゃデザインがかわいいんです。椅子も、ブランド名は忘れてしまいましたが、年に1脚は新しいものを追加購入するほど気に入っているブランドの椅子があります。デザイン重視で選ぶと多少不便なこともあるのですが、使ううちに慣れてきて、気にならなくなりますよ。むしろ愛着が出てきます」
一方でイラストは手書きではなく、デジタルで作画しているため、ステーショナリーには疎いという。
「イラストは、iPadとApple Pencilで描いています。場所を選ばず、どこでも描けて便利ですから。最近はインスタにもあげていますが、おばけのイラストをよく描いています。今『院内警察』というドラマを撮影していますが、先日、長濱ねるさんと現場が一緒でした。お互いシャイで、初めは僕もどう接すればいいのかわからなかったんです。でも、僕のイラストのことを知ってくださっていたので、会話のきっかけになりました」
好きで描きはじめたイラストが仕事になり、そしてコミュニケーションの道具にもなっているようだ。
そんなクリエイター気質な瀬戸さんが出演するドラマ『院内警察』が、現在放送中だ。主役の桐谷健太さんとは5年ぶりの共演になる。
「桐谷さんは撮影前に、『今回は、対立するような関係性なのでなるべく彼とはしゃべらないでいようかな(笑)』なんてコメントしていたのですが、現場に入ったら全くそんなことはなくて、いい兄貴分です。桐谷さんがいるだけで現場が一段と明るくなりますし、難しいシーンでは励ましてくれたり、労ってくれます。本当にいい座長だなと思います」
瀬戸さんは、桐谷健太さんが演じる院内交番に所属する院内刑事と対峙する、天才外科医を演じている。
「ここ数年は、割とその場を明るくするような役柄が多かったのですが、僕が演じる外科医の榊原は、ほとんど無表情。ここまで感情を表に出さない役も珍しいので、表情やビジュアルがどんなふうに画面に映るのか、映像を確認しながら撮影しています。ネタバレするといけないので詳しいことは明かせませんが、全話見終わってからもう一度、最初から見返してもらうと、榊原はあの時無表情のなかにこんな思いを抱えていたんだ、と発見があるかもしれません」
刑事モノと医療モノ。テレビドラマの二大人気ジャンルといわれる両者を掛け合わせたのが、ドラマ「院内警察」だ。
「もうひとつの見どころは、人間ドラマ。仲間ってすごく当たり前にいるようで、そうじゃない。かけがえのないものです。人は生きていればいろいろな過去があり、そこに囚われてなかなか前に進めない人もいるかもしれません。その背中を、そろそろ前を向いてもいいんじゃない?と、そっと押してくれるような作品でもあります」