ファッション
大人が履きたい次世代スニーカー
「スラックフットウェア」を知る
2022.03.18
洗練された“大人カジュアル”スタイルのために「SLACK FOOTWEAR」のスニーカーを選ぶ人が増えている。その人気の秘密を探るべく、株式会社エフ・エー・アール・エム プレスの倉永さんと部長の金子さんにデザインや製法のこだわり、2022春夏のオススメまでをお聞きしました。
取材:TAKANORI ITO
「2022SS」のイチオシは新定番「ELCLUDE(エルクルード)
―大人カジュアルスタイルに合わせやすいスニーカーとして人気の「SLACK FOOTWEAR」ですが、「2022SS」(春夏のコレクション)でイチオシのアイテムはどれですか?
倉永「2021年に新作としてリリースした『ELCLUDE(エルクルード)』がイチオシです。素材は『スムースレザー』(表面を平らに加工した革)を使用しており、コードロックで調整できるゴム紐が特徴です。紐靴なのにスリッポンのように脱ぎ履きがしやすい仕様になっています。また、『プラットフォームソール』という、3.5cm程の厚底を使用しています。これは厚底にマイナスイメージを抱く方でも気にせず履ける、“大人も履ける厚底”になっています。さらに専門的なことをいえば、この厚さのスニーカーを『バルカナイズ製法』(ハンドメイドに近い古典的なスニーカーの製法)でつくっているブランドは少ないと思います」
―このデザインを生み出したときは、最初からこれを新定番にしようと思っていたんでしょうか? それとも展示会での評判や発売後の人気で新定番に押し上げられたアイテムなのでしょうか?
金子「実はこのアイテムは発売前にクラウドファンディングを実施していまして、目標金額の2000%程の支援を集めてスタートしたので、初動から注目度が高かったアイテムなんです」
―本革で合わせやすい、という大人に向けてのアプローチが良かったのかもしれませんね。
金子「おっしゃる通りです。それにこのクォリティーで税込15,180円というのも丁度良いプライスゾーンだったのかと思います」
“人に優しい“デザイナーが生み出すデザインワーク
―「SLACK FOOTWAER」のデザイナー安田和矢さんについてお聞きしたいのですが、
どんなデザイナーさんなのでしょうか?
倉永「すごく“人に優しいデザイナー”です(笑)というのも、『こういう人に向けてこういうデザインにしよう』というように、履く人を想定した上でデザインをしていて、アイテムの先にある“履く人”を常に忘れない。“人ありき”でモノづくりに入っていくデザイナーだと思います」
―安田さんの靴に関するヒストリーもお伺いしたいです。
金子「安田の少年時代は1990年代のスニーカーブームで、それに乗ってNIKE AIR MAX 95からreebokのPUMP FURYを買いあさるような少年時代だったようです。それから専門学校の靴デザインのコースに進み、卒業後は革靴のブランドに就職。デザインの部署に配属され、革靴づくりを勉強するという経歴です。『スニーカーについてはマニア目線、革靴でいうと職人目線』という珍しいタイプのデザイナーだと思います」
―なるほど。ほかにないデザインワークを生み出している秘訣は、スニーカーのマニア目線と革靴の職人目線を入れ込んでいるからなんですね!
デザイナーのルーツから見えてきた
スニーカーと革靴の融合
―「SLACK FOOT WEAR」というブランドのヒストリーもお聞きしたいのですが。
金子「もともと弊社は音楽関係の仕事をしていたんですが、近年音楽がデジタル化していくなかで、スニーカー好きであった弊社代表が新しい事業と靴ビジネスに参入しました。安田とは音楽を通じて以前から知り合いだったので、彼を誘って2017年1月にスタートしまして、現在6年目に入りました」
―「SLACK FOOTWEAR」ならではのカテゴリー、「BUSINESS SNEAKER」についても伺いたいのですが、先程お話していた「スニーカー目線と革靴目線」の両方が組み込まれたアイテムというのはありますか?
倉永「それは、この『FLIT』(フリット)というモデルです。革靴特有のカンヌキステッチ(補強ステッチ)が入った内羽根式の仕様でスニーカーのソールを使用しています。本当にスニーカーと革靴のハイブリットという感じのデザインです。素材はヴィーガンレザー(合皮)にするなど、デザイナーのこだわりが詰まっています」
―スニーカーでカンヌキが入っているのは確かに聞いたことがないです。革靴ライクなデザインをヴィーガンレザーにしたのは何か意図があるのでしょうか?
金子「ヴィーガンレザーだと水に強いので、汚れたら濡らした布でふき取ればいいというイージーケアを意識しました。また、コストが安いという面もあります。1万円以下のビジカジというのが今年はとてもウケが良いんです」
―ビジカジがウケている背景には おうち時間が長くなったり、テレワークの影響などがあったりあるのでしょうか?
金子「『SLACK FOOTWEAR』の場合、以前はより凝った革靴のデザインが売れていたのですが、最近は『普段着にも合わせやすく、かつ仕事にも行ける』というように、”カジビジ”という優先度が逆になった現象が起きていると思うんです。そういう所にもこのFLITはハマっていると思います」
ドイツ軍のトレーニングシューズを独自に解釈
今シーズンからはじまった新モデル
―それから今シーズンからの新作のお話もお聞きしたいのですが。
倉永「新作の中でもこの『VOLF』(ヴォルフ)というモデルは特にオススメです。これは『GERMAN TRAINER』(ジャーマントレーナー)というドイツ軍のトレーニングシューズを『SLACK FOOTWEAR』の新たな解釈で作ったモデルです。本革スムースレザーを使用し、サイドに『リフレクターライン』を入れることでサイドビューにアクセントを加えています。また、スキニーソールというジャーマントレーナーらしい薄いソールを使用することで、屈曲の良さや軽い履き心地が特徴になっています」
―この「ジャーマントレーナー」の形って「マルタンマルジェラ」をはじめ、さまざまなブランドがこのモデルをつくっているじゃないですか。ちょっとキレイ目なテイストや雰囲気のある古着好きな人が履いているイメージがありますね。「このモデルはここが違うよ!」といういう部分はありますか?
金子「このまま履いていただいてもいいのですが、先程の『ELCLUDE』と同様のコードロックで調整できるゴム紐が付属しているのでスリッポンの様な履き方にカスタム可能です」
―これはほかにはないオリジナリティーですね!「2022SS」(春夏のコレクション)ルックブックも見せていただきましたが、カジュアルだけどもキレイ目の”大人カジュアル”なイメージですね。今後の展開も楽しみにしています!
本日はありがとうございました。
PROFILE
SLACK FOOTWEAR
株式会社エフ・エー・アール・エム
〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿1-14-6オーツースリービル2階
TEL:03-6409-6429
https://www.slackfootwear.com
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▼話を聞いた人
伊藤孝法
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1973年北海道生まれ。中目黒の老舗セレクトショップOUTPUTオーナーで、さまざまなブランドのPRなども手掛ける。2014年、WWD日本のファッショニスタ100人にも選ばれ、自身のYOUTUBEチャンネル「ファッションとカルチャーとme」も更新中。