園芸会のニュートレンドとしても注目を集めているビザールプランツだが、明確な定義があるわけではない。植物の多様性は変化に富んでいて、風変わりと感じる部分もどこを切り取るかによって変わってくることもあり、明確に線引きするのはなかなか難しいのだ。植物の分類ではなく、主にアメリカの西海岸~南アメリカ大陸、南部アフリカ、マダガスカル共和国などに自生し、さまざまな過酷な環境に適応するため、奇抜なカタチに進化した植物たちを、愛情を込めてビザール(風変わりな)プランツと呼んでいることが多い。最近では根や茎が塊状になるまで肥大した塊根植物がきっかけとなり、一種のブームが起きているが、そのほかにも多種多様な珍しい植物が存在している。今回は、特に人気の高い3グループに絞りご紹介!
Photos : YUTO KUROYANAGI
Styling : MASUMI YAGYU
Plants Coordination : QUEPASADA
Model : MIKAEL
Edit&Text : KAZUYUKI NOMURA
2022.5.16
POLO RALPHLAURENのシャツ/9,900円、LOSANGELS APPARRELのパンツ/9,900円(共にDAMAGEDONE 2nd TEL.03-6434-0287)、Leeのエプロン 22,000円(エドウィン・カスタマーサービス TEL.0120-008-503、REPRODUCTION FOUNDのサンダル 18480円(EYE FOUND)、THERMO MUGのマグカップ/1,760円(カメイ・プロアクト TEL.03-6450-1515)
これまで多くの人が慣れ親しんできた、いわゆる観葉植物とはちょっと様子が違う、歪なカタチ、樹形をもつ風変わり(ビザール)な植物たち。無骨なシルエットや個性的な色をまとい、それでいてどこか愛嬌のある姿は、強い生命力と不思議な魅力に満ちている。根や茎が異常に肥大していたり、触られるのを一切拒むような鋭いトゲを持っていたり、まるで宇宙から来たかのような珍妙なフォルムをしていたり。その魅力に取り憑かれ、次から次へと蒐集してしまう人も少なくない。今回は、そんな愛さずにはいられない風変わりな植物たちをピックアップ。大切に愛情をもって育てれば、長く人生を共にできるはず。ベストシーズンともいえる時期だけに、貴方だけのボタニカルライフを始めてみてはいかがだろう。
キョウチクトウ科パキポディウム属。属名はギリシャ語のpachys(太い)とpodos(足)に由来することからも分かるように、肥大した塊茎が特徴。多くの品種はマダガスカルの原種で、ごく一部がアフリカ南部に分布。新しい幹には鋭い棘があり、年数が経つと落とす。そのユニークで可愛らしいフォルムからファンが多く、塊根植物ブームの火付け役となった人気物だ。
キジカクシ科アガベ属。リュウゼツラン属とも呼ばれる。メキシコを中心に、米国、中南米、西インド諸島などの広範囲な熱帯地域に200種以上が分布。一部の種はテキーラやメスカル、プルケなどといったメキシコ伝統の蒸留酒、醸造酒の原料になる。ほかの多くの植物とは異なり、花を咲かせると枯死してしまう。品種がとても多く、形状もさまざま。特に先端と葉緑に刺をもつ種は鑑賞価値が高く、近年人気を集めている。
フォーケリア科唯一の属。米国南西部からメキシコ南部の乾燥地帯に自生する。鋭く密な雫型の模様が入る棘や、灰地と緑地の入り混じった荒々しい幹をもっており、先住民はこれを生垣にし、花と根は生薬として利用したそう。その攻撃的な見た目に宿る美しさから近年観賞用としても人気に。稀少な品種だが、寒さにも強く、とても丈夫で育てやすいが成長速度は遅く、気長に育てたい植物のひとつ。