料理男子なんて言葉がもてはやされたのが懐かしく思えるくらい、自炊は男にとっても日常になっている。そんな料理で、テンションがあがる瞬間といえば、おいしくできたときだろう。それは当然として、新しいキッチンウェアを手に入れたときも候補にあがるはずだ。作業が劇的に便利になるツールや、デザイン性の高いアイテムがあると、それだけで台所に立つのが楽しくなる。そこで料理道具コンサルタントの荒井康成さんに、贈り物や自分へのご褒美に最適な、おすすめキッチンウェアをピックアップしてもらった。
Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
2024.11.15
料理道具コンサルタント
荒井康成
洋菓子店店長などを経て、フランス陶器エミール・アンリ社の日本法人の設立に携わる。その後、フリーランスとなり、日本初の“料理道具コンサルタント”として独立。執筆やスタイリングだけでなく、料理道具のすばらしさを伝える映像も制作している。
チェーンソーや芝刈り機などを製造しているスウェーデンのメーカー「ハスクバーナ」が手がけるフードジャー。登山やキャンプなど、屋外での食事シーンで活躍してくれるキッチンギアだ。二重壁の銅製真空断熱材を使用しており、高い耐久性と保温性を兼ね備えている。またフタに折り畳み式のスプーンが装備されているので、別途カトラリーを用意する必要がない。広い開口部はフードの取りやすさとお手入れの利便性を考慮してのもの。
キャンプ好きには斧製品が有名なブランドですが、販売している唯一のキッチンウェアがこのフードジャーです。ハスクバーナのキーカラーであるオレンジ色が眩しく、性能はもちろん優秀。デザインと性能を兼ね備えた男らしいフードジャーは貴重で、登山やキャンプ好きなら、いつかは手に入れたい製品ですね。
生のコーヒー豆を購入し、自宅で焙煎するための家庭用コーヒー焙煎器で、台所用コンロや小型のガスストーブで加熱しながら、使用する。ドラム部分が石英ガラスでできており、豆の焙煎過程を見ながら、炒ることが可能だ。木製のハンドルやメタルの温度計もいい味を出していてキッチンに置いておくだけでも洒落た空間演出に。
コーヒー沼にハマると、生豆を購入し、自ら焙煎もしたくなります。そうなると、業務用の焙煎器の購入を検討することになりますが、この焙煎器なら、自宅で気軽に挑戦できます。透明なガラスで生豆が焙煎されていく過程も美しく、珈琲豆だけでなく、アーモンドやナッツ類などを炒ることができる点も魅力的です。まさに自分へのご褒美で手に入れたい道具では?
独特のフォルムで、一度見れば忘れないティモ・サルパネヴァ氏デザインの鋳鉄製の鍋。滑らかな曲線が印象的な木製のハンドルは、調理中に熱くなった蓋を持ち上げる際、容易に掴めるよう計算されている。また、内側は熱伝導が良く、汚れや匂いが付きにくい琺瑯仕上げに。デザインはもちろん利便性の点でも評価の高い鍋だ。
映画「かもめ食堂」の劇中に登場したことで一躍有名になった、北欧を代表する鍋です。北欧ならではのスローライフを感じさせるような、鉄と木の素材が融合したデザインは、和洋問わずにゆっくり鍋料理を楽しみたい、永く使って次の世代にも譲り渡したい。そう思わせてくれる魅力があります。デザインしたのは、フィンランドの世界的有名な彫刻家ティモ・サルパネヴァです。使わないときでも、棚に飾って眺めていたいですね。
シンプルだけど、主張のあるドリップケトルのデザインは家具デザイナーの小泉誠氏によるもの。コーヒーをドリップする際、繊細に湯量をコントロールできるよう、製造が難しいとされる三角形の湯口を採用している。また蚕(カイコ)を連想するような白く柔らかな艶を持つホーロー製で、ニオイや色移りもなく、お手入れがしやすいのも良い。
家具デザイナーの小泉誠さんがデザインし、墨田区の町工場職人が造り出した琺瑯のケトルです。かつては日本の至るところにあった、琺瑯製造会社も今では2社のみになりました。そんな日本の手仕事とモノづくりの火を消さぬため、家具デザイナーの小泉誠さんが新たな息吹を注入した逸品。ただの湯を沸かすだけのケトルではなく、湯を沸かし、珈琲のドリップが誰でも美しくできるように注ぎ口や角度などを何度も試作して完成させました。5色展開ですが、マットブラックは、室内だけでなくアウトドアでの薪火使用でも映えること間違いありません。
浅いフラット面が特徴的なパンケーキ用のフライパン。食材を裏返しやすく、熱が素早く伝わるという利点がある。スケップシュルトは1906年にスウェーデンで創業した北欧唯一の老舗キャストアイアンブランドで、スウェーデン政府が定めた厳格な審査をクリアした純粋で化学物質を含まない原材料だけを使用している点が特徴的。またオーガニック菜種油でシーズニング済みなため、すぐに使用を開始することが可能になっている。
スウェーデンで118年の歴史を持ち、鉄製品を製造するスケップシュルト。男ならいつかはこんな鉄フライパンで肉を焼いてみたい、そんな期待以上な働きをしてくれるフライパンです。他社にあまりない5mm厚で肉厚なフライパンは、ステーキ以外に、餃子、パンケーキ、ハンバーグ、ナポリタンなどの料理に適しています。料理好きな男の心をくすぐる道具なはずです。