「賞味期限切れのパン」をかじって、じわじわ8年。9番街レトロ、笑いはコツコツ、ギフトはグイグイ。
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    ファッション

    「賞味期限切れのパン」をかじって、じわじわ8年。9番街レトロ、笑いはコツコツ、ギフトはグイグイ。

    2026.09.15

    京極風斗となかむら☆しゅんによるお笑いコンビ「9番街レトロ」。2019年のコンビ結成以降、「神保町よしもと漫才劇場」を中心に活動するとめきめきと頭角を現し、コンビ、個人でのYouTubeチャンネルも大人気となるなど破竹の勢いを見せている。今時の若手コンビかと思いきや、その時々を見据えながら1歩1歩地道に、全力で歩んできたという泥臭い面ももつ彼らに、劇場にかける想いや、これまでとこれから、芸人らしさ全開なギフトの話などを聞いてきた。

    創刊15周年を迎えたGOODAが掲げる今号のテーマは「ギフト」。彼らをはじめとする独自の感性を持った5名のゲストに、モノ選びの軸や「15」にまつわるエピソードについて尋ねた。そこから見えてくる、心を揺さぶる贈り物のヒントをお届けする。

    Photo:Yuto Kuroyanagi/Text:Kazuyuki Nomura

    一歩一歩、着実に歩んできた8年

    ——「9番街レトロ」は今年で結成8年目を迎えていますが、どんな8年でした?

    お笑い芸人「9番街レトロ」の京極風斗、なかむら☆しゅん

    9番街レトロ、(左)京極風斗 、 (右)なかむら☆しゅん

    (なかむら) まわりからは結構順調にきてるなみたいに言われますが、早いとはあんまり思わないですよ。ほんまに一歩一歩着実にやってきての今なので。

    (京極) 僕ら大きな賞レースで優勝したとか、何かのネタでバズったみたいな分かりやすいきっかけがないんですよ。目の前の仕事を一生懸命やって、劇場でちゃんとウケて、少しずつファンを増やしてきたという感じなので。ちょうどこの取材の前にインスタ見たらフォロワーが10万人超えていたんですけど、何かのきっかけで一気に増えたとかはなく、本当にじわじわ伸ばしてようやく10万人なので。

    ——「着実に」との話がでましたが、コンビで普段から意識していることはありますか?

    お笑い芸人「9番街レトロ」の京極風斗、なかむら☆しゅん

    (なかむら) ほんとシンプルなんですけど、「どんな仕事もめっちゃ一生懸命にやる」です(笑)。先輩の藤崎マーケットのトキさんとか、若手が多い小さいライブでこんな本気だしてくれんの?と思うくらい、どんな時でも一生懸命なんですよ。そういうのめっちゃカッコいいなと思って。会場の大小とか規模に関わらず、僕らのできることを全力でやっていこうとは思っています。

    (京極) 逆にそれしかやり方分からんみたいなところもあるもんな。むしろ小さい会場やからこそテンションで大きくするみたいな。ほんと一生懸命にやるっていうのはずっとやってきたことですね。ライブでやってる「罰ゲーム」も、僕らがどんだけ本気でやっているかを見せるみたいなところもあるんですよ。

    (なかむら) 「これライブの罰ゲームでやるにはキツ過ぎるやろ」みたいなんをマジでやるもんな。過去にはチャリで東京から沼津まで行くとか、名前に☆を入れるとか、生涯じゃんけんでパー禁止とか。

    (京極) 俺も罰ゲームで引っ越しとかも普通にやりましたよ。なんで意味もなく気にいっていた部屋を引っ越さなあかんねんっていう(笑)。ただ、これやり始めたのは結構前なんですけど、コンビ結成数年で僕らのやる気とか本気度を示せるものが「しんどさ」しかなかったんですよ。今でこそいろいろできる幅が広がったんですけど、ほんまに必死でしたね。

    ——お二人はYouTubeチャンネルをやり始めたのも早かったですよね。

    お笑い芸人「9番街レトロ」の京極風斗、なかむら☆しゅん

    (京極) そうですね。芸人のなかではかなり早いほうやったと思います。なんならコンビ組む少し前くらいからやり始めたので。その頃はとにかく暇やったし、ちょうどテレビとYouTubeの過渡期みたいな時期でこれからどうなるか分からんし、絶対やっとかなあかんやろと思っていたので。

    (なかむら) 戦略みたいに深く考えていたわけではないんですが、とにかくその頃がむしゃらで、なんかやらなあかんなっていう不安もあって。ほんまにただバイトしてるだけの日々になってしまうから。

    お笑い芸人「9番街レトロ」の京極風斗、なかむら☆しゅん

    (京極) 当時なかむらは数人でルームシェアしとったんですけど、僕は特に用事があるわけではないのに、毎日そこに行ってましたね。

    (なかむら) 2人ともなんか芸人っぽいことをしとかな不安でしょうがなかったんですよ。ただコンビでおるだけで、結局は遊ぶだけやったんですけど。

    (京極) それである日、ちょい足りんけどバイトやめて毎日YouTubeあげていこうって2人で話して、全然仕事ないのにバイトやめて。

    (なかむら) ちょい足りんどころじゃないけどな(笑)。 その頃芸人としての給料3万とかなんで、バイトせな生活できへん。

    (京極)お互い親戚とかから50万ずつ借りて100万集めて、「このお金がなくなるまでに売れへんかったら終わりや」ということを動画でやろうと思ってたんですけど、結局そのお金すら集まらんくて、ただ2人ともバイトだけなくなるみたいな(笑)。

    (なかむら) ほんま地獄でしたよ。ルームシェアしてた同居人が持って帰ってきた賞味期限切れのパンを1カ月近く食べていたこともありました。そのせいで今では気持ち悪くて食パン食べられない体になってしまいました。

    (京極) 僕も借金めっちゃありました。でも、今考えると、しんどかったですけど、そうやって退路絶って、無理やりにでもやっていた時期があってよかったのかなぁとは思います。動画もある程度溜めることができたし、僕らのライブ「9番街フェス」もその流れで始まってるし。

    30代を迎えて今思うこと

    ——お二人は30代を迎えていますが、心境の変化などありますか?

    お笑い芸人「9番街レトロ」の京極風斗、なかむら☆しゅん

    (京極) いや、ほんま健康第一やなと。

    (なかむら) 体調悪いの俺のキャラやったのに、最近はこいつのほうが体調悪いんですよ。

    (京極) 30代になってから彼女と別れて1年くらいかな。めっちゃ深酒するようになってもうて。一人で家で飲んで、次の日の夕方くらいまで2日酔い続くみたいな。多分20代の頃より回復機能落ちてるし、これどっかで絶対限界くるなと思って。この間も劇場で僕らの出番の前の子が僕のこといじったんで、舞台上でほんの10秒くらい追いかけ回すっていうボケしたんですけど、その後息きれて喋られなくなってもうて。

    (なかむら) 丁寧な暮らししている人しか、丁寧な30代にはなれないんですよ。ジム行って運動して、健康に気を使ったもんちゃんと食べて。僕ら全然運動もせんし、生活習慣めっちゃ不健康やから終わってますもん(笑)。理想とはほど遠いです。

    ——どんな30代が理想ですか?

    (京極) 難しいですけど、年相応ではありたいですよね。あんまり若く見られるのも嫌やし、上に見られるのも嫌やし。ほんまに「丁度」で見られていたいなっていうのはありますね。

    (なかむら) さや香の新山さんとか30代でパパになっていますけど、まったく「お父さん感」ないのはええなぁと思いますね。他の芸人でも30代でパパになってる人いますけど、たまに斜め下向いて哀愁出まくってる時ありますもん。めっちゃ大変なんやろうなと。いつか結婚して子供できたとしても、僕はなるべく「お父さん感」を消していたいかな。

    (京極) 僕は逆で、「お父さん感」出るんやったらバンバンだしたいですけどね。哀愁って、疲れも込みやと思うんですよ。なんかそういうのが出てくるのも、ちょっと面白いじゃないですか。

    ——ファッションについては何かこだわりありますか?

    (なかむら) 僕はパッと見てシルエットとか自分に合っていればオッケーって感じなんですけど、京極は服とかインテリアとかめっちゃ好きやな。

    (京極) 服は昔から好きですね。なんかその時によって結構極端で、ずっと黒しか着てへん時もあれば、めっちゃ派手なパンツとか穿く時もあるし。無難な感じではなく、どこかに「尖り」は入れていたいなというのはあります。

    ——最近買って気に入っているものとかありますか?

    (京極)このグランドセイコーの時計は最近買いました。さっきの話じゃないけど「年相応」って考えた時に、30代=ちょっといい時計というイメージがあって、結構奮発して買いましたね。自分でしっかりお金出して買った初めての腕時計です。

    ——シンプルでかっこいいですね。

    (京極)チャラくない感じがして好きだし、シンプルでずっと使えそうかなって。これ手巻きなんですけど、家出る時に手に持って、エレベーターの中で巻いて、ちょうど巻き切る頃にエレベータが下に着くんです。そのまま歩きながら着けるっていうのが最近のルーティーンになっていて。そういう「ちょっとした手間」の楽しさも分かってきました。

    距離の近さが芸人ならではのギフト論

    ——お二人が思い出に残っているギフトはありますか?

    パナソニック 髭剃り ラムダッシュ パームイン

    (なかむら) 僕はこれですね。髭剃り。パナソニックのラムダッシュ パームインっていうモデルなんですけど、実はこれ3代目なんですよ。僕マジで物をよく失くすんですけど、これも最初買って失くして、また次買ってすぐ失くして。2回目失くした時に劇場の楽屋でヘコんでたら、ケビンスの仁木さんが「俺に買ってもらったら、流石にもう失くさんやろ」と言ってプレゼントしてくれたんです。

    ——そのギフトの渡し方カッコいいですね。

    (なかむら) そうなんですよ。劇場の楽屋から一緒に近くの電気屋さんに行って買ってくれました。毎日これで髭剃るたびに仁木さんのこと思い出しています(笑)。

    〈nori Enomoto(ノリエノモト)〉のレザートートバッグ

    (京極) 僕はこのレザーのバッグですね。〈nori Enomoto(ノリエノモト)〉のレザートートバッグです。僕アートが好きでよく絵を描くんですけど、以前ラジオをきっかけにnori enomotoとコラボさせてもらったことがあって。

    〈nori Enomoto(ノリエノモト)〉のレザートートバッグ

    (京極)この波状の曲線になったベルト部分に、僕のアートが描かれたものが数量限定で発売されたんです。それで、僕も一つ欲しいと言ったら、元のモデルを送ってくれました。でもこれめっちゃ使いやすくて。レザーなので味も出るし、服にも合わせやすくて、もう3年くらい使っています。

    (なかむら)そういえばお前、先輩とかにも「それください」ってよく言ってるよな。

    (京極) 「それください」はとりあえず言いますね(笑)。実は今日穿いているこのパンツも、蛙亭のイワクラさんが穿いていて「ください」って言ったらくれたもの。芸人って簡単に自分の持ち物を手離しちゃうから、結構すぐくれるんですよ。逆に僕も後輩にくださいって言われたら、多分あげちゃうな。この間もモグライダーの柴さんが着ていたレザージャケットくださいって言ったら、奥さんからもらったものだったらしく流石にダメだったんですけど、もうちょい粘ったら多分イケてたな(笑)。

    劇場は自分たちが勝負できる場所

    ——GOODAは今年で15周年を迎えますが、お二人は15年後どんな芸人になっていたいですか?

    (なかむら) 15年後というと、僕らも40代後半ですか。流石に今よりも劇的に売れてないとヤバいっすね。現状維持はありえないんで、さっき言ったように、じわじわ着実にとは言ってられないですね。

    (京極) コンビとしてはもちろんですけど、「俺はこれや」みたいなのをそれぞれが確立としておかないとダメですね。目標的にはベタですけど、ゴールデン番組のMCとかやれていたら凄いですけど。

    (なかむら) でも、どんなポジションにいたとしても、劇場だけは絶対に出ていたいです。僕らはずっと劇場を本気でやってきて、俺らのベースなんですよ。そこだけは大切にしていかなあかんし、捨てられないことやなと。

    (京極) 千鳥さんとか、麒麟さんとか全国の顔になってるような人らが、今でもルミネとかの劇場で本気で漫才やってるのめっちゃ渋いもんな。何かほんまに劇場の空気がサッと変わるんですよ。俺らもそうなっていたいなと思います。

    ——9月末には2年ぶりの単独ライブ「9番街フェス」も行われますね。

    (なかむら) そうなんですよ。過去最大のキャパで3部制というなかなかの規模で。今は思いっきり振りかぶった分あとはやるだけなんで、プレッシャーはもちろんありますが、楽しみでもあります。1日に3公演やるんで、ほんとどうなるんやろうと思いながらも、壮大なライブになるやろなっていうワクワクした気持ちですね。

    (京極) 回を重ねるごとに着実に規模が大きくなり、ライブの質もあがってきているので、今年はピークの状態にもっていかなあかんなというのはあります。9番街フェスで今まででスベッたことはないので、同じようにやれば絶対楽しんでもらえるはず。どの10秒を切り取っても面白いライブにしたいと思います。

    (なかむら) 会場に来れない人もオンライン配信があるので、全国の皆さまぜひよろしくお願いします!

    【INFORMATION】
    『帰ってきた9番街フェス』

    日程:2026年9月28日(月)
    場所:ヒューリックホール東京(東京都千代田区有楽町2丁目5−1 有楽町センタービル 11F)
    時間:
    第1部 開場15:00/開演15:30
    第2部 開場17:00/開演17:30
    第3部 開場19:00/開演19:30
    料金:前売3,500円/当日4,000円/配信2,000円/通し券10,000円
    出演:9番街レトロ

    ▶配信チケットはFANY Online Ticketで販売中。
    https://online-ticket.yoshimoto.co.jp/products/9bangaifes-1-260928

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