暮らし・住まい
進化系“缶詰グルメ”を知っているか？
缶詰博士が選ぶ全国ご当地缶詰7選
2020.09.28
古くは食品保存が難しかった時代の保存食として誕生し、現在ではアウトドアや非常食、はては軍の携行食としてまで広く愛されている缶詰。あまりに身近すぎて別段気に留めることなんてなかったけれど、今どきの缶詰はバリエーション豊かに進化しているということをご存知だろうか。
そこで今回は“缶詰博士”の黒川勇人先生に、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地のご当地グルメを手軽に味わえる缶詰を教えてもらった。たかが缶詰、されど缶詰。あなどるなかれその実力。いざ、とくとご覧あれ。
Text/Ryoichi Komaba Supervise/Hayato Kurokawa
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缶詰博士
黒川勇人先生缶詰って実は保存料を使ってないって知ってました？ 食材を缶に詰めて密閉した後、熱を加えて殺菌処理を行うから、保存料を加えなくとも長期保存ができるというわけ。アナログな製法ながら、とってもヘルスコンシャスなんですよ。最近は味もかなり進化しているから、缶詰でも本格的なご当地グルメを堪能できるんです。
【北海道】洋風アレンジが新鮮なカニ缶
高級缶詰の代名詞、カニ缶も日本有数のカニどころである北海道が手掛けると一味違う。ずわいがにの棒肉に数の子とマヨネーズを合わせた一風変わった一缶にアレンジ。アクセントにアオサも入っており非常に風味豊かに仕上がっている。こってりとした濃厚な味わいなので柑橘系サワーとの相性が抜群だ。
【青森】八戸の郷土料理セット
八戸を代表する郷土料理、いちご煮とせんべい汁がセットに。うにやアワビを具材に使った潮汁のいちご煮で海の幸を味わうも良し、特産地鶏、青森シャモロックと野菜がたっぷりのせんべい汁で山の幸を味わうも良しの贅沢なセットなのだ。さらにせんべい汁にはご当地でないとなかなか買えない白焼きせんべいがオマケで付いているので缶詰なれどその出来は超本格的。お供には陸奥八仙など八戸の清酒を是非。
【宮城】名産ホヤがピリ辛仕立てに
宮城県は国内で初めてホヤの養殖に成功したことでも知られるホヤの名産地。その人気は国内だけにとどまらず韓国でも非常に人気の食材なんだとか。西日本ではあまり食べる習慣がないというホヤも、コチュジャン仕立てに味付けしており癖なく食べやすくなっている。ピリ辛なので、合わせるお酒はビールやハイボールがぴったり。
【石川】超優秀なメシ友たらの子
石川県の名物、たらの子は一般的なタラコがスケトウダラの卵を使うのに対して真鱈の卵を使っておりとても大きな魚卵なのが特徴。その歴史は古く、大正12年から作り続けられ北陸地域だけで年間8万缶も販売されている地元民なら誰もが知る名品なのだ。缶詰いっぱいに詰まった魚卵は醤油を効かせた甘口に味付けされており、メシ友として超優秀。
【大阪】あのソウルフードを缶詰化
お好み焼きをそのまま缶詰に封じ込めてしまうというアバンギャルドな発想は、さすが吉本興業をはじめお笑い文化の最先端をいく大阪らしいユニークな一缶。見た目のインパクトもさることながら、味も本場を再現しており超本格的。これをおかずに白飯を喰らえばあっという間に、大阪人の仲間入り確実！ その見た目から、ちょっとした手土産で持っていっても話の種になること請け合いだ。
【福岡】老舗の明太子がマイルドに
福岡といえばご当地グルメは数あれど、外しちゃならないのが明太子。しかし難点なのが生食故にその賞味期限の短さ。そこで、登場したのがこちらの缶詰。老舗明太子屋、ふくやのめんたいこに綿実油を合わせ、辛さは残しつつもマイルドでコクのある味にアレンジ。もちろん、缶詰なので3年間の長期保存が可能というところがうれしい。そのまま食べるだけでなく、パスタと合わせれば即・明太子パスタが完成する手軽さもGOOD。
【沖縄】あっさり味の国産ランチョンミート
沖縄名物、チャンプルーに欠かせないのがランチョンミート。SPAMなどが有名だが、ちょっと塩気がきつくて我々世代は敬遠しがち。その点、唯一の国産ポークランチョンミートであるわしたポークは、あっさりとした味付けなのでとっても日本人向きなのだ。地元沖縄でも広く愛されており、ディープな沖縄グルメを味わいたいならぜひとも押さえておきたい。
サバ缶やオイルサーディンばかりが缶詰ではない。今やあらゆるものが缶詰に封入され、インディーズブランドも次々と登場している缶詰業界。これからのグルメを気取るなら、進化が止まらない缶詰グルメにも目を向けてみては？
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缶詰博士
黒川勇人 （くろかわはやと）
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公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認の缶詰博士として、テレビ・ラジオ・雑誌・新聞など様々なメディアで活躍。また、食に関するイベントや防災セミナーなど、缶詰の魅力を多くの人に伝えたいと現在までに、世界50カ国の缶詰をリサーチ。主な著書に『缶詰博士が選ぶ！「レジェンド缶詰」究極の逸品36』（講談社）などがある。
