【製菓ツールの選び方】料理道具コンサルタントのオススメ7選

vol.10 製菓ツール(お菓子づくり道具)

お菓子づくりは捏ねたり、混ぜたりする工程が多く、体力を使うため男性に向いています。またレシピ通りに計量したり、加熱時間や温度を正確に守る几帳面さが重要で、料理が苦手な人でも挑戦しやすいといえます。そのためお菓子づくりにはハマる男子も意外と多いのです。さらに自宅で時間を忘れて没頭できるため、コロナ禍の趣味としても人気です。とはいえ、初心者はどんな道具を揃えれば良いかわからないでしょう。そこで荒井康成氏が製菓ツールの選び方やオススメの逸品を紹介します。

Styling&movie&photo:YASUNARI ARAI/Edit&Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)

2020.9.15

料理道具コンサルタント 荒井康成さん
監修
料理道具コンサルタント
荒井康成さん
日本初の「料理道具コンサルタント」。各食情報雑誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、食の学校「レコール・バンタン」の講師など、料理道具コンサルタントとして多岐に渡り活躍中。

サイズ違いを使い分けるボウルは収納もしやすいセットがおすすめ

サイズ違いを使い分けるボウルは収納もしやすいセットがおすすめ

お菓子づくりに欠かせない道具といえば、まずはボウルです。生クリームやメレンゲを泡立てたり、粉を混ぜ合わるときなど、お菓子づくりではボウルを頻繁に使います。安価なプラスチック製のものもありますが、チョコレートを湯煎しながら溶かしたり、生クリームを氷で冷やしながら泡立てるといった温度差を利用した工程もあるため、ステンレスといった熱伝導に優れたタイプを選ぶと良いでしょう。ただステンレス製のボウルには電子レンジやオーブンに直接、投入できないという弱点があるため、耐熱ガラス製のボウルも持っていると、レシピの幅が広がります。

また、ウィスク(ホイッパーは、和製英語なので輸入ものを探すときには注意)で生クリームを泡立てる際には、飛び散らないように大型のボウルを使いますが、卵黄を混ぜたりするなら、小ぶりのボウルのほうが使いやすく、サイズ違いのものを複数持っていると便利です。したがって、はじめてボウルを購入するのなら、いっそのことサイズの違うボウルやザルなどがセットになった商品を購入すると良いでしょう。ちなみに、ザルは網目が細かいタイプを選んでおくと、薄力粉やベーキングパウダーといった“粉を振る”際にダマになりにくく重宝します。

荒井さんセレクト

  • 「オールラウンドボウルズ」

    「オールラウンドボウルズ」

    S、M、L、LLの4サイズのボウルとザル、さらに耐熱ガラス製のサラダスピナーがセットになった商品。ボウルには目盛りがついているので計量もできる優れもの。また、ボウルの液体を注ぐ際に液ダレしないよう縁が加工されている点もうれしい。

    参考価格20,350円

グリップの太いウィスクのほうが手の大きい男性は混ぜやすい

グリップの太いウィスクのほうが手の大きい男性は混ぜやすい

続いては、いわゆる泡立て器の「ウィスク」です。多くのお菓子のレシピでは、混ぜるという工程があるので、真っ先に購入すべきツールです。選ぶポイントのひとつ目はグリップ。男性は手が大きいので、太めのグリップのほうが掴みやすく、しっかり力が伝わります。また、ワイヤーの接続面が丈夫で耐久性の高いものを選ぶと良いでしょう。生クリームなど粘度の低いものなら良いのですが、ケーキの生地など粘度の高いものを混ぜていると、強い力がかかるため、耐久性が低いと、ワイヤーが折れたり外れたりしがちです。

そのほかワイヤーの間隔やバルーンと呼ばれるワイヤーの形状も混ぜやすさに影響します。ワイヤーの本数が多ければ、生地や液体に空気をたくさん含ませることができるため、泡立ちがよくなります。ちなみにバルーン部の長さと使用するボウルの直径を同程度にすると、混ぜやすくなります。

荒井さんセレクト

  • マトファー「ウィスク(ホイッパー)」

    マトファー
    「ウィスク(ホイッパー)」

    マトファーは1814年に創業されたフランスの製菓道具メーカーで、プロ御用達。ステンレス製で耐久性にも優れており、太めのワイヤーでしっかりと空気を入れながら、泡立てることができる。

    参考価格 2,869円

ミキサーやフードプロセッサーの役割をこなしてくれる頼れる助っ人

ミキサーやフードプロセッサーの役割をこなしてくれる頼れる助っ人
バーミックス「M300 スマート」

お菓子づくりの楽しさに目覚めてきたら、より簡単に生地やクリームを混ぜることができるハンドミキサーや、据置型のフードプロセッサーがほしくなってきます。ただハンドミキサーは刃がないため、食材のかくはんには向いておらず、フードプロセッサーは刃がついてる分、かくはんや生地をこねるのが得意ですが、どちらも洗うのが面倒という難点があります。

そこでオススメなのが、ハンドブレンダータイプのバーミックス「M300 スマート」です。コンパクトで狭いキッチンでも邪魔にならず、使用後も先端部分を洗い流すだけ。生クリームの泡立てなら、紙パックにそのまま先端を突っ込んで、泡立てることができます。手作業では難しい氷のクラッシュも簡単でスムージーや冷製スープといったおしゃれな料理にも使えます。ちょっとしたメカが鎮座するキッチンに男心もくすぐられるのでは?

荒井さんセレクト

  • バーミックス「M300 スマート」

    バーミックス
    「M300 スマート」

    ハンディフードプロセッサーの元祖といわれるスイス生まれのバーミックス。片手で扱えるコンパクトさなのに、氷など硬い素材も粉々にできるほどパワフル。各種アタッチメントを交換するだけで、泡立てたり、砕いたり、すりつぶしたり、多彩な用途に使える優れもの。

    参考価格 27,500円

混ぜたりこそげ取ったりするヘラは シリコン製が使いやすい

混ぜたりこそげ取ったりするヘラはシリコン製が使いやすい

お菓子づくりの経験がないと、ヘラっているの?と思いがちですが、あるとないとでは作業のしやすさが段違いです。スパチュラとも呼ばれるヘラは、食材を混ぜ合わせたり、ボウルに残った生地やクリームをしっかりとこそぎ取るためにも使えます。料理で主に使うのは木製の木べらですが、お菓子づくりでは裏ごしをしたり、粘度のあるクリームや生地を扱うため、しなやかに曲がるシリコン製が圧倒的に使いやすいです。シリコンが黒いタイプを選んでおくと、変色が気にならず、長く愛用できます。

また、料理用のヘラはフライパンで食材を炒める際にも使用するため、柄が長いタイプのほうが手元も熱くならず使いやすいのですが、手元での作業が多いお菓子づくりでは持て余してしまいます。短めのタイプを選ぶと良いでしょう。

荒井さんセレクト

  • 工房アイザワ「ゴムヘラ」

    工房アイザワ
    「ゴムヘラ」

    新潟県燕市を拠点にする工房アイザワの製品は、機能性とデザイン性にこだわっており、愛用するプロも多い。コシがありつつ、しなやかさもある硬すぎず柔らかすぎないシリコンを使っており、ソースから固めの生地までしっかりとこそぎ取ることができる。

    参考価格 1,694円

その他のセレクトアイテム

その他のセレクトアイテム
  • サンボネ「ケーキサーバー」

    サンボネ
    「ケーキサーバー」

    1826年に北イタリアで生まれた歴史あるカトラリーブランド「サンボネ」。世界の一流ホテルやレストランで採用されており、クラシックな佇まいは目を引く美しさ。このケーキサーバーで取り分けるだけで、自作のスイーツの格があがった気になる。

    参考価格 6,600円

  • ドゥマール「シルパット」

    ドゥマール
    「シルパット」

    シリコンとグラスファイバーを使ったプロも使用するマットで、クッキー生地を成形したあと、そのままオーブンで焼くことも可能(250度程度まで)。低温にも強いため、チョコレートや飴細工を載せたあと、冷凍庫で冷やすときにも使える。

    参考価格 2,461円

  • タイガークラウン「スケッパー」

    タイガークラウン
    「スケッパー」

    新潟県燕市にあるタイガークラウン社。ステンレス製のバネ材を使用したスケッパーは適度な弾力性があり、生地を返したり、細かく刻む作業にストレスを感じない。まな板やパットに、こびりついた生地を取り除くときにも便利。

    参考価格 476円

Profile
料理道具コンサルタント荒井康成さん

荒井 康成 YASUNARI ARAI
料理道具コンサルタント/Kitchenware Stylist

洋菓子店店長、和陶器店主を経て、フランス陶器エミール・アンリ社の日本法人設立に携わる。以後、日本初の「料理道具コンサルタント」として独立し、「料理通信」「ELLE gourmet」など、各食情報誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、Panasonic「ふだんプレミアム」や魔法びんのパイオニア「サーモス」のInstagramディレクション、「キユーピーサラダクラブ」や「カルビーフルグラ」など食品会社の販促物スタイリング撮影、食の学校「レコール・バンタン」では講師として、多岐に渡り活動中。著書に「ずっと使いたい世界の料理道具」(産業編集センター刊行)。http://www.araitools.com