“B”の長靴を大ヒットさせた「日本野鳥の会」、次なる注目は自然保護の思いを繋げるアパレルライン
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    ファッション

    “B”の長靴を大ヒットさせた「日本野鳥の会」、次なる注目は自然保護の思いを繋げるアパレルライン

    2023.03.29

    キャンプ場や野外フェス、はたまた雨の街中で、“B”のロゴが入ったお洒落な長靴を履いた人を見かけることがある。それは「日本野鳥の会」の「バードウォッチング長靴」というアイテムだ。2004年の発売以降、野外フェスをきっかけに2006年頃から若者の間で話題になり、“お洒落な長靴”として人気を集めている。また現在では、長靴以外にもファッショナブルなアイテムが多数リリースされているという。今回は、日本野鳥の会の魅力あふれる商品や自然保護への思いについて、公益財団法人日本野鳥の会の齋藤都久美さん、伊藤忠商事株式会社の駒木李美さん、ダイワボウアドバンス株式会社の北村篤男さん、佐藤淳さんにお話を伺った。

    取材/TAKANORI ITO

    ヒントはホームセンターに。「バードウォッチング長靴」誕生秘話

     
    ――はじめに、「日本野鳥の会」の活動内容について、教えていただけますか。

    齋藤「『日本野鳥の会』は、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間が共存する豊かな社会の実現を目指して活動を続けている自然保護団体です。現在、5万人ほどの会員やサポーターがおりますが、全員がバードウォッチングをするわけではなく、会費や寄付が自然保護に使われるという理念に賛同し、会員になっていただいている方もいます。バードウォッチングは取り組みのひとつであり、自然保護など、活動は多岐にわたります」

    ――現在、“お洒落な長靴”として若い世代から人気を博している「バードウォッチング長靴」ですが、誕生したきっかけを教えてください。

    齋藤「当会の会員さんが、旅行先のホームセンターで、小さく丸めることのできる田植え用長靴を見つけ、バードウォッチングに向いている!と当会とメーカーへご連絡くださったのが制作のきっかけです。というのも、以前よりバードウォッチャーから、探鳥に行く際に長靴が大きくてかさばるので、コンパクトに持ち運べるようにしたいという声があったんです。その後、メーカーと試作を繰り返し、2004年に商品化。そこから2年ほど経った頃から、不思議なことに若い方が次々と直営店に訪れてはバードウォッチング長靴を購入していくようになりました。
     
    人気が出始めたのは、どうも野外フェスがきっかけだったようです。夏の野外フェスで長靴は必須アイテム。山間部で行われることもあり、雨などで足元がドロドロの状態になるためです。宿泊する人はテントなどの資材があり、日帰りで行く人も荷物を減らしたい。小さく折り畳めて持ち運びやすい、バードウォッチング長靴が注目を浴びたのは、そんなニーズにこたえられる商品だったからなのです。
     
    現在は、キャンプや釣り、ガーデニング、農業、ゲリラ豪雨対策(置き長靴)まで、幅広い用途でご愛用いただいています。もちろん、バードウォッチングにも最適なアイテムですよ。定番は3色(グリーン、ブラウン、グレー)あり、それに加えて、毎年夏に限定色をリリースしています。サイズは23~29cmまで、1cm刻みでご用意しています」
     

    バードウォッチング長靴 6,930円

    アパレルラインを若い世代の「日本野鳥の会」への入り口に

     
    ――日本野鳥の会のアパレルラインをスタートさせたきっかけを教えてください。

    駒木「もともと、私がバードウォッチング長靴を愛用しており、そこが日本野鳥の会を知る入口になりました。自然保護などの活動内容に感銘を受けて、何か一緒にできないかなと思ったことが、アパレルラインをつくるきっかけになっています。商品を通して、自然や生き物、サスティナブルな取り組みを幅広い世代に身近に感じてもらいたいですね。現状は50代、60代の会員の方が多ので、若い世代にも日本野鳥の会の理念に共感する仲間を増やしていけたらと思い、今のような商品ラインナップになっています」
     

    バードウォッチャーの意見を取り入れたギミック満載の服づくり

     
    ――日本野鳥の会のアパレルラインは、実際どのようなコンセプトで展開しているのでしょうか。

    北村「バードウォッチングをはじめ、デイキャンプや街着にも使えるアイテムをバランス良くラインナップしていますが、キーアイテムとしてバードウォッチング長靴があるので、コンセプトには“雨”というものが入ってきます。ですが、雨だけでオールシーズンのアイテムを展開するのは難しいので、コンセプトを少し広げたアイテムづくりに取り組んでいます。また、バードウォッチングをする際に起こるさまざまな問題を解消できるようなギミックをデザインに盛り込んだりもしているのですが、これは日本野鳥の会の皆さんへのヒアリングがベースになっています」
     

    実用性も兼ね備えた今春夏オススメアイテム

     
    ――今季の春夏アイテムや、これから発売するアイテムを紹介してください。

    佐藤「オオワシのキャラクターをあしらい、背中にナンバリングが入ったフットボールライクなデザインのロングスリーブTシャツです。アメリカ産のコットンを使ったオリジナルボディーで、若干ルーズなシルエットでつくっております。カジュアルな普段使いにも適したデザインのなかに鳥がモチーフになっているところは、日本野鳥の会ならではのポイントです」
     

    Graphic L/S T-Shirt 4,290円

     
    佐藤「定番のクルーネックスウェットです。日本野鳥の会の英語表記、『Wild Bird Society of Japan』をカレッジ調な雰囲気にしたもので、こちらもアメリカ産のコットンを使用したオリジナルボディーです。『何のロゴだろう』と調べてもらって、野鳥の会の存在を知ってもらえたら良いなという思いから、この定番シリーズはつくっています。特に若い年齢層の方に知ってもらって、野鳥や自然に興味をもってもらえたらと思っています」
     

    Crew neck Shirt 7,590円

     
    佐藤「こちらはパンツです。これから発売になるアイテムですが、実際にバードウォッチャーの意見を取り入れ、ギミックを盛り込んだ内容になっています。サイドポケットの部分には、小さめの双眼鏡が入る想定になっており、ポケット部分がキルティングになっているので、双眼鏡を保護することもできます。ほかには、野鳥を数えるカウンター(別売)をかけられるストラップもついています。更に、バードウォッチングはぬかるんだところを歩くことも多いため、泥がついたり、ぬれたりしないように裾をロールアップできる仕様にしています。ヒップの部分もキルティングで当て布し、自然の中で座ることを想定したデザインになっています」
     

    Bird watching pants 19,580円

     
     
     
    日本野鳥の会では、バードウォッチング長靴のほか、1シーズンで20型ほどのアパレルがリリースされている。それら商品の売上の一部が自然保護活動に使われているため、ファッションとして気軽に取り入れるだけで、自然を守る活動にもつながっていく。バードウォッチングをしない人でも、普段着として着用してみてはいかがだろうか。環境問題に興味をもつきっかけになってほしいと思う。
     
     

    商品に関するお問い合わせ

    【バードウォッチング長靴】
    直営店「バードショップ」
    電話:03-5436-2624
     
    【アパレルライン】
    ダイワボウアドバンス株式会社
    電話:03-4332-5230
     

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    • 伊藤孝法
    • ▼話を聞いた人

      伊藤孝法

    • 北海道生まれ。中目黒の老舗セレクトショップOUTPUTオーナーで、さまざまなブランドのセールスやPRを手がける。
      2014年、WWDファッショニスタ100人がリコメンド!に参加。
      テキスタイルデザインや自身のYOUTUBEチャンネル、北海道でFM番組のパーソナリティーも担当している。

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