スマホがあるから、腕時計はいらない? 確かに時刻を把握するだけなら、スマホで事足りるかもしれない。でも、腕時計は嗜好品であり、ファッションアイテムでもあり、成功の証でもある。そして、ハイクオリティな一級品であればあるほど、男としての格があがるといえるだろう。1本くらい他人に自慢できる腕時計を所有したいものだ。もちろん高い買い物だが、それだけの価値がある。さあ、買っちゃえ!
Photos:TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling:YONOSUKE KIKUCHI
Model:HAYATE OGASAWARA
Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
2024.11.15
オメガの歴史は1848年に遡る。懐中時計の組み立て工房を開いたことが発端だが、今回ご紹介する「コンステレーション」が発売されたのは、創業から100年以上が経過した1952年のこと。オメガで初の精度認定を受けた腕時計のみからなるコレクションだった。当時のオメガの技術を結集して作られ、2020年には第5世代目が発売されたが、いつの時代もオメガの最上位コレクションとして扱われている。
コンステレーションは英語で「星座」を意味し、その名の通り、文字盤の6時の上に星が刻まれているのが、特徴だ。また裏盤にはジュネーブ天文台とその上に8つの星のレリーフがデザインされている。「スピードマスター」や「シーマスター」などオメガを代表する各コレクションにはそれぞれのデザインコードが存在するが、コンステレーションのそれはベゼルに配置された「4つの爪」だ。確かな防水性と堅牢性を保つために設置された「4つの爪」は、2020年に登場した第5世代となってもデザインとして継承されている。
ロレックスの兄弟ブランドである「TUDOR(チューダー)」。ロレックスが誇る「オイスターケース」、「パーペチュアル(自動巻き機構)」などの性能を普及させるために、ロレックスの創業者ハンス・ウイルスドルフがチューダーにも同機構を採用したことで、広く知られることとなった。その後、ロレックスには存在しないオールブラックのモデルなど、独自の路線を強化するようになり、武骨だけどフレッシュな魅力を持つ機械式腕時計ブランドとして、注目が高まっていったのだ。
そして、チューダーを代表するダイバーズウォッチコレクション/チューダーの象徴的スポーツコレクションがブラックベイ。過去のモデルに着想を得たヘリテージシリーズの一つとして2012年に加わった。1969年以降のダイバーズウォッチに見られた「スノーフレーク針」や、大きめのリューズ、ドーム風防、アルミのベゼルプレートなどが特徴だ。そんなブラックベイシリーズのモデルとして2018年に誕生したのが、「ブラックベイ 58」。着想源となったのは1958年に発売された200m防水ダイバーズモデル、通称「ビッグクラウン」だ。このモデルのために新開発された自動巻きムーブメントを搭載し、「ネイビーブルー」は2020年の新色。従来の黒とは異なる洗練された雰囲気が堪らない。
1884年にレオン・ブライトリングはスイスの山岳地方であるサンティミエで、精密機器工場を開設した。操作性や視認性に優れた時計、あるいは操縦を助ける計器などを製造するためで、これが現在のブライトリングのはじまりだ。「計器としての時計づくり」が発端である点が、他の時計ブランドとの大きな違いである。1915年には独立したプッシャーを備えた初の腕時計型クロノグラフを、1952年には航空用計算尺搭載「ナビタイマー」を発表。1984年発表のクロノマットは、機械式時計復活の象徴となり、これらは今もブライトリングを支える主力コレクションになっている。
そんなブライトリングのアベンジャーは、航空計器にまつわる「空」がテーマの時計コレクション。「ナビタイマー」に見られる伝統的なパイロットウォッチのスタイルとは違い、視認性の高いダイヤルに操作性の高いデザインなど、現代的にアップデートされたディテールが特徴だ。ステンレススチールを採用し、ダイヤルカラーはさまざまな部隊のユニフォームの色合いからインスピレーションを得ていると言われる。水深300mまで耐えることができ、機能性や耐腐食性構造によって、長く愛せる一本になるはず。
オリジナリティー溢れるデザインで、日本でも人気が高いタグ・ホイヤー。創業は1860年で、エドワード・ホイヤーが建てたスイス・サンティミエの時計工房がはじまり。1887年にはクロノグラフのメインパーツとして、現在でも使用されている「振動ピニオン」を発明し、世界的な注目を集めることになる。その後、100分の1秒まで計測ができるマイクログラフを開発し、ストップウォッチの世界に革命を起こした。これによりモータースポーツ界と密接な関係を築くようになり、スポーツ選手やレーサーから熱い支持を集めていく。
そんなタグ・ホイヤーが誇るダイバーズウォッチのひとつが、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300だ。光の当たり方によって微妙に表情を変えるサンレイ仕上げのダイヤルは、高級感とスポーティさを兼ね備えており、タグ・ホイヤーらしい佇まい。また、インデックスと針に夜光塗料が施されているため、暗所でも昼夜を問わず時刻を正確に読み取ることができる。そのほか300m防水や逆回転防止ベゼル、ねじ込み式リューズなど、本格ダイバーズウォッチとしての機能も申し分ない。
世界に誇る国産腕時計の最高峰ブランドといえば、ご存じ「グランドセイコー」。1960年に「グランドセイコー」の初代モデルは誕生したが、スイスをはじめとした世界の時計ブランドに比べると、かなり後発。そこで彼らと対等に渡り合うため、『実用時計の最高峰』を謳った。独自に定めた厳しい検査基準の「GS規格」は、世界で最も厳しいと言われるスイスのクロノメーター規格に匹敵するレベルで、高いクオリティが特徴となっている。また、ムーブメントの開発から設計、製造、組立、調整、検査、出荷までの工程を自社で一貫して行う完全マニュファクチュール体制は世界でも稀。モノづくりの国「ニッポン」の誇りでもある。そのほか、「クォーツ式」ムーブメントと「機械式」ムーブメント、そして「スプリングドライブ」の3つをラインナップしているのはグランドセイコーのみだ。
そんなグランドセイコーからおすすめするのは、9Fクオーツモデルの「SBGX355」。最大の特徴は、工房から望む穂高連峰の雪化粧をイメージしてデザインされたという、通称「雪白ダイヤル」だ。白を用いず、特殊な銀めっき加工によって純白を表現しており、耽美な美しさには惚れ惚れする。心臓部は熟練した匠の手作業によってひとつひとつ丁寧に組み上げられた、9Fクオーツ。技術が詰まった名品をぜひ。
1832年にスイスの山岳地帯にあるサンティミエで創業した時計工房が、ロンジンのはじまり。伝統的な時計製造技法を用いて、高精度な時計を製造し、さまざまなスポーツのタイムキーパーを務めたことでも世界的な評価を高めた。その後、世界最大の時計製造連合である「スウォッチグループ」に加わり、コストパフォーマンスに優れた上質な時計を作り続けている。代表的なコレクションには、エレガントな「ロンジン マスターコレクション」のほか、伝説的なダイバーズウォッチを踏襲した「ロンジン レジェンドダイバー」、ヘリテージパイロットウォッチをベースにした「ロンジン スピリット」、そしてハイスペックなダイバーズスタイルの「ハイドロコンクエスト」などがある。
そんななか今回ご紹介するのは、水中探査用に設計されたという「ロンジン レジェンドダイバー」だ。2つのリューズと回転ベゼルによって、ひと目で分かる印象的なスタイルになっており、人気を集めている。ベゼルは、ケースの内側に配置することで、偶発的な操作や衝撃によってセッティングが変更されるのを防いでくれるという効果もある。もちろん水中だけでなく、陸上でも優れたパフォーマンスを発揮するはず。