空前のキャンプブームも定着し、グランピングや車中泊といった新たな楽しみ方にも注目が集まっている。だが、アウトドアでいかに快適に、楽しく過ごすかを追求するあまり「不便を楽しむ」というキャンプ本来の目的、本質を忘れてはいないだろうか。
必要最小限のギアだけをバックパックに詰めて目的地に向かい、一夜を明かす。ギアがなければナイフで自作し、寒ければ落ちている木々を拾い集めて暖をとる。そんなシンプルなことがとても新鮮に感じるはずだ。
ブッシュクラフトやサバイバルのスキルを使いながら厳しい自然、そして己と向き合う時間こそが至高。キャンプブームの一歩先を行く「ワイルドキャンプ」のススメ。ぜひ実践してみてはいかがだろう。
ワイルドキャンプとは、キャンプの本質や原点に立ち帰ったキャンプスタイルのこと。ブッシュクラフトやサバイバルスキルを使いながら、必要最小限のギアで不便を楽しみながら行う。フィールドでいかに快適に過ごすかを目的にしていないのが、一般的なキャンプと大きく異なる点。ギアに頼らず、現地で調達できるものは現地調達するのが基本だ。どこまでストイックにやるかは、自分次第。事故のないように、無理なくやれる範囲でやることが大前提だ。やっていくうちに、自然のなかで生きるための知識やスキルを身につけることができるのも、ワイルドキャンプの魅力のひとつなのだ。
テントや寝袋、マットといった寝るためのギアの他、簡単な調理器具やライトなど必要最低限のギアで構成。斧やナイフ、鉈を持参して、現地調達の木を使って足りないものはつくるのが基本だ。この他に少しの食材と飲み物くらい。バックパック一つに収まるよう、必要なギアの取捨選択が重要になってくる。
ワイルドキャンプにおけるスタンダードなキャンプサイトをつくってみた。バックパックひとつに収まる最小限のギアで、しっかりと夜を越せる確かなギアをチョイス。寝床にもなるテントは、タープも兼ねてより自然を身近に感じられるパップテントタイプ。ファニチャー類は快適性と軽量性を両立した、「サーマレスト」や「ヘリノックス」といった実力派を選んだ。それぞれ軽量であることにもこだわっているので、バックパックに全て入れてもそれほど重くないのもポイント。
今回は直火が許可されたキャンプ場のため直火での焚き火をしているが、直火NGのキャンプ場も多いため注意が必要。直火NGの場所では写真のように焚き火台と焚き火シートを使って楽しもう。直火OKの場所でも、落ち葉に火が移ったりしないよう細心の注意を払うほか、炭をそのまま置いて帰らないなどマナーの遵守は必須だ。
GRIP SWANY
ファイヤープルーフ GS テント
ミリタリー難燃生地を使用したパップテント。焚き火近くでも安心して使え(燃えない素材ではないので注意は必要)、撥水加工も施されている。フロントを跳ね上げてタープのように使うこともできる。武骨でサバイバル感のある見た目も◎。49,500円(スワニー販売 TEL.03-3306-1411)
HELINOX TACTICAL SUPPLIES
インクラインチェア
キャンパー御用達の折り畳みチェア「ヘリノックス」。こちらはより地面に近いローチェアタイプで、レバーにより簡単に座面角度を調整できるのが特徴。座椅子のように座るのはもちろん、深く腰をおろしてリラックスした姿勢まで、好みの姿勢をとれる。19,800円(エイアンドエフ TEL.03-3209-7575)
BUSH CRAFT
たき火ゴトク S
純チタン中空パイプを採用した、超軽量、薄型の焚き火専用ゴトク。荷物の隙間に滑りこませやすく、置いた際にもフレキシブルに対応できるよう片側が少し狭くなっている。直火はもちろん、手持ちの焚き火台に適合すれば調理ゴトクとしても使える。4,763円(ブッシュクラフト TEL.042-732-0787)
SNUGPAK
タクティカル2 ライトジップ
イギリス軍やNATO軍でも採用実績のある「スナグパック」の軽量コンパクトな寝袋。快適使用温度0℃を実現し、優れた防風性、透湿性、撥水性を兼ね備え快適。中綿には同ブランドが独自開発したSOFTIEの最上級クラスが使われている。収納時サイズは直径17×長さ18cm。36,300円(ビッグウィング TEL.06-6167-3005)
THERM-A-REST
Zライトソル(レギュラー)
マットや寝袋が米軍でも採用される「サーマレスト」の名作マットレス。こちらは表面にアルミ蒸着を施すことで断熱性がさらに向上。重量も410gと非常に軽量で持ち運びも苦にならない。コンパクトなアコーディオン式で、広げるだけですぐに使えるのも利点だ。9,900円(モチヅキ TEL.0256-32-0819)