磯村勇斗

料理や映画、観葉植物etc.おうち趣味の充実が育む磯村勇斗の豊かな日常

Special Interview HAYATO ISOMURA
Photos : TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling : YONOSUKE KIKUCHI
Hair&Make : TOMOKATSU SATO
Plant : YUSUKE ISHIDA
Text : SHINSUKE UMENAKA(verb) 2022.5.16

先行きが見えない
不安定な日常が続くなかで
健康に気を配り、生活を整えたい
そんな欲求が芽生えた人も多いだろう。

毎朝、水をやり、日当たりを調整してあげる。
植物を育むルーティーンが
日々に落ち着きと癒しを与えてくれるのだ。

植物のある暮らしをはじめたきっかけや
自宅での趣味について
俳優・磯村勇斗に聞いた。

切り身ではなく、鮮魚を買える男に “魚の捌き方”を釣りで習得?

今年3月の第45回日本アカデミー賞で、「ヤクザと家族 The Family」と「劇場版 きのう何食べた?」の演技が評価され、新人俳優賞を受賞した磯村勇斗さん。今後も出演作の公開が続々と控えている。そんな“旬”の男の素顔は、実にGOODA的だった……。

映画鑑賞やサウナが趣味で、最近のマイブームは釣り。2017年のNHK 連続テレビ小説「ひよっこ」では、見習いの料理人を好演していたが、調理シーンを自ら演じるほど、包丁の扱いに手慣れている。そして料理道具には、こだわりがあると語る。

「18歳で上京してから、ずっとひとり暮らしをしていて、厨房でのアルバイトの経験がもあったので自炊は苦ではないですね。パパッとつくることもあれば、献立を考えて手の込んだ料理に挑戦する日もあります。お皿を買うのも好きなので、盛り付けにもこだわりますね。また鋼の包丁や、鉄のフライパンなど、きちんとケアしないと錆びてしまう調理道具を吟味して購入したり、徐々に手に馴染んでいく過程を楽しんでいます。1点モノのブーツみたいに磨いて育てています」

料理のレパートリーも和食からスパイスカレー、そしてフレンチと幅広いという。

「レシピはほとんど見ません。アルバイト時代に教わった知識と勘が頼りです。目分量で味付けをし、味覚が覚醒する瞬間というか、想像を超えるような美味しい一品になったときはテンションがあがります」

ただし、魚を捌くのは苦手で、それが悔しいのだと磯村さんは語る。

「魚は上手く捌けないので、スーパーで手に取るのは、いつも切り身。でも、隣を見ると、鮮魚が丸ごと売っていたりするじゃないですか。いつか、そっちに手が出せる男になりたいなって思っています。まだ捌いたあとの生ごみの臭いが気になるし、挑戦する勇気が出ませんが、今年から釣りをはじめました。ゆくゆくは船舶免許を取得して、自分の操縦でマグロを釣る。それを船上で捌いて、その場で食べることをゴールにしています。実現したら、きっと素晴らしい趣味になるだろうな」

磯村勇斗
ジャケット66,000円、パンツ50,600円/ともに、ラキネス(アルファ PR TEL:03-5412-3546)、シャツ52,800円/08サーカス(08ブック TEL:03-5329-0801)、シューズ、ベルト/ともに、スタイリスト私物

観葉植物を育てられないのに犬を飼うなんて無理ゲー

そんな磯村さんの多彩な趣味生活に、近年、新たに加わったのが、観葉植物だ。

「まだ10鉢くらいしかないのですが、コーデックスも持っています。都心の園芸ショップよりも割安で手に入る郊外の店舗に足を運んでは、買い増しているのですが、いまの3倍くらいには植物を増やしたいなと思っています」

自宅のグリーン化に熱を入れはじめたのはまだ1年くらいだという。しかし、そのきっかけは想像の斜め上をいく、“犬”という回答だった。

「本当は犬を飼おうと思っていたんです。でも、その頃、観葉植物を枯らしてしまって……。“植物ひとつ育てられない男に、犬を飼う資格はない!”と、まずは植物を愛して、自宅を癒しの空間にすることを自分に課したのが、はじまりです。ただ、改めて植物を育てるようになって、いろんな発見がありました。頼りなかった植物の葉が増えて、大きくなっていく。その過程を見ていると、愛おしくなってくるんですよ。水をあげるときも愛情を込めると、葉がピンとして、枝もキュッと引き締まっていく気がします。“お、ありがとうっていってるな”って、それを見るたびに、植物と通じ合えたと感じるんです」

そして、磯村さんに、これから観葉植物を育てはじめる人へのアドバイスをお願いすると、こう答えてくれた。

「最初のつまずきになりがちなのが、水やり。品種によって水をあげる頻度は変わるのですが、コーデックスと呼ばれる塊根植物は、乾燥地帯など厳しい自然環境で育つので、茎や根に水分を蓄えます。だから、頻繁に水をあげる必要がないので、初心者にも扱いやすくて、オススメですよ」

磯村勇斗

人類のためなら、ブラックホールにも飛び込んでみせる

6月17日(金)からは、磯村さんが出演する映画「PLAN 75」が劇場公開される。主演は倍賞千恵子さんで、本作は第75回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」にも出品される予定だ。舞台は、高齢化社会が一層進んだ架空の日本。75歳以上の高齢者が自ら死を選び、それを国が支援する「プラン75」という制度が成立した世界で、磯村さんは役所場で申請業務を淡々とこなす青年を演じる。説明的なセリフを極力、廃した演出が印象的で、ドキュメンタリーのようなリアリティを感じさせる作品だ。

「脚本を読んで世界観に魅了されました。たまたま日本の高齢化社会が進んだらどうなってしまうんだろう? って、考えていたこともあり、自分の感覚と作品がリンクして、出演したいと思いました。荒唐無稽なストーリーだけど、現実にこんな制度ができてもおかしくないと思わせるリアリティがあります。『PLAN 75』という作品を通じて、世の中を良くするための何かを考えるきっかけになってくれれば、嬉しいですね」

と、出演を決意した理由を語る。また、本作では倍賞千恵子さんや、たかお鷹さんなど、大ベテランとの共演になった。撮影を通じて、何か学びがあったのかと尋ねると、こう答えてくれた。

「みなさん、すごく自然体でカメラの前にいるように感じました。無理をしないというか、椅子に座っているだけでも、佇まいが違います。若い俳優だと、あの味は出せません。人生経験や、お芝居の積み重ねから生まれる説得力なのだと思います。僕もその域まで達したいです」

作中で、高齢者たちは自ら、人生の結末を選択することになる。磯村さんは自身のエンディングを考えたことはあるのだろうか?

「お芝居はずっと続けて行きたいな。死ぬまで。でも、その反面、この世界から離れて、大自然のなかで暮らしてみたいという願望もあります。あとは、人類が誰もやっていないことを挑戦するのもいいですね。たとえば、ブラックホールに飛び込むとか。それが人類のためになるなら、喜んで志願します。歴史に名前を刻むことができるじゃないですか。後世、ブラックホールに突入する行為をISOMURAって呼ぶようになるかもしれませんね(笑)」

Information
「PLAN 75」
超高齢化社会の行く末を問う。
75歳以上の高齢者が自ら死を選び、
国が支援する制度とは?

「PLAN 75」

先進国のなかでも、一際、高齢化が進む日本。超高齢化社会に対応するため、75歳以上の高齢者が自ら死を選び、それを国が支援する「プラン 75」という制度を立ち上げる。大きな論争を生んだ制度だったが、次第に高齢者の間にも、自分たちが早く死ぬことで国に貢献するべきといった風潮が広がりはじめる。78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、ホテルの客室清掃の仕事をしながら、暮らしていたが、ある日、高齢を理由に退職を余儀なくされてしまう。そして、ミチも制度の申請を考えはじめる。一方、「プラン75」の申請窓口で働く岡部ヒロム(磯村勇斗)と、サポート業務を担当する成宮瑶子(河合優実)は、粛々と業務をこなしていたが、次第に制度への疑問や違和感を持つようになるのだが……。

脚本・監督:早川千絵 脚本協力:Jason Gray 出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美
6月17日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
https://happinet-phantom.com/plan75/

人生の再チャレンジに挑む
父娘のダブル婚活

火曜ドラマ「持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜」

ヨガインストラクターの沢田杏花(上野樹里)は、妻に先立たれた父・林太郎(松重豊)と共同生活をはじめる。林太郎が遺品整理で“亡き妻からの離婚届”を発見したことで、父娘の“ダブル婚活”に発展するのだった。

脚本:吉澤智子 演出:土井裕泰、山室大輔、小牧 桜、加藤亜季子 出演:上野樹里、田中 圭、磯村勇斗、井川 遥、松重 豊 放送:毎週火22:00〜22:57 TBS系にて放送中
https://www.tbs.co.jp/jizokoi_tbs/

「ビリーバーズ」
人間の欲望をあぶり出した
漫画家・山本直樹のカルト作を
鬼才・城定秀夫監督が映画化

映画「ビリーバーズ」

とある孤島で生活する二人の男(磯村勇斗、宇野祥平)と、一人の女(北村優衣)。ニコニコ人生センターという宗教的な団体に所属する彼らは、オペレーター、副議長、議長とお互いを呼び合い、無人島での共同生活を送るのだが、次第に……。

原作:山本直樹「ビリーバーズ」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊) 監督・脚本:城定秀夫 音楽:曽我部恵一 出演:磯村勇斗、北村優衣、宇野祥平、毎熊克哉、山本直樹 公開:7月8日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
https://believers-movie2022.com/

磯村勇斗
プロフィール
磯村 勇斗(いそむら はやと)
1992年9月11日生まれ。静岡県出身。2015年にテレビ朝日「仮面ライダーゴースト」のアラン役、仮面ライダーネクロム役で脚光を浴び、以後、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(2017年)、「今日から俺は!!劇場版」(2020年)などにも出演。ドラマ「サ道」シリーズも記憶に新しい。2022年は「前科者」に始まり、「ホリック xxxHOLiC」や「PLAN 75」、「ビリーバーズ」、「さかなのこ」など出演映画が次々と公開される予定。
https://hayato-isomura.com/