Photo:YUTO KUROYANAGI
Text:KAZUYUKI NOMURA
2022.10.31
正しい使い方を覚えて、使いこなすことができれば、キャンプシーンにおいてこれ以上ないほど頼もしい味方となってくれるナイフ。食材やロープを切るといった基本的な使い方はもちろん、ナイフによっては現地でフェザースティック(自然の着火剤)や薪割り(バトニング)ができ、キャンプの幅がぐっと広がるのも大きな魅力です。
とは言っても、たくさんの種類の中から何を買っていいか分からないのも事実。そこで今回は、ミリタリーサープラス〈ファントム〉の通信販売部スタッフで、自身も大のナイフ好きな宮杜さんに、キャンプナイフの選び方や自身が愛用するナイフ、さらにはオススメのナイフまで聞いてきました!

「アウトドアナイフは大きく分けると、フォールディングナイフ、フィクスドナイフ(シースナイフ)、マルチツールと3種類に分類できます。マルチツールに関しては、メイン以外にもドライバーや缶切りなど様々な機能が一体化しているもので、キャンプシーンにおいてナイフの機能はサブ的なものとして使う人が多いので、今回説明は省きますね。フォールディングナイフ、フィクスドナイフはそれぞれ用途が違うので、予算が許すのであれば1本ずつ揃えるのがベストだと思います」

「フォールディングナイフは携帯に便利なよう、ハンドル内部にブレードを収納できる構造になっているのが特徴です。シースが必要なく、ポケットに入れて携帯できるのがメリット。一方、メンテナンスに気を使うのと、フィクスドナイフに比べ強度に劣るのがデメリットになります。バトニングなどブッシュクラフト用途には向きませんが、料理やロープを切るなどの用途で使うのに適しています。OPINELに代表される、買いやすい価格でしっかり使えるナイフもあるので、まずは最初に1本買ってみるというのであればフォールディングナイフがおすすめですね」


「フォールディングナイフで僕の一番のお気に入りが、DPXというメーカーが出しているH.E.A.T.フォルダーというモデル。D2鋼という頑丈な刃に、G10という高機能ハンドルが使われており、頑丈なチタンロックシステムを搭載するほか、エンド部分にはグラスブレーカーも付いています。ただのナイフというよりも、命を預けられるサバイバルギアと考えても優秀で、フィールドでとても頼りになります。キャンプや登山には必ず持っていく1本です。」

「刃の鋼材がグリップの芯になって固定されており、強度、耐久性に優れるナイフの基本形と言えるのがフィクスドナイフです。鋼材がハンドル後端まで通っているものはフルタングナイフと言われ特に頑丈で、打撃や捻れにも強いので薪割り(バトニング)に使うこともできます。ブッシュクラフトではマストアイテムになるほか、例えば調理にしても魚の骨までズバッと切れたりと、フォールディングナイフよりもできることが多く、通常のキャンプでも作業の幅はグッと広がります。ただ、未使用時にはシース(鞘)に収納しておく必要があり、長さもあるので持ち運びには気を使います」


「敬愛する自衛隊員さんから勧められて購入し、10年位使い続けているフィクスドナイフです。米国老舗ナイフメーカーのオンタリオはアメリカ軍への納入実績もあり、ブラックコートされた武骨な雰囲気も大好きです。昔フィールドでうっかり地面を打ってしまい、刃はつけ直していますが、今では自分の手に馴染みまくっているので、キャンプや登山に行く際には必ず持っていきますし、とても頼りになりますね。これからもずっと使い続けていくであろう1本です」

「最初の1本に何を選ぶかは難しいところですが、まずは安価で使いやすいモデルから使ってみて、慣れてきたら徐々にステップアップしていくのが良いかなと思います。例えばまずはフォールディングナイフを使ってみて、それで物足りなくなればフィクスドナイフ。さらに人と違うものが欲しくなれば、デザインやバックボーンまで掘り下げて選ぶのも良いかもしれません。理想としては、良いものであれば、10年、20年とずっと使い続けられるはずなので、そういう1本に出会って欲しいですね」
OPINEL
ステンレススチールナイフ

G SAKAI
11494 SABI KNIFE2

GERBER
LMF2 INFANTRY

COLD STEEL
36JSK MUSTER HUNTER

GERBER
MP600 REGULAR NOSE

※バトニングはナイフ本来の使い方ではないので、自己責任でお願いします