決めるのはすべて自分。 バックカントリーこそが冒険だ!

登山+スキーの達成感&爽快感を求めて雪山を進め!

Photos:TATSUYA YAMANAKA(stanford)、
     アイテム撮影/KAZUSHIGE MORI
Styling:YONOSUKE KIKUCHI
Model:MASASHI MIURA
Text:SHINSUKE UMENAKA
Illustration:MASYUDA
Special Thanks:星野リゾート トマム、石井スポーツ

幼少期にスキー世代の親から薫陶を受け、
ゲレンデデビュー。そして学生時代にスノボにハマった。

そんなGOODA世代が親となり、
家族を連れてゲレンデに戻りはじめているという話を聞く。
また、コロナ禍でキャンプや登山に目覚める人が増え
アウトドアとの距離もずいぶんと縮まった。
そこで冬のアクティビティとしておすすめしたいのが
バックカントリーだ。

登山の達成感と、誰も踏み入れていない
パウダースノーを滑る快感はゲレンデにはないもの。
入門者向けに専門ガイドが“いろは”を含めた
ガイドツアーを実施しているスキー場も増えており、敷居が下がっている。

さあ、準備を整えて、今冬は
バックカントリーに挑戦してみないか?

ジャケット63,800円、パンツ55,000円、バックパック17,600円、ニット帽4,180円/以上すべて、ザ・ノース・フェイス(株式会社ゴールドウイン カスタマーサービスセンター TEL:0120-307-560)、ボード148,500円/TJ BRAND(TJ BRAND https://tj-brand.com)、手袋12,100円/ダカイン(ボードライダーズジャパン株式会社 TEL:0120-32-9190)
バックカントリーこそが冒険だ!01

バックカントリーの魅力と知っておきたいルール

好きなように目的地を決め、自力で山を登る。そして、誰も足を踏み入れていないパウダースノーにシュプールを描く。そんなゲレンデにはない自由な滑走ができるのが、バックカントリーの魅力と言えるだろう。一方で安全管理されていない冬山に入るため、遭難や雪崩といったリスクが付きまとう。無謀な行動をすれば、最悪、命を落としてしまう危険だってある。

とはいえ、ルールをしっかり守れば、リスクを最小限に抑えることが可能だ。バックカントリーにはゲレンデでは体験できないスキー&スノーボードの魅力が詰まっている。まずはバックカントリーを楽しむ前に、最低限、知っておくべきルールをレクチャーしよう。

監修
監修 中島力
中島力 少年時代にスキーに目覚める。2000年に世界初のフリースタイルスキーコーチの資格を取得。その後、フリースタイルの大会に出場する傍ら、普及にも尽力し、さらにロシニョール、オークリーなどのライダーとしても活躍している。現在は代表を務めるRiki Japow Guideにて、星野リゾート トマムとアルツ磐梯のバックカントリープログラム運営に携わっている。https://rikijg.com/jp/
What is backcountry?

バックカントリーとは?

そもそもバックカントリーとは、どんなアクティビティだろう? それはゲレンデ以外の、人によって管理されていない場所でスキーやスノーボードを楽しむことを指す。ただ、近年はゲレンデのコース脇に専用のパウダーエリアを設けることで、バックカントリー体験ができるようにしているスキー場もある。また、一部の上級者だけが楽しむものかと思いきや、「専門のガイドに、レベルに合わせたコースや滑走エリアをアテンドしてくれるプログラムを依頼するなら、最低限のスキーやスノーボードの滑走スキルさえ持ち合わせていれば、誰でも楽しむことができます」と中島力さんは語る。では、具体的にどんな魅力があるというのだろう?

行き先や登山ルート、滑走時のコース取りなどすべてが自由

行き先や登山ルート、滑走時のコース取りなどすべてが自由

ゲレンデではコースが整備され、立ち入り禁止エリアも明確に定められている。だから安全に滑走できるわけだが、それは窮屈だという見方もできる。気持ちよさそうなルートを見つければ、自由に滑ってみたいと思うのはスキーヤー&スノーボーダーの純粋な欲求だろう。その点、バックカントリーでは、どこを目指し、どんなルートで歩き、そしてどこを滑走するかは、すべて自分で決める。自由な冒険なのだ。

誰も足を踏み入れていないまっさらのパウダースノーを泳ぐかのような爽快感

誰も足を踏み入れていないまっさらのパウダースノーを泳ぐかのような爽快感

誰でも安全に滑ることができるように、ゲレンデは足元を整地してある。コブがあるような上級者向けコースだったとしても、手付かずということはあり得ない。対するバックカントリーでは、誰も滑っていないパウダースノーを滑走することが可能だ。硬く整地された雪とは異なり、パウダースノーでの滑走は“泳ぐ”と表現されることもあるほど別物だ。粉のような雪を掻き分けて滑走する爽快感に魅せられるスキーヤー&スノーボーダーは多い。

自力で山を登るハイクアップで登山と同じような達成感を味わうことができる

自力で山を登るハイクアップで登山と同じような達成感を味わうことができる

リフトで山頂まで登ることができるゲレンデは、効率的だ。体力を消耗することもなく、1日に何本も滑走することができる。一方バックカントリーでは、滑走したいなら自らの力で山を登らなければならない。非効率で体力を消耗するが、それは大きな達成感でもある。豊かな自然を感じながら、魅力的な斜面を目指す。そしてそこからスキーやスノーボードで滑走する楽しさを噛み締める。スキー&スノーボードに、登山で感じる達成感をプラスしたアクティビティと言えるだろう。

backcountry manners

体験前に知っておきたい バックカントリーのマナー

単独行動はNG。必ずパーティーを組め

冬山にひとりで入り、バックカントリーをするのはご法度だ。絶対に2人以上で入山すべき。悪天候でビバークを余儀なくされたり、万が一、怪我をして動けなくなっても、誰かが助けを呼びに行くことができる。また、そのパーティには専門のガイドも加えたい。彼らが安全なバックカントリーに誘ってくれるだろう。

雪崩のリスクがあることを知っておく

バックカントリーでは、誰もまだ滑走していないパウダースノーを目指して山に入る。当然、天候や雪の状態によっては、雪崩のリスクがあることも知っておくべき。だから、バックカントリーではアバランチビーコン、プローブ、ショベルの3点を必ず携帯するルールになっているのだ。これらは万が一、パーティーが雪崩に遭遇した場合に、埋没者を掘り起こすためのもの。命を守るアイテムではないことも心に留めておきたい。

山岳保険(&登山届)には山岳保険(&登山届)には

山岳保険は、万が一、山で遭難した場合に、捜索や救助にかかった費用に対して保険金を支払うというもの。公的機関である海上保安庁が捜索を主に担当するため、費用負担が軽いと言われる海難事故とは異なり、山での遭難は多額の捜索費用がかかると言われているのだ。なお、登山届を提出していないと保険も適用されないため、山岳保険と登山届はセットで!という認識でいよう。

私有地には入らない

立ち入り禁止エリアが設定されているゲレンデとは違い、山ではどこを滑っても基本的には問題ない。ただし、私有地を除いて。なかには、山全体が私有地というケースもある。また、山に至る登山口が私有地になっている場所もあり、知らずに車を停めてしまい、トラブルになることも多い。事前のリサーチが欠かせない。

悪天候で悪天候で下山できない場合に備え行動食やテントも持参

山の天気は変わりやすい。冬晴れが急変し、強風や吹雪で足止めを余儀なくされることもあるかもしれない。あるいは誰かが怪我をしたり雪にハマり、救助しているうちに陽が落ちてしまうこともあるかもしれない。そんな万が一の事態に備えて、+1日分の行動食や水、そして一晩過ごすための簡易テントも持参しておきたい。

地形図が読めるようにしておく

雪で覆われた冬山では、肉眼で地形を把握することは不可能だ。崖や谷も見分けがつかなくなってしまう。闇雲に進めば、目の前が崖で立ち往生してしまうかもしれない。したがって、地形図を持参し、どこを進めば安全なのかルートを読めるようにしておくことも大切だ。ガイドが案内してくれるとはいえ、地形図が読めれば、迷ったときに役立つだろう。

悪天候が予想されるなら行かないという判断を

登山も同様だが、行きたい!やりたい!という気持ちが先行すると、悪天候でも挑戦しようとしてしまうもの。だが、それは無謀だ。命があれば、またチャレンジする機会はやってくる。天気予報を注視して、少しでも悪化する可能性があるのなら、行かないor戻るといった判断をするべきだ。

着替えやレイヤリングで汗冷え対策を

リフトで登り、滑ったらすぐ室内にも戻れるゲレンデと、自力で登り、帰るまでずっと屋外で過ごすバックカントリーでは、必要とされる服装がまったく異なる。移動で汗をかきやすいため、汗冷えへの対策が重要になる。着替えの準備や、レイヤリングで暑くなったら、インナーを減らすことが大切だ。もし低体温症を引き起こしてしまうと、命に関わるのだ。

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