映画やテレビドラマと、今春も出演作が続々と控えている中村 蒼さん。プライベートでワイルドキャンプを楽しむ機会はないが、たくましく生きる男には憧れると語る。
「実はプライベートはインドア派で……。キャンプなどアウトドアには縁がなく、ほとんど足を運んで来なかったんです。でも、苦手で避けているというわけではないんですよ。むしろ過酷な環境でも逞しく生きる男には、めちゃくちゃ憧れます。何からはじめればいいのかわからず、誘ってくれるようなキャンプ好きの友だちもいなかったので、縁遠かったというのが、正直なところです。もちろん仕事柄、番組のロケや撮影で山奥などに行くこともあります。ただ、そういう現場ではスタッフの方々がトイレに行くときも案内してくれるので、苦労することがありません。もしもワイルドな環境に一人取り残されたとしたら、使い物にならないのではないでしょうか。厳しい環境でも過ごすことができる人は、逞しさや強さを得ると同時に、普通の生活へのありがたみを感じることができるんだろうな」
また、家族ができたことで、サバイバル体験やアウトドアへの憧れも強くなったという。
「親がアウトドアにあまり関心がなかったこともあり、体験する機会がなく育ちました。だから、その分、子どもたちには体験させてあげたいなという思いはあります。ただ、家族が初めて行うキャンプやアウトドアアクティビティは、僕にとってもはじめてのこと。だから教えるのではなく、一緒に学んでいくことになりますね」
危機や危険はいつ訪れるかわからない。たとえば仕事現場でトラブルに巻き込まれた経験はないのだろうか?
「そうですね、思い出すのは、はじめて海外に行った時のことです。当時、まだ10代だったのですが、仕事で渡航しました。空港に降りて、入国審査に向かうと、“君みたいな子どもが仕事で入国だなんておかしい”みたいなことを言われたんです。どうしていいかわからず、開き直って日本語で主張することにしました。堂々と。するとあっさりと入国できたんです。その時、“どうにかなるさ”といったように、考えすぎず大胆に行動したほうが良いこともあると学びました。あれこれ事前に調べると、良い情報が手に入る反面、ネガティブな話題も耳に入ってきて、不安になることもありますよね」
頭でっかちになるより、ときには心の赴くまま行動するほうが、結果がついてくることもあると学んだ。一方、撮影の現場ではスタッフの声に耳を傾けるという。
「演じる時には台本はもちろんですが、資料や原作を読み込んだり、知ることができる情報はできるだけインプットして臨みます。でも、現場では自分の中に留めておくようにします。もし、自分が思い描いていた人物像とまったく違う要求をされても、インプットしてきた自分の色をなくすように努めるんです。なぜなら、僕はこう思う!という主張が強すぎると、周りの人は戸惑うはずです。それに自分が思いつくことなんて、たかが知れています。周りの人たちの意見をプラスして人物像を作っていったほうが絶対に良いものになるはずです」
しっかりと準備して現場に臨むが、あえてそれは胸の奥にしまっておく。その上で周囲の意見に耳を傾けながら、作り上げていく。それが中村蒼さん流のサバイバル術というわけだ。
そんな中村蒼さんが出演するテレビドラマ「ながたんと青と -いちかの料理帖-」が3月24日(金)午後11時からWOWWOWで放送される。演じるのは、門脇麦さんが演じる主人公、桑乃木いち日の先輩役だ。同作の魅力について、こう語る。
「戦後間もない京都料亭が舞台のドラマです。今の世の中とは異なり、いろいろな不自由があった時代です。そんな世界で生きていく人たちを描いた作品で、恋愛模様が中心。ただ僕らから見ると、当時の愛情表現にはじれったいと感じる部分があると思います。でも、だからこそ応援したくなる作品で、そこが魅力のひとつではないでしょうか」
また、毎回登場する、いち日の作るアイディアに溢れた手料理も見どころの飯テロドラマだ。
「いち日に鶏フリカッセの親子丼という料理を作ってもらうのですが、めちゃくちゃおいしかったです。また料理の撮影には、スタッフさんがひと際こだわっていて、気合が入っています。最近、年齢も重ねて来たので、先輩役をいただくことが増えてきました。頼られる人ってどういう人なんだろう? “大丈夫だよ”と優しく声をかける先輩にどうやって説得力を持たせるのか? 試行錯誤しながら、やらせてもらっています」
また、4月3日(月)からはNHK連続テレビ小説「らんまん」の放送もはじまる。主人公である植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)の学友を演じる。
「おそらく神木隆之介さんとご一緒するシーンが多いと思うのですが、彼こそ、芸能界を長くサバイブしてきた俳優で、なおかつずっと第一線で活躍してきた人です。そんな素晴らしい方のそばで演じられるのは、貴重な経験です。朝ドラは撮影期間が長い作品なので、より深くキャラクターとつながることができます。その良さを感じながら、撮影を楽しみたいですね」