ファッション
すべては「水沢ダウン」から始まった……!
冬本番に存在感を発揮する「DESCENTE ALLTERRAIN」
(デサント オルテライン)の圧巻の機能性とは?
2022.11.04
ハイクオリティなメイドインジャパンブランド「水沢ダウン」。そのテクノロジーから生まれた「DESCENTE ALLTERRAIN」は、優れた機能性と洗練されたデザインにより、今や世界中が注目する冬のマストアイテムになっている。そんなDESCENTE ALLTERRAINについて、ブランド誕生の経緯とこの冬オススメのアイテム、コーディネートについて、デサントジャパン株式会社の大田晃輝さんに聞いた。
取材:TAKANORI ITO
協力:中山綸子(デサントジャパン株式会社)
嶋田哲也(muroffice)
防水性・保温性に優れ、こもりやすい不快な熱や湿気を逃がす画期的な構造を実現
――まずは、「DESCENTE ALLTERRAIN」のブランド誕生のきっかけを教えてください。
大田「DESCENTE ALLTERRAINは、2012年に『DESCENTE』のカテゴリーとしてローンチしてから、今年で10周年を迎えます。DESCENTE ALLTERRAINの誕生は、2010年に開催されたバンクーバーオリンピックに合わせ、前身となる『水沢ダウン』ができたことがきっかけです。DESCENTEには日本選手団にアウターウェアをサプライするというミッションがあり、これまでにない良質なダウンジャケットを提供したいという思いがあったのです。2007年くらいから開発に着手し、2008年に水沢ダウンの最初のモデルが完成しました」
――“これまでにない”とは、どのような点でしょうか?
大田「一般的なダウンジャケットでは、ダウンパックに羽毛を詰める際、羽毛の偏りを防ぐためにステッチを入れてキルティングにするのが主流のつくり方です。しかし、雪や雨が非常に多いバンクーバーでは、キルティングの縫い目から浸水してダウンの膨らみが失われ、保温性が弱まってしまう問題がありました。
この課題に取り組むために、水沢ダウンの開発が始まったのです。水の侵入を防ぐために、表地に縫い目を出さないようにし、熱圧着でダウンを閉じ込めて、縫製部には裏側からはシームテープを貼ることにしました。熱接着によるノンキルト加工とシームテープ加工により、高い防水性を実現。保温力のアップに伴いダウンの量を減らすことに成功し、軽量で動きやすくなるといったさまざまな利点が生まれました。岩手県の水沢市の工場で製作したことが、ネーミングの由来です」
――発売当初から「水沢ダウン」と呼ばれていたのですね。そこから「DESCENTE ALLTERRAIN」へ、どのようにつながっていったのでしょうか?
大田「水沢ダウンが完成した2008年頃はまだまだ生産数が少なく、一部のスポーツ用品店に並ぶのみでした。2010~2011年頃になると、ファッション関係の人たちが水沢ダウンの存在に気づいてくださり、『これは凄いぞ!』ということに。シームレスダウンは当時まだ珍しく、『この機能で、この値段!』と評価され、セレクトショップで取り扱われるようになり、色々なブランドからコラボレーションの話をいただくようになりました。
DESCENTEのモノづくりが少しずつ認められていくなかで、水沢ダウンで培ったテクノロジーをシェルジャケットやパンツなどのアイテムに派生させ、2012年にカテゴリーとしてDESCENTE ALLTERRAINがスタートしたのです」
――DESCENTE ALLTERRAINの製品の “核”になる、素材やテクノロジーの話を教えてください。水沢ダウンの開発時から、継続している技術もあるのではないでしょうか?
大田「水沢ダウンは開発初期からアップデートを繰り返していますが、基本的な機能、特長といったものを変えていません。防水性、保温性の高さに加えて、DESCENTEが独自開発した『HEAT NAVI(R)』(ヒートナビ)という生地の特性があります。ヒートナビは太陽光を熱に変換でき、+5℃の保温機能を生み出す機能をもっています。ほぼすべての水沢ダウンの裏地に採用されています。
また、『デュアルジップベンチレーション』の採用も特長のひとつです。これは、フロント部分に2列のジッパーとその間に配置されたメッシュ生地を採用。衣類内に外気を取り込みながら、ウェア内部にこもりやすい不快な熱や湿気を逃がすことが可能です。
更に、フードを使わない時は収納でき、必要な時にはジッパーのスライダーを引くと、一瞬でフードが取り出せる『パラフードシステム』を搭載しています。これらの機能は、水沢ダウンの多くの製品に標準装備されています」
ブランドの人気アイテムをピックアップ
――初期モデルやブランドを代表するようなアイテムについて教えてください。ダウンだけでもかなりの数がありますが、そのなかでもオススメの物が気になります。
永遠の定番アイテム「MIZUSAWA DOWN JACKET “ANCHOR”」
大田「水沢ダウンの初期モデルとしてロングセラーを続ける『ANCHOR』(アンカー)というモデルです。熱接着ノンキルト加工や裏地のオリジナル素材、デュアルジップベンチレーション機能などが装備されています。表地には高いウォータープルーフ性能と優れた透湿性能を兼ね備えた、4WAYストレッチ素材『DERMIZAX(R) MICRO STRETCH』を採用しており、とても快適な着心地です」
――定番アイテムなのですね。このイエローリーフはほかにはない、良い色だと思います。
栄えある賞を獲得した高機能モデル「MOUNTAINEER」
大田「続いては、水沢ダウンジャケットのハイスペックモデル『MOUNTAINEER』(マウンテニア)で、ANCHORと同様の素材と機能性をもっています。ドイツのミュンへンで毎年行われる世界最大級のスポーツ展示会『ISPO MUNICH 2018』にて、『ISPO2018パフォーマンスセグメント・マウンテンパフォーマンスカテゴリー・アワード』を受賞したモデルです。商品のコンセプトやデザイン、技術、環境への配慮などの項目が審査され、優れた製品に授与される名誉ある賞をいただきました」
――まさに定番にふさわしいアイテムですね。
抜群のストレッチ性を誇る「CREVASSE-S」
大田「『CREVASSE-S』(クレバス-S)というモデルは、運動性の向上を目的に開発した機能素材、『schematech SKY』を表地に採用。特殊なジャガードラッセル編みにより、一枚の生地の中で部分的にストレッチ性を変化させています。これにより、高い運動性と快適な着心地を実現しました。縫い目や切り替えのない生地からは、ストレッチの効き具合や通気性の良さを感じられるでしょう」
――このアイテムからは、個性的なデザインと優れた機能性を実感できますね。
防水性に優れた定番アイテム「CREAS」
――ダウン以外のオススメアイテムはありますか?
大田「こちらの『CREAS』は防水のシェルジャケットで、定番的にリリースされる人気アイテムです。先程のMOUNTAINEERのデザインを踏襲し、デュアルジップベンチレーションやパラフードシステムも搭載しています。一般的に袖部分にはベルクロ(マジックテープ)を使いますが、このモデルには『ブロックフィットアジャスター』を採用。摩耗したりぬれたりした状態でも着脱できる素材を使っています」
――このブロックフィットアジャスターは初めて見ました! 着脱が楽にできますね。
快適な温度と着心地の良さを両立した「FUSIONKNIT」
大田「最後にもうひとつ。DESCENTE ALLTERRAINの中に『FUSIONKNIT』(フュージョンニット)というシリーズがあります。これは、リバーシブルフーディーなのですが、表側にはUVカット機能をもつ天然繊維のような風合いのニットを、裏側にはHEAT NAVI(R)の糸を採用しており、衣服内を快適な温度にキープできるようになっています。その2つの素材をスーパーソニック加工(超音波溶着加工)と熱接着加工によりつなぎ合わせました。継ぎ目にリフレクティブテープを貼ることで、視認性の高さと縫い目のない着心地の良さを実現しています」
「FORM FOLLOWS FUNCTION」というコンセプトで展開
――最後に、DESCENTE ALLTERRAINが信念にしていることを教えてください。
大田「DESCENTE. ALLTERRAINでは、全モデルで4色展開すると決めており、そこにはデザイナーの意思があります。『配色よりも機能性に集中したい』『機能を突き詰めていけばそれがデザインになる』という考え方を軸に、『FORM FOLLOWS FUNCTION(デザインはすべて機能性に従事したものである)』というコンセプトで展開しています」
DESCENTEを使ったコーディネートを楽しもう
優れた機能性をもつDESCENTE ALLTERRAINのアイテムの数々。洗練されたデザインをぜひとも普段着に取り入れたい。デイリー使いにふさわしいコーディネートの見本を、DESCENTEの展開する商品のみで再現してもらった。
お洒落さと機能性を両立したDESCENTE ALLTERRAINのアイテムを身に着けよう
洗練されたデザインで優れた着心地を提供してくれるDESCENTE ALLTERRAIN。圧倒的な素材の機能性とテクノロジーによるモノづくりにより、多くのユーザーから支持を集める理由が分かるだろう。DESCENTE ALLTERRAINのアイテムは、DESCENTE TOKYO(TEL:03-6804-6332)をはじめとしたDESCENTE BLANCの10店舗、そのほかのセレクトショップにて展開中だ。
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話を聞いた人
伊藤孝法
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1973年北海道生まれ。中目黒の老舗セレクトショップOUTPUTオーナーで、さまざまなブランドのPRなども手がける。2014年、WWD日本のファッショニスタ100人にも選ばれ、自身のYouTubeチャンネル「ファッションとカルチャーとme」も更新中。