年の瀬が迫っている。みんな、今年も頑張って仕事をしてきたはず。
周りからの評価は様々あるだろうけれど
年末ぐらいは自分を誉めてあげたいものだ。
精一杯やってきたことは、自分が一番わかっているから
ボーナスで“特別な買い物”をしたって、バチは当たらないはずだ。
ご褒美があるから、張り切って仕事ができる。
そこで今回は、寒い季節に手放せない人気のダウンジャケットや
憧れブランドの腕時計、バッグといったアイテムの中から
自分へのご褒美ギフトを厳選した。
疲れた心と身体を整えるリトリート旅とともに紹介しよう。
Photos:TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling:YONOSUKE KIKUCHI
Model:HAYATE OGASAWARA
Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
2024.11.15
昨年は記録的な暖冬だった。そのため、ダウンジャケットが手放せないようなシーンは、かなり限定的だったはずだ。しかし、今季は冬型の気圧配置が強まり、西日本や東日本では例年よりも気温が下がるという予測が出ている。当然、ダウンジャケットの出番が増えるはず。仕舞い込んでいたダウンジャケットを引っ張り出してきても良いが、新調するなら、いまがベストなタイミングってわけだ。そこで大量にリリースされる新作の中から、注目の逸品をピックアップ。見つけたら、即買い必至の一生モノダウンを紹介しよう。
ダウンジャケットといえば、モンクレールの名を真っ先に思い起こす人も多いはず。いまに続くダウンジャケットブームの火付け役で、セレブやファッショニスタから絶大な支持を得るプレミアムブランドだ。1952年にフランスの郊外で産声をあげ、当初はテントなどの登山用品を製造していた。その後、フランスを代表するアルピニストであるリオネル・テレイ氏をアドバイザーに迎えたことで、最高のダウンジャケット開発に着手することになったという。そして、誕生したモンクレールのダウンジャケットは世界のアルピニストが絶賛する優れた機能性を有していた。たっぷりと使用される高品質のダウンによる防寒性能に加え、後年さらに評価を高めたのは他とは一線を画する洗練されたエレガントなデザインだ。
そんなモンクレールが80年代のクラシックなダウンジャケットを再定義し、今日的にアップデートしたのが、このVerone(ヴェローネ)だ。片面は柔らかで耐久性のあるコーティングナイロン素材にマットな仕上げを施しているのに対して、もう片面は光沢のあるポリエステル素材で仕上げられていて、リバーシブルで着用できる。また袖が取り外し可能で、ベストとしても着ることができるという優れもの。ヨークにはロゴ入りのキャンバスがあしらわれているほか、裾のドローストリングで好みのフィットに調節することも可能だ。
ストーンアイランドは1982年にイタリアで生まれたファッションブランド。ミリタリーウェアやアウトドアウェアが持つ機能性に、ファッション性を融合させた、革新的なデザインが特徴だが、とくに独自の素材開発や染色技術に力を入れている。これまでに60,000以上の異なる染色配合を生み出してきたと言われるほど。開発した生地では光沢感のある「ナイロンメタル」が有名だ。また、生地を裁断し、縫製したあとに染色する「ガーメントダイ」と呼ばれる独特の風合いを持つ染色方法も取り入れている。生地の状態で染色するより、縫い目や生地の凹凸が染料に触れるため、風合いや色むらが個性になるのだ。
最新のダウンジャケット「41419 NYLON METAL IN ECONYL®」では、ナイロンメタル生地を発展させ、再生糸のECONYL®(エコニール)を使用。より時代に即したサステナビリティな一着になっている。ECONYL®は不要になったプレコンシューマ・ポストコンシューマナイロンを複雑な解重合処理で再生することによって、従来の原材料を用いたナイロンと同じ特性を実現したという。またガーメントダイの工程にも耐えられるように特殊な加工を施した、最高級の羽毛を充填している。フードの縁にドローストリングが入っており、またインナースリーブと両サイドにナイロンテープのアップリケ付きだ。
1957年にカナダのトロントで創業されたカナダグース。メイドinカナダにこだわった生産体制や確かな技術力で知られるブランドだが、プロダクトコントロールが厳密なことでも知られる。たとえば、ダウンに使用しているカナダ産のガチョウの毛も、非人道的な方法で集めるのではなく、家禽産業の副産物として出たものだけを購入し、使用している。また、ひとつの商品を作る工程には13工程があり、そのすべてを人間の手作業によって行なっている。こうした実直なモノづくりから生み出されるダウンジャケットは、スタイリッシュなデザイン性と圧倒的な防寒力の高さが特徴で、大人気ブランドの一角をなしている。
トレンドになりつつある、着丈の短いシルエットを採用した「アンバコート」。通常のコットンよりも繊維が長い最高級のピマコットン素材を厳選して使用しており、質感がなめらか。エレガントな佇まいを演出するのに、ひと役買っている。また、袖はジッパー仕様で取り外すことができるようになっており、ベストにアレンジして着用することも可能だ。ボリューム感からもわかるように防寒性は申し分ない。長く愛用できるであろう、飽きのこないデザイン性も秀逸だ。
1971年にイタリアのボローニャでマッシモ・オスティによって創設されたシーピーカンパニー。創業者のマッシモ・オスティはミリタリーウェアのアーカイブを収集して、それを再構築することで洋服をデザインしたと言われている。そのためミリタリーやワークウェアが持つ機能性や素材、あるいはデザイン性を組み合わせたような世界観に定評がある。また、味のある風合いやカラーリングを再現するため、世界で初めて「ガーメントダイ」を採用したと言われる。こうした挑戦的なスピリッツから、イタリアンカジュアルの先駆者と評されることも。
胸にレーザー加工で表現したロゴが光るシーピーカンパニーの新作ダウンジャケットが「MEDIUM JACKET GORETEX INFINIUM」だ。インナーダウンは単体でも着用ができるもので、3WAY仕様になっている。アウターには耐水性を持つメンブレンフィルターを通して、効率的に通気性を確保する「Gore-Tex 3L Infinium」を使用。また、シームテープでしっかりと密閉することで高い防水性を発揮してくれる。そのほか収納可能なフードが付いたスタンドカラーのほか、複数のユーティリティリーポケットを配備していて、機能性も追求されている。
昨年、日本に初上陸した「ベーコン」は、2008年にイタリア・ミラノで誕生したダウン専門のファッションブランドだ。知名度では他のダウンブランドに劣るものの、立体的でスタイリッシュな仕立には、エレガントな空気が強烈に漂う。デザイナーのロベルト・ロノーチェがかつてラグジュアリーブランドのアウターデザインを担当していたと聞けば、納得だ。機能性にも優れており、通常のダウンジャケットとは明らかに一線を画す。上品なダウンがほしいけれど、他人とは被りたくない。そんな人にはうってつけ。
ややショート丈というのが、ダウンジャケットのひとつの潮流になっているが、ベーコンの「NEW ORDER ROD」もそのひとつ。ボリューミーなルックスなのにシルエットが野暮ったくならないのは、ショート丈の効果が大きい。また、ライトなナイロン地を使用することで軽さを演出している。さらに曲線的なステッチの切り替えがモードな印象も感じさせる。下部にあるドローコードを使えば、シルエットの微調整を行うことも可能になっている。