エアガンの収集やサバイバルゲーム。そして、TVゲームや漫画など、多趣味で知られるお笑いコンビ・インパルスの板倉俊之さん。「板倉 趣味チャンネル」と名付けられた自身のYouTubeチャンネルでも、休日に趣味を楽しむ様子を配信している。そして、コロナ禍になり、もうひとつ新しい趣味が加わったという。それがハイエースでの車中泊だ。インドア派を自認していた板倉さんが思いがけずハマった『車中泊』の魅力について聞いた。
Photos : KENGO SHIMIZU
Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
TVゲームや漫画が好きで、もともとインドア派だったという板倉さん。それがサバイバルゲームをはじめた頃から、徐々に心境に変化が訪れ、いまではハイエースで巡りたい場所が全国各地にあるという。なぜ休日のベクトルがアウトドアに向くことになったのだろうか?
「サバイバルゲームをしはじめた頃に気づいたのですが、せっかくの休日を家で過ごすことへの罪悪感がありました。同様に1日をパチンコ屋で過ごしたときも、これで良かったのか? という後悔を感じている自分がいました。でも、朝からサバゲーで野山を駆け回って、スーパー銭湯に入って家に帰ってくると、仕事は少しも前に進んでないけど、それでも行って良かったなと思うようになったんです。体を動かす趣味は、行ったら絶対に後悔しないと認識しました。ハイエースでの車中泊もそう。行かなきゃ良かった、がないんです。その確信があるから、いまは自分に許可を出し放題になっています(笑)。外に出かけるとHPは減るけど、MPが回復する。そんなふうに割り切ってますね」
家でゴロゴロしていれば、疲れた体を癒すことができる。もちろん、それもありだ。ただ、思わぬ事件が起こる確率は低いし、はじめての体験をすることもない。
「若い頃の自分には考えられないことです。なんでわざわざ絶景を見るために遠くまで行くんだろう? それなら家でゲームをしていたほうがいいじゃんって思うタイプだったのに。きっと自分にはできないことだから、そんなふうに思い込んでいたのかもしれません。でも、自分でもできるんだってわかったら、急にドアが開いた感じです」
そして、ハイエースを購入したのが、3年ほど前。当初は車中泊用に完成された車体を購入しようと思ったが、自分好みのレイアウトのほうが快適だろうと、パーツをセレクトしていったという。
「もともとキャンピングカーに興味があったんですよ、子どもの頃から。でも、都内だと置き場に困る。そのうち車中泊のブームがやってきて、YouTubeに投稿されている動画を見るうちに、普段も仕事で乗れるし、ハイエースがいいやってなったんです。キャンプがしたかったというよりは車が軸なので、車中泊に行き着きました。もちろん、堂々と車中泊ができる場所はRVパークやオートキャンプ場なので、行った先で料理をつくったり、キャンプもします。だから、キャンプ道具もどんどん増えていきます。でも、キャンプが好きな人って野生味が強いというか、生命力が高い人が多いイメージがありません? バイキングの西村さんとか(笑)。西村さんに一度、『風呂はどうしてるんですか?』って聞いたことがあるんですけど、そうしたら『別に入らなくてもいいでしょう』って。いや、入りたいでしょ!」
それでも、ハイエースに乗って、アウトドアに出かけていくのは、見たい景色、行きたい場所があるからだと板倉さんは語る。
「いままでで一番遠方まで行った車中泊旅なんですけど、宮城県の蔵王町というところに、御釜っていうカルデラ湖があるんです。ここは地球なのか? と思うような絶景ポイントなんですが、そういう場所を知ったら、絶対に死ぬまでに見たい!って思っちゃうんです。あとは秘密基地ごっこですね。車内は狭いですが、そこで牛丼を食べるだけでも楽しいんですよ。普段、食べ慣れたもの、家で普通にやっていることを、車の中でやってみると、それだけでめちゃくちゃテンションあがります。寝るのだってそう。自宅の大画面で映画を見たほうがキレイで見やすいはずなのに、車内の小さなiPadで見る映画のほうがワクワクする。車の中だぜ、ここはって。普段の当たり前が特別なことになるんです」
家にいれば、トイレだって自由に行ける。電気だって、気軽に使える。でも、車ではそうはいかない。
「雨が降っていたら、傘をさしてトイレに行かないといけない。電気だってバッテリーの容量を気にしながら、使わないといけない。そんな制限を楽しんではいますが、自宅に帰ってきたときにありがたみを感じたり、配管や電線が通っているってすごいことなんだって思えるのも車中泊の魅力ですね。あとは、家から出ると、知らなかった知識を得ることができます。山登りをかじったら、何で登山をする人が派手な格好をしているのか、わかりました。遭難したとき、ヘリから見つけやすいからなんだ! レスキュー隊のユニフォームがオレンジなのも合点がいきました。自分の世界から出ることで、新しい知識が得られるし、実感を持って理解できる。それが楽しいですね」