Awesome City Clubモリシーの「COFFEE&MUSIC」

やりたいと思ったときに動く。チャンスは逃さないほうがいい

――この「MORISHIMA COFFEE STAND」には、どんな方が来られるのでしょうか？

「Awesome City Clubのファンの方々が来てくれるのが多いんですが、近所でお店を営業されている方や通りすがりの方……、いろんな方が来てくれます」

――紅白歌合戦出場、レコード大賞受賞ミュージシャンに、直接コーヒーを入れてもらえるなんて、贅沢ですね。

「僕はミュージシャンですが、普通の人間。『芸能人だから』と特別扱いされたりすることに、以前からアンチテーゼを唱えていて。僕はコーヒーを飲みに来てくれたファンの人たちにオーサムの音楽の感想も聞きたいし、他の話も聞くし、普通の人間として接してもらいたいと思っているんです。日本でのミュージシャンへの接し方は、ちょっと疑問にも思ってもいます」

――確かに海外では、ミュージシャンが普通にパブで飲んでいて一緒に話せたりしますよね。以前ロンドンのパブに入ったら隣でエイミー・ワインハウスが飲んでいて、びっくりした思い出があります。

「僕もイギリス、マンチェスターのパブでプライマル・スクリームのボーカルのボビー・ギレスピーにあって、『大ファンだ！』と話かけたことがありますよ。日本もそんな風になったらいいなという思いもあります」

――「MORISHIMA COFFEE STAND」をやることは、モリシーさんのミュージシャン活動にどんな影響を与えているんでしょうか？

「ここを始めたのは2020年12月。コロナ禍になって『いつ何が起きるかわからないから、やりたいことをやっておかなければ後悔する』と思ったのがきっかけだったんです。来てくれた方と話すことは息抜きになるし、リフレッシュできますね。ファンの方に『この曲がよかったです』『ライブ行きました』などと言われると、『よし、頑張ろう』という気持ちにもなりますし。コロナ禍になってからファンの人たちとのコミュニケーションも減ってしまったし、直接意見が聞けるのはうれしいです」

――そもそも、なぜコーヒースタンドを始めようと思ったんでしょうか？

「大学を卒業してアルバイトをしていた2010年頃、下高井戸にコーヒー豆専門店があって、そこにふらっと入ったんです。それまではコーヒーが好きだったわけではなかったんですが、そこで試飲させてもらったコーヒーがめちゃくちゃおいしかった。そこからコーヒーが好きになったんですが、『いつかコーヒースタンドがやりたい』というのは、その頃からありました」

――コーヒーの淹れ方は、そのコーヒー豆専門店の店主に教わったんですか？

「最初はそうですね。あとは独学。基本的に凝り性なんで、インターネットで情報を調べたり、コーヒー好きな友だちにリサーチしたり」

――「MORISHIMA COFFEE STAND」のコーヒーの淹れ方のこだわりは、どんなところにありますか？

「フィルターの紙を入れて、コーヒー豆を入れる前に、80度〜90度のお湯をバーッとかけるんですよ。それで受け皿に溜まったお湯をポットにうつすんですが、普通は紙の雑味が残るからやらないんです。でも、これをやっているおかげでちょっと自分独自の味になっているかな、と思いますね。これでうちのコーヒーはクリアな味ではなく、人間味の強い味です。あとは、いちおう藤岡弘、さんみたいに『おいしくなあれ』と思いながら、淹れてはいます（笑）」

――ミュージシャンとコーヒースタンドの両立は、大変ではないですか？

「本当に不定期でやってるので（笑）。だいたいは土日にやっていて、インスタグラムのストーリーで前日に『明日やります』など告知して、ゆるい感じでやっています」

――近年、副業を始める人が増えてきましたが、副業に限らず何か新しいことに始めてみたい人へのアドバイスはありますか？

「『やりたいな』と思ったときに、思いきりで動いたほうがいい。もちろんのちのち『もっと計画しておけばよかった』ということもきっと出てくるんですよ。でも動かないでそう思うより、動いてそう思うほうがいい。チャンスは逃さないほうがいいですよ。あとは、いろんな職業の人とたくさんつながっておくこと。この店も人とのつながりでできたようなもんですから」

――本業と副業、うまく両立させるコツはありますか？

「僕は会社員ではないので条件は違うかもしれないんですけど、本業があるという点では同じ。やはり無理はしないほうがいいですね。でも本業があるからといって、副業だって仕事。マネタイズを気にしすぎず、副業の時間で“好きなことを追求する”“拠り所にする”と思ってやればうまくいくんじゃないかな」

「オリジナルブレンドコーヒー（500円）は、マンデリンとグアテマラとブラジルのブレンド。マンデリンが好きなので、そのテイストを残したいと『永福町の珈琲焙煎所 青空豆店』にオーダーしてつくってもらっています。このコーヒーカップは、ファンの方が自分で焼いて作ってくれたものです」

ブルースからコーヒーへ、自分でも気づいてなかった自身のルーツ

――モリシーさんの音楽に目覚めたルーツは？　

「ギターを弾きたいと思ったきっかけは、小学校5年のときにB‘z。『Calling』のミュージックビデオの松本孝弘さんを観て、『母ちゃん、俺ギターやりたい』って。高校生のときはバンドでブルースセッションをやったりしていましたね。ジョン・メイヤーやスティーヴィー・レイ・ヴォーン、バディ・ガイといったブルースギタリストも好きでしたね」

――ブルースからコーヒーにたどり着いたわけですね。

「そうかもしれない！　コーヒーとブルースって密接な関係があるんですよね。歌詞にもコーヒーが出てきたり、日本のブルースでもコーヒーがよく出てきます。自分でも今、コーヒーが好きになったのはブルースが好きだったからだったのか、と気づきました（笑）」

――モリシーさんご自身は、普段どんなふうにコーヒーを楽しんでいますか？

「毎朝必ずコーヒーを入れます。あとは休日にリラックスのために、アナログレコードで好きな音楽をかけながら飲んだりもしますね」

――Awesome City Clubの音楽もコーヒーとよく合うと思うのですが、コーヒー飲みながら聴く、Awesome City Clubおすすめ曲を教えてください！

「今、テレビ朝日系朝の情報番組『グッド！モーニング』テーマソングになっている『Good Morning』は朝のコーヒータイムに最高ですよ。午後にしっとり聴きたいなら、3月にリリースされたアルバム『Get Set』の『ランブル』、アルバム『Grower』の『Nothing on my mind』、僕が編曲を担当した『夜汽車は走る』もおすすめですね。アコースティックな曲はたくさんあるんですが、どれもコーヒーに合うと思います」

――最後に「MORISHIMA COFFEE STAND」とAwesome City Clubの今後の展望をお願いします。

「変わらずマイペースにやっていきたいですね。規模は小さくてもいいので、メニューは増やしたいですね。オーサムのほうは、まだちょっとライブでお客さんが声を出せない日々が続きそうですが、ゆるく元気にみんなが観に来てくれればうれしいと思っています」

MORISHIMA COFFEE STAND

東京都 杉並区 和泉 3-12-8
営業日は前日にインスタグラムのストーリーで告知
12:00〜19:00（時間は日によって変更あり）

Awesome City Club（オーサムシティクラブ）

モリシー●Awesome City Club（オーサムシティクラブ）のギタリスト。2013年東京にて、atagi、PORINとともに男女ツインボーカルのAwesome City Clubを結成。2015年4月、１stミニアルバム「Awesome City Tracks」をリリース。幅広いルーツをミックスした音楽性を持つ３人編成グループとして、音源リリース、ライブをコンスタントに行う。2021年、映画「花束みたいな恋をした」にPORIN、メンバーが本人役で出演、映画のインスパイアソング「勿忘」が各ストリーミングサービスで上位にランクインし続け、関連動画を含む総再生数は10億回を突破。同年12月に「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2022年3月には4thアルバム「Get Set」、続けて4月には配信シングル「Good Morning」をリリース。

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