近年のグリーンブームは、ファッション業界関係者やデザイナーなど、感度の高い人たちがこぞってハマっていることもひとつの要因。なかでもピザ―ルプランツは植物を専門に扱うグリーンショップで売られ、一部のマニアックな人たちの間で盛り上がっていたのが、今ではファッション系のセレクトショップでも扱われるなど、市民権を得たといっていいだろう。今回は、珍しい多肉植物に魅せられた一人である逗子在住のアーティスト、石渡さんにその魅力などを聞いてみた。
石渡 誠 さん
スケートボードの廃デッキを使い、スツールや時計などさまざまなライフスタイルに溶け込むプロダクトを展開する《CORE》主宰。逗子にスタジオを構え、逗子海岸映画祭では毎年ミニランプの設計&施工も手がけている。
逗子にある自身の工房の屋外スペースに並ぶ、さまざまな珍しいカタチ、色をもつ多肉植物たち。石渡さんは、6〜7年前から珍しいカタチをしたサボテンの魅力に取り憑かれ、コツコツと集めながら育てている。「友人が植物のブリーダーをやっていて、最初ひとつだけ育ててみようと思ったのが始まり。そこからどんどん増えていって、ここに置いてないものも含めて、いつの間にか20鉢以上に。最初はこんなに種類があると思ってなくて、調べていくうちに次から次に知らない種類や見たことのないカタチのサボテンが出てきて、沼にハマっていった感じですね(笑)」。
今では上手に育てている石渡さんだが、最初は失敗もあったそう。「元々収集癖があることもあり、最初の頃はどんどん増やしていったんです。そうすると、やっぱり枯らしてしまうものもあったりして。あたり前ですけど、生き物なので自分でしっかり育てられる範囲でやらなきゃダメだなと。そういうのもあって、なるべく手をかけなくても強く育ってくれるものを意識して選んでいます。パキポディウムとか塊根植物にも興味はあるんですが、枯れているのか休眠しているのか分からない部分もあるじゃないですか。そういうのは心配でメンタルが耐えられてないかも(笑)」。
形もフォルムも、色も全て異なる個性的なサボテンたちは見ているだけでも楽しくなってくる。石渡さんは、今までにない価値観を見出せるのもサボテンの魅力という。「とても個性的なフォルムをもつ植物も、そのフォルムを際立たせるポットと合わせることで今まで気づかなかった魅力が引き出され、違う見え方になるのも面白いと思うところ。育っていくうちに予期せぬカタチになり、理想から離れていくこともありますが、それも含めて楽しんでいます。この植物にはどんな鉢が合うかなとか考える時間も楽しいですね」
「世の中にはまだまだ見たこともない植物がたくさんあって、珍しいものを探す楽しさもあれば、鉢との組み合わせを考える楽しさもあります。最近は色々な珍しい植物を育てる人も多くなっているみたいですが、マイペースで無理なく育てていければと思います」