「ワイルドキャンプ」で今を生き抜く 06

焚き火をもっと楽しむための定番クラフト&テクニック

正しいやり方で怪我なく賢く焚き火を楽しむ

簡単なようで、やってみると実はなかなか奥が深い焚き火。キャンプの楽しみのひとつであり、多くの人がやっていると思うが、ちょっとしたクラフトやテクニックを加えることで、焚き火がもっと楽しくなってくるはず。ということで今回、焚き火マイスターの猪野氏に、焚き火をもっと楽しく、上手に楽しむための、簡単なテクニックやクラフトを教えてもらった。知っている人も、もう一度正しいやり方を確認してみてはいかがだろう。

猪野正哉

猪野正哉

アウトドアプランナー/焚き火マイスター/ふゆキャンアンバサダー

ファッション誌を中心にモデルやライターとして活躍し、30歳を超えて活躍の場をアウトドア業界に移す。2015年には実家のある千葉市にアウトドアスペース〈たき火ヴィレッジ いの〉をオープン。テレビ番組『マツコの知らない世界』出演や、『石橋、薪を焚べる』の焚き火監修など様々なメディアで活躍。著書『焚き火の本』『焚き火と道具』が山と渓谷社から発売中。

基本だからこそ正しいやり方で!バトニングの基本

ナイフで薪割りをする技術「バトニング」。細い薪をつくりたい時に実践したい初歩的なテクニックだが、刃物を使うだけにしっかり正しい方法でやりたい。

バトニングの基本

「キャンプ場などで販売されている薪は、そのままの太さだと火がつきにくく、火起こしがとても大変。バトニングで細かく割っていきます。まずは薪の準備。焚き付け用の薪は軽く、着火しやすい針葉樹を選びましょう。今回、写真のナイフは説明用として使っているためフルタングナイフではないですが、初心者にはブレードを含む金属がハンドルの端部まで一体になっているフルタングナイフがおすすめです」

バトニングの基本
Point!

「早速割っていきますが、まず大事なのが姿勢。万が一ナイフが木から外れてしまっても、その先に体がないようにするのが大事です。足を広げずに、閉じた状態で体の外にナイフを構えましょう。また、薪が垂直における場所に置くことも大事です。しっかりと薪を安定させて行います」

「薪にナイフの刃を押し当て、上から少し押さえます。この際、刃先ではなく、ハンドル付近のフラットな部分が木にあたるようにします。割る木の太さは、刃の長さの3分の2程度に収まるくらいが適切です」

バトニングの基本
バトニングの基本

「バトンを使ってナイフの背の部分を軽く叩き、ナイフを地面に対して垂直に刺していきます。最初は強めに、しっかりと刃が入ったら細かく、短く叩いていきましょう。バトンは針葉樹ではなく、硬い広葉樹のほうがやりやすいです」

「叩き進めていき、薪が割れたらバトニング完成。薪の一番下まで叩かなくても、7〜8割刃がきたところで勝手に割れていくと思います」

バトニングの基本
バトニングの基本

「こうして小割りの薪をつくっておけば、太い薪にも火がつきやすく安定した焚き火をつくることができます。それほど難しい作業ではなく、誰でもできるはずなので何度かやってコツを掴んでください」

フェザースティックのつくり方

着火剤やバーナー、ライターを使えば簡単に火を起こすことができるが、不便を楽しむワイルドキャンプならぜひフェザースティックづくりに挑戦してほしい。

フェザースティックのつくり方

「フェザースティックとは、その名の通り木の棒をナイフで削り、フェザー(羽)のようにしたもの。空気に触れる部分を多くすることで、着火しやすくしている、言わば自然の着火剤。「火口」や「焚き付け材」として利用します。5本程度つくって火元にすることで、焚き火がとても安定し、比較的簡単につくれるのでぜひ気軽に挑戦してみてください」

フェザースティックのつくり方

「まずは材料となる薪ですが、フェザースティックには削りやすく火付きの良い針葉樹が向いています。大きさはこれくらい(厚みが3cm程度)の小割りの薪を使いましょう。なければバトニングで数本つくっておきます」

「片手で木、もう一方の手でナイフを持ってやる方法が一般的ですが、僕は特に初心者の方にはより安全に行える、両手でナイフをもつやり方をおすすめします。水平な地面と膝で木をしっかりと固定し、両手でナイフの持ち刃を下に向かって寝かせ、削っていくやり方です。刃の前に絶対に手を持ってこないように気をつけましょう」

フェザースティックのつくり方
フェザースティックのつくり方

「もしやりやすい地面が近くになければ、このように大きな木を使ったやり方でもOKです。木をお腹でしっかりと固定し、同じように両手でナイフを持って削っていきます」

フェザースティックのつくり方

「木材の角を狙い、刃を寝かせて滑らせるように薄く削ります。刃は先端よりも根本のほうを意識して使うようにしましょう。角を削ると両サイドにまた角ができると思います。それをまた削り、木を回しながら全体的にやっていきます」

「ちょっとしたコツとしては、下まで削ったらナイフを立てて羽の根元を起こします。そうすると間隔を詰めることができ、より多くの羽をつくることができます」

フェザースティックのつくり方
フェザースティックのつくり方

「羽の数が多いほど燃焼時間が長く火がつきやすくなりますが、大体このくらいやればOK。このくらいのフェザースティックを5本程度つくって火元にします」

フェザースティックの着火方法

フェザースティックをつくったら、次は着火。1本は火種をつくる用として使い、残りは焚き火台に入れて焚き付け用として使う。今回は、ファイヤースターターを使ったおすすめの着火方法を紹介する。

フェザースティックの着火方法

「まずは麻紐をほぐしたものを用意します。もし麻紐がない場合はよくあるコットン(中を取り出したもの)でも代用可能です」

フェザースティックの着火方法

「ほぐした麻紐をフェザースティックに埋め込むように絡ませます」

「フェザースティックを手に持ったまま、ファイヤースターターを使って火花を移します。ストライカーでロッドを擦って火花を起こしますが、擦る角度を薄くし、ストロークをなるべく長くとるのがコツ」

フェザースティックの着火方法
フェザースティックの着火方法

「火がついたら全体に火を回します。これを焚き火台に投入し、焚き付け用のフェザースティックに火を移せばOK。フェザースティックは燃焼も早いですが、焦らずにやりましょう」

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