園芸が趣味なら別だが、都市で生活していると、土に触ることは、ほとんどない。ましてや農作業をする機会なんてないだろう。それが徐々に変わりつつあるという。渋谷や新宿などの街中にある空きスペース、あるいはビルの屋上に小さな畑を設ける試みがじわりと広がっているのだ。また、郊外の農地を借り、より本格的に土と触れ合う人もいる。すべての食材を自給自足で賄うのは非現実的だが、野菜を育て、それを収穫して、自ら食べる。そんなプリミティブな体験は都市生活に慣れた僕らにとって、新鮮に映るのだろう。あなたも農作業をはじめてみないか?
Photos : TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling : YONOSUKE KIKUCHI
Model : Shogo
Text : SHINSUKE UMENAKA
若い頃は農作業といえば、肉体労働のイメージもあり、正直、気が進まなかった。疲れるし、汚れるし、虫だっている。しかし、時代が変わり、年を重ねるにしたがって、農作業への印象は劇的に変化した。汗をかいて作業をすることに尊さを感じるし、野菜が芽を出し、花を咲かせ、そして実をつけるまで育てあげるプロセスはクリエイティブに思えるほどだ。とはいえ、収穫するまでには地道な作業も多い。まずは土を耕し、雑草をまめに刈り取っていく。今年は、どんな野菜を植えようか、そんなことに頭を巡らせながら、体を動かす。
オーバーオール33,000円、Tシャツ8,800円、ハット20,000円/すべてカイメン(カイメンkeimenproducts@gmail.com)、長靴はモデル私物
当然だが、野菜には旬がある。スーパーでも通っているうちに、それを感じることもあるが、ハウス栽培の野菜や輸入野菜も陳列されているため、どうしても鈍感になっていく。その点、自分で育てるとなると話は別だ。それぞれの野菜には植えるタイミングがあり、それを無視することはできない。旬だけではなく、天気・天候にも敏感になる。大雨が降れば、畑が心配になり、台風の進路もこれまで以上に気に掛かる。日照りが続けば、今度は雨が恋しくなる。この日はスナップエンドウや枝豆を収穫。そして、じゃがいもの発育を調べるために、一角を少し掘り起こしてみる。まだまだ小さく、収穫には早いが順調に育っているようだ。
多く採れた日は畑の脇にバーベキューセットを用意して、祝祭といこうではないか。きっと僕らの祖先たちも自然の恵みに感謝して、こうしていたはずだ。会話をしながら、日々の労働を讃えあう。テーブルや椅子を組み立てれば、あっという間に、ワイルドなライブキッチンが完成した。もぎたての野菜をオリーブオイルに投入し、アヒージョにする。にんにく、新玉ねぎ、スナップエンドウ、プチトマト、そら豆をざっと洗い、火が通りにくい食材から加えていく。さきほど渓流で釣ったばかりのニジマスの顔もある。会話に夢中になっていると、アヒージョができあがった。これは食べる前から美味しいってわかるやつだ。やっぱり、自分で収穫した野菜、釣り上げた魚を新鮮なうちに食べるのは最高の贅沢。身体が歓喜しているのが、よくわかる。
後回しにしてしまいがちな農作業。
でも、せっかくなら洒落た作業着を身に纏い、
颯爽と土をいじりたいだろう。
なんなら、着替えず、そのまま街に繰り出せたら、最高だ。
どうしたらかっこよく農作業ができるのだろうか?
農作業×ファッションを考える。
土を耕したり、収穫をしたり、動きの多い農作業では、スウェットが大活躍。とくにサイドリブが裾から手首まで続き、可動域が広くなっているタイプが着心地良いだろう。厚手のコットン素材なら、ハードワークしても、すぐにヘタってしまう心配がない。
スウェット15,000円、Tシャツ8,800円、つなぎ49,500円/すべて、カイメン(カイメンkeimenproducts@gmail.com)
農地での作業ではシューズが汚れたり、濡れることは避けられない。だからラバーブーツが欠かせない。中でも履き心地に定評があるエーグルのファーミング用ラバーブーツはオーセンティックな佇まいで農地映えするだろう。衝撃吸収してくれる3層構造のソールで長時間の作業でも疲れにくい。もうひとつは足へのフィット感や機能性を追求したフォックスファイヤーのニーブーツ。熟練の職人がパーツやマテリアルを吟味し、手作りしているため、長靴にありがちなブカブカ感がなく、ピッタリとフィットする。
(奥)長靴23,100円/フォックスファイヤー(ティムコTEL:03-5600-0121)、(手前)長靴27,500円/エーグル(エーグル カスタマーサービスTEL:0120-810-378)