蒼い海、澄んだ空、深みを増す緑……。真夏の日差しも加わり世界がビビッドに色づく季節。そんな色彩豊かな夏だからこそ白を主役に一枚上手の着こなしを。そんなエレガントなスタイルこそ大人のリゾートに相応しい。
Photos:TATSUYA YAMANAKA(Q+A)
Styling:TOMOKO TANAKA
Hair&Make:NATSUMI KAMIYA
上品なダブルブレストは
デニムでドレスダウン
大胆な組み合わせも異素材使いと
サングラスでこなれ感を
カジュアルなホワイトTは
黒ショーツで締める
定番白シャツには
カラーパンツで色気をプラス
Interview
つかみどころのないコミカルな人物を演じたかと思えば、シリアスな難役もさらりとこなす渡部篤郎さん。独特の存在感にいつも魅了されるが、気になるのは、その佇まい。どのようなファッション感をもっているのだろうか?
「20代後半くらいからお世話になっているテーラーさんが3〜4人いて、スーツは100着以上、持っています。寸法も2年に1度は計りますし、彼らも僕の好みはわかってくれていますから、スーツを作るために毎回、店頭に行くようなことはありません。ホーランド&シェリーとか僕好みの生地をいくつか持ってきてもらって、パパッと選んで、あとはお任せ。季節に応じて、多少袖を詰める注文をするくらいです。正直、スーツはもう新調する必要はないのですが、最近は歳のせいなのか、ちょっと緩めのサイズのほうが心地よく感じるようになってきたので、また総取っ替えしなくちゃいけないかなと思っているんですけど」
並々ならぬ美意識を持っているように聞こえるが、渡部さんにとっては、もう何十年も続けてきた日常の風景で、こだわっている意識がないのだという。
その他の洋服については、一度、気に入ったものを見つけると、そればかりを好んで着るのだとか。
「僕が買うのは定番モノばかりですよ。ラコステに行ってフレンチラコを大量に購入したり、ハワイでまとめ買いしたり、旅行先で手にいれることが多いかな。でも、海外でクリーニングに出すと、だいたい縮んで返って来るから、2サイズくらい大きめのものを買っておいてちょうどいいくらい(笑)」
そんな渡部篤郎さんが現在出演しているのが、WOWOW開局25周年記念ドラマ『沈まぬ太陽』。会社と対立し左遷されていく主人公の恩地元とは対照的に、出世のためなら手段を選ばぬ男、行天士郎を演じている。
「このドラマは70年代と80年代が主な舞台ですが、当時のスーツのサンプルをそれぞれ取り寄せて、時代に合わせた衣装を作ってもらっています。パッと見ると伝わらないかもしれませんが、時代ごとに辺りの幅も微妙に違うんです。別に90年代のを持ってきて、それらしく見せることだってできるのですが、それだと僕は違和感を感じてしまうんです」
演じるキャラクターを服装や外見から作り込んでいく作業を、とても大事にしていると渡部さんはいう。
「もちろん、いろいろな方がドラマを視聴しているので、人物像を統一するのは難しいでしょう。作り手さえもプロデューサーや脚本家、監督で、それぞれ意見が食い違うこともよくあります。でも、演じる僕が『この人物はこうだ』と確信を持っていることが重要なんです。だから僕は衣装も自分できちんと生み出していくことを大切にしています」
今後は渡部さんの出演作を衣装に注目しながら視聴してみるのも、面白いかもしれない。最後に理想の休日の過ごし方について尋ねてみた。
「イタリアやスペインも好きですし、パリにも長く滞在していましたが、やっぱり休日を過ごすならハワイ島が一番かな。朝からゴルフに行って、お昼からはサーフィンや乗馬。夜は6時くらいに夕食を済ませて、8時くらいには寝る。ホテルで読書してそう? そんなのどこに居てもできるじゃない(笑)」
仕事に徹底的にこだわり、遊ぶ時は全力で楽しむ、まさに、目標にしたい大人の男の理想像だ。