登山を趣味にする人たちが、山に登る際に持っていくさまざまな山道具。登山を繰り返すうちに自然と必要なものとそうでないものの取捨選択がなされ、お気に入りのギアが選抜されていく。時には命を預けることがあるかもしれないだけに、機能的に優れていることはいうまでもないが、例えそれが何気なく選んでものだとしても、愛用しているからには理由があるはず。今回は、普段からギア選びに並々ならぬこだわりをもつ趣味人の面々に、お気に入りの山道具を教えてもらった。
Edit&Text/Kazuyuki Nomura
2021.9.15
ウェブデザイン会社・益田工房東京代表/
野外休憩道具店ODQK 店長
大石淳司さん 42歳
ウェブデザイン会社〈益田工房東京〉の代表。趣味が高じてアウトドアギアのセレクトショップ〈野外休憩道具店ODQK〉をオフィスに併設するなど、大の外遊び&ギア好き。インドア社員を外に連れ出そうと奮闘中。
登山をはじめたきっかけ:OUTDOOR GEAZINE編集長に誘っていただいたのがきっかけ
特に印象に残っている山:8月の苗場山
お気に入り登山飯:自作のエナジーバー
山では感覚器官が敏感になり、
自然の情報を感じとれる
元々アウトドア好きだったが、知人の誘いで登山を初め魅力に取り憑かれたという大石さん。以来、アウトドア好きの社員と皆で、登山を会社の行事に取り入れるなど、ライフスタイルに欠かせないものになっているそう。
「五感それぞれの感覚器官が、普段以上に山ではちゃんと働いている気がして、それが心地よく、喜びになっています。これまで登った山で特に印象に残っているのは8月の苗場山。冬はよくスノボに行っていたのですが、雪のない真夏の苗場は全くの別物、別世界でした。ヘトヘトになって辿りついた山頂では、一面に広がる満開のワタスゲと、青空を鏡のように反射する池塘の数々に圧倒されました」
LIGHTLOADの
オリジナルタオル
ESBITの
フォールディングカトラリー
PAAGO WORKSの
FOCUS
hallelu スタッフ
金城拓馬さん 28歳
中目黒のセレクトショップ「hallelu」でスタッフとして働きながら、ファッションモデルとしても活躍。長野県茅野市のイメージキャラクター的な活動もしており、茅野市の公式YouTubeチェンネルで八ヶ岳登山など長野県の大自然も紹介している。Instagram:@kinchan_0922
登山をはじめたきっかけ:長野県茅野市公式YouTube「Fun! Yatsugatake」の出演者に抜擢して頂いたこと
特に印象に残っている山:蓼科山
お気に入り登山飯:カップラーメン
目指すは八ヶ岳制覇!
ミリタリーアイテムを中心に幅広いセレクトが人気のセレクトショップ「hallelu」でスタッフとして働きながら、ファッションモデルなど様々な活動をしている金城さん。元々何度か登山経験があったが、本格的に登るようになってからはまだ間もないそう。
「長野県茅野氏の公式YouTube番組からお話を頂き、最近、本格的に登山の世界に足を踏み入れました。先日は信州きっての名山のひとつで、諏訪富士とも呼ばれる蓼科山に登ったばかり。山小屋から頂上に向けての登山道は急斜面の山場が盛り沢山で、登頂した後の達成感で最高の気分でした。まだ登山歴は浅いですが、楽しさを知ってしまった今、どんどんチャレンジしたいですね。目指すは八ヶ岳制覇! 」
SALOMONの
XA PRO 3D MID GTX FORCES
NASAの
OFFICIAL ANORAK PARKA
OPINELの
OPINEL No.9
フォトグラファー
茂田羽生さん 32歳
フォトグラファーとして雑誌やウェブメディア、広告など幅広いフィールドで活躍。山での撮影経験も豊富で、縦走しながらの撮影やトレイルランニング大会への同行撮影など、ハードな撮影もこなす。趣味と仕事の両面で山に登る、生粋の山登り好き。
登山をはじめたきっかけ:都会にはないものを求めて、友達と登り始めました
特に印象に残っている山:金峰山
お気に入り登山飯:カップヌードル(カップラーメンではなく、日清のカップヌードル。ここ譲れません)
登山に行くと、余計な考えが消え
頭がリセットされる
公私の両方で山に登り、まだ30代前半ながら登山歴は10年以上というフォトグラファーの茂田さん。重い機材を持っての登山は、体力的な消耗も激しく、それだけにギア選びにはシビアになる。
「重い撮影機材を持って登るとどうしても体力的に消耗するので、仕事で山に登る時は1gでも装備を軽くしたい。余計なものは持って行かないようにしています。これまで沢山の山に登りましたが、特に印象に残っているのは山梨県にある金峰山。初めて稜線を歩いた時の高揚感は、今でも鮮明に覚えています。山に登っている時は、頭のなかでパッと霧が晴れるように余計なことを一切考えなくなるんです。頭をリセットできるのも、登山の魅力だと思います」
finetrackの
ナノハンカチ
PaaGoWORKSの
ラッシュ 28 SP
Finetrackの
ドライレイヤーベーシック
ノースリーブ
アウトドアプランナー/焚き火マイスター
猪野正哉さん 45歳
モデルやライター業をやりつつ、焚き火マイスターとして焚き火の楽しさを世に広める活動も行なっている。「マツコの知らない世界」出演や、「石橋、薪を焚べる」の焚き火監修など、メディアでも活躍。山登り歴も15年で、アウトドア誌などでの登山経験も豊富。
登山をはじめたきっかけ:落ち込んでいた時に、友人に誘われて
特に印象に残っている山:水平歩道〜剣岳
お気に入り登山飯:フリーズドライなどではなく、山でも平地と同じ食事を取るのがこだわり
山に登らないと
出会えない景色がある
焚き火マイスターとして各種メディアで活躍するほか、アウトドアプランナー、モデルやライター業など幅広いフィールドで活躍する猪野さん。15年ほど前に友達に誘われて行った山で、自然の偉大さに触れ、自身を見直すきっかけになったそう。以来、山登りにハマり、これまで様々な山に登るように。
「30代に入ったころ色々と悩んでいる時期があったのですが、友達に誘われて山に行くとぱぁっと心が晴れたのが山登りを始めたきっかけ。山でみる景色は格別で、日本とは思えないような絶景に出会うことができます。特に印象に残っているのは水平歩道〜剣岳を3泊4日のテント泊で登った時。素晴らしい景色に出会えたのですが、途中、爆弾低気圧に遭遇し『人って簡単に飛ばされるんだ』と自然の怖さを思い知らされた登山でもありました」
Columbiaの
エクストリームレインジャケット
THERMARESTの
ネオエアー XライトR
SOTOの
AMICUS
入江達也さん
入江達也さん 28歳
本メディアをはじめ、さまざまな媒体で活躍するカメラマン。ギャラの多くをファッションアイテムの購入にあてる着道楽。ソロキャンプが趣味。暇があれば日本全国の風景写真を撮って回っており、その流れで登山にもハマる。Instagram:@irietatsuya
登山をはじめたきっかけ:日本の原風景を撮影したくて日本全国を回るなか、稜線から見える風景を撮りたくなり登山に興味をもちました。
特に印象に残っている山:谷川岳(群馬・新潟)
お気に入り登山飯:日清カップヌードル
思いもよらない非日常的な景色に
突然出会えるのが最高
人物撮影から物撮影まで幅広くこなし、本メディアでも活躍する入江さん。元々アウトドア好きでソロキャンプにハマっていたが、趣味の風景撮影で山登りもするように。数日暇ができたら、関東近隣の山に出かけているそう。
「何か切り替えたい時、リフレッシュしたい時に自然と足が山に向きます。普段は都心の狭く、空も見えない喧騒のなかで過ごしていますが、山では何の障害物もなく景色や空が見渡せます。それだけで、心が洗われるような気がします。特に印象に残っている山は谷川岳。稜線から見える景色が格別なのですが、リサーチ不足でロープウェイが止まっている日に行ってしまい、仕方なく発着所から時間をかけて登りました。苦労した分、稜線から見た景色が格別で最高でしたね」