サイズやカラーが豊富にある新品の洋服とは異なり、古着は一点モノだ。製造された年代も、デザインも、そして状態も同じものがひとつとして存在しない。だから、お気に入りの一着と出合った時の喜びも大きいし、買い物は宝探しのような楽しさがある。その醍醐味を最大限に味わえる場所が倉庫型の大型古着ショップだ。今回、そのひとつを訪ねた。
Photos : KAZUSHIGE MORI
Text : SHINSUKE UMENAKA(verb)
小田原厚木道路の平塚インターチェンジを下り、走ることおよそ5分。のどかな田園風景が広がる郊外に、目指す3peace古着卸倉庫はあった。視線の先に見えた白い大型の倉庫には、「3peace」の文字が掲げられていた。減速し、駐車場に入ると、すでに先客がいる。開店は朝10時で、まだ1時間ほどあるというのに。
3peace古着卸倉庫は、全国で古着店を展開している「3peace」の倉庫型店舗で、平日は業者が買い付けに利用している。土日祝日やお盆時期などの特定期間だけ、一般に開放されていて、卸値で古着を購入することができるのだ。最低購入価格が5,000円以上という点を除き、通常の古着屋と変わらない。撮影のため、裏口から営業前の店舗に入らせてもらうと、大型の業務用洗濯機がフル稼働していた。数千枚単位で次々と古着が入荷し、店頭に並べる作業が追いつかないほどだという。
店に入ると、文字通りの“古着の山”が目に入る。こちらは1点300円という激安コーナーで、30分間、積まれた古着の中から、欲しいアイテムを探し出すことができる仕組みになっている。
古着の山の正面にあるのが、大量のTシャツが並ぶコーナーだ。レトロな柄のプリントや色のくすみ具合など、一枚一枚、吟味したくなる。ここをチェックするだけで相当な時間がかかるだろう。価格も1,000〜2,000円のものが中心と非常にお得で、気になったものを手当たり次第、ショッピングバッグに放り込みたくなる。そして、奥に向かって柄シャツ、ワークシャツ、アロハシャツとシャツコーナーが続く。途中、カゴに山積みされた古着もあり、いちいち立ち止まってしまう。
メジャーリーグ、バスケやアメフトなど、アメリカンスポーツをテーマにしたタンクトップやTシャツが並ぶ一角を抜けると、デニムコーナーがある。ネームタグやジッパー、ボタンの仕様など、細部までチェックして、ヴィンテージやレアモノがないか、確認したい。
これらの古着コーナーの正面には、アウターが陳列されている。レトロな質感とカラーリングで根強い人気のナイロンジャケットのほか、新品ともMixさせやすいユーティリティ性が受けているユーロワークジャケットもある。
ここまで来るのに相当な数の古着と対面することになるが、3peace古着卸倉庫は二階建て。奥にある階段を上ると、まだ古着の波は続く。新品でも高い人気を誇る「ザ・ノース・フェイス」の古着を中心に集めた、特別な部屋がある。秋冬のアウターやフリースなど防寒着も豊富に見られた。
また取材当日は、整理券をもらい、ひと組ずつ入室する特設コーナーも設けられていた。人気が再燃しているバンドTシャツもあり、ショッピングバッグがさらに重くなる。
3peace古着卸倉庫にやってきて、印象的だったのが、家族連れが多かったことだ。古着が新鮮に映るであろう若者世代が熱心に漁っている隣で、親世代も真剣な眼差しで洋服を選んでいた。
その後、買った古着を撮影させてもらおうと、レジの前で待ち構えるものの、精算に現れる人がいない。気がつけば、開店から2時間が経とうとしていた。そして、ようやくレジに人が集まりはじめた。カートに大量の古着を詰め込んだ人もいれば、2〜3点を大事そうに抱えている人もいる。その誰もが疲れたように見えるが、満足気でもある。ひとつの店舗で、2時間近くも洋服を探すことなんて、そうそうないだろう。だが、倉庫型の古着店には、それだけ人を夢中にさせる魅力があるのだ。一度、訪れてみれば、理解できるに違いない。
瀧本耕太郎さん(20歳)
「当店には大量の古着がストックされていますが、入荷のスピードも早く、どんどん新しい古着が入ってきます。だから、来るたびに面白い発見があると思いますよ。ぜひお気に入りを見つけに来てください。お待ちしています!」
どんな古着を購入したのか、見せてもらいました。
3peace古着卸倉庫
神奈川県平塚市岡崎2976-1
TEL:0463-20-9499
営:土日祝日10:00~20:00、平日は業者限定の予約制