90歳になったワニ、「ラコステ」。歴史が支えるユニークな進化で、ストリートへ
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    90歳になったワニ、「ラコステ」。歴史が支えるユニークな進化で、ストリートへ

    2023.11.17

    “ワニのマークのポロシャツ”といえば、「LACOSTE」(ラコステ)。多くの人が知るブランドであり、その代名詞ともいえるポロシャツは、一度は見かけたことがあるという人も多いのでは。そんなLACOSTEが、今年90周年を迎えた。90年前 、LACOSTEはどんなふうに始まったのか。そのルーツを探るとともに、現在の進化したLACOSTEに迫る。

    取材/TAKANORI ITO

    ラコステ創業者、ルネ・ラコステ氏 ©Archives famille Lacoste / © Underwood & Underwood - Archives Lacoste

    「アリゲーター」(ワニ)というニックネームがすべての出発点

    テニスプレーヤーのルネ・ラコステ氏は4大大会で7度も優勝を飾った偉大なプレイヤー。そんな彼が、1933年にフランス・トロアで立ち上げたブランドがLACOSTEだ。シンボルマークのワニは、ルネ氏の試合を見たアメリカ人ジャーナリストが「その戦いはワニのようだった」と記事に書き、ルネ氏に “アリゲーター”(ワニ)というニックネームをつけたことに由来する。ちなみにフランスでワニは「くらいついて放さない」並外れた集中力と何事にも動じない落ち着きの持ち主として、賛辞を送られる存在だという。

    ©Droits reserves

    “革命”とまでいわれた名品「L.12.12」

    LACOSTEを語るうえで避けては通れないのが、L.12.12(エル.トゥエルブ.トゥエルブ)といわれる定番のポロシャツだ。ルネ氏は、現役のテニスプレイヤー時代、かいた汗が体にまとわりつく当時のテニスウェアをより快適なものにしたいと考えており、ジャージー・鹿の子という織り方の、今ではポロシャツの常識となった素材を考案した。軽くて通気性がよく、汗を吸収し、皮膚の呼吸を妨げない。その着心地は当時革命とまでいわれたそうだ。発売から90年たった今、ポロシャツといえば鹿の子素材がスタンダードとなっていることを考えると、まさにLACOSTEのポロシャツは革命だったといえるだろう。現在でも、L.12.12はブランドの代名詞となる存在だ。当時はフランス製だったポロシャツ。時を経て、現在日本で販売されているものは日本製となっている。ラコステの確かな品質は、made in JAPANへと引き継がれたのだ。

    L.12.12 ポロシャツ 17,600円

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    オリジナルフィット 長袖 ポロシャツ 17,600円

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    そして次の100年へ。LACOSTEの新時代を切り開く「スニーカー」

    LACOSTEの歴史を振り返ったところで、ここからは未来を切り開く新しいLACOSTEのアイテムを見ていこう。進化が止まらない今シーズンのアイテムからいくつかピックアップしてご紹介する。まずはLACOSTEのシューズカテゴリーで主軸となるアイテムから。「L003 NEO」は、デコラティブなシューレースが映え、大ぶりなメッシュアッパーに、カットオフのナイロンとスエードが重なり合ったカッティングエッジな1足。今年1年を通して、ブランドがキーアイテムとして打ち出しており、もともとはファッションショーで発表したシューズに改良を重ねて一般発売となったというスニーカーだ。

    L003 NEO 19,250円

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    ハイブリットな雰囲気の進化系アイテム「モノグラムジャガードトラックスーツ」

    次に紹介するのは、ベーシックなトラックスーツにモノグラムデザインを施し、エレガンスとスポーティーを混ぜ合わせたハイブリッドな雰囲気を持たせた人気のアイテム、「モノグラムジャガードトラックスーツ」だ。トラックスーツは、LACOSTEがポロシャツの次につくったといわれており、今シーズンはさまざまなタイプが揃っている。

    モノグラムジャカードトラックジャケット 27,500円

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    サイドテーピングモノグラムジャカードトラックパンツ 24,200円

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    全パーツがワントーンのプレーンデザイン「クロコバックステッチダウンジャケット」

    背中にワニのアウトラインが大きく刺繍されているダウンジャケット。胸元のワニロゴパッチ、表地、裏地、ジッパー、付属品に至るまですべてのパーツがワントーンで仕上げられている。ここまでワントーンで服をつくるのはかなり大変な作業のはず。シンプルゆえにテクニックが感じられるアイテムだ。ショート丈なのもトレンド感が効いている。

    クロコバックステッチダウンジャケット 55,000円

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    テニスコートとストリートは地続きになり、LACOSTEの可能性は広がり続ける

    テニスウエアから始まったLACOSTEは、ゴルフ、ヨットなどさまざまなスポーツシーンで着用されています。1990年代には、フレンチラッパーたちがLACOSTEを着始め、エレガントなスポーツブランドだけに留まらない存在になっていった。その証拠にスティーブ・マックィーン、フレディ・マーキュリー、オードリー・ヘップバーンなどの世界的なセレブたちがLACOSTEのポロシャツに袖を通し、COMME des GARCONS SHIRT(コムデ ギャルソン シャツ)、Supreme(シュプリーム)、sacai(サカイ)、A .P. C(アー.ペー.セー)など名だたる世界的ブランドとのコラボレーションアイテムも実現してきた。

    そして今年は、“ワニの90回目のバースデーパーティー”と称して世界各国(日本、ブラジル、フランス、韓国等)でそれぞれのコミュニティに合わせた期間限定のポップアップストアも開催された。LACOSTEの歴史と今が交差するこの空間は、世代を超えたLACOSTEファンとブランドが深くつながるきっかけになったに違いない。90 年という長い歴史のなかで、ブランドのアイデンティティは守りつつ常に進化してきたLACOSTE。これからも時代に合わせて柔軟に進化し、世界中で愛されるプロダクトを生み出し続けてくれるはずだ。

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    • 伊藤孝法
    • 伊藤孝法

    • 北海道生まれ。中目黒の老舗セレクトショップOUTPUTオーナーで、さまざまなブランドのセールスやPRを手がける。
      2014年、WWDファッショニスタ100人がリコメンド!に参加。
      テキスタイルデザインや自身のYOUTUBEチャンネル、北海道でFM番組のパーソナリティーも担当している。

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