雑誌モデルとしてデビューし、演技の道へ。現在は、映画やテレビドラマのオファーが絶えない人気俳優のひとりに成長した成田凌さん。今回のインタビューも主演ドラマ「降り積もれ孤独な死よ」がクランクアップして間もない時期だった。そのためか、自分へのご褒美という今号のテーマに話題を振ると、実感を持って答えてくれた。
「普段は値段を見たら迷うような高価なものでも、自分へのご褒美だって考えると奮発しちゃいますね。先日も、とあるショップで買い物をしたのですが、気がついたら、大きな紙袋を二つも抱えていました。この秋冬に着たいパーカーやMA-1、それにカバンなどを買ったのですが、やっぱりストレス発散になります。あとは学生時代の友人と旅行にも行きました。夏の間ずっと撮影をしていたので、今年は夏らしいことを何もしていなかったなと思って。だからプールがあって、BBQができるような宿をみんなで借りて、夏の思い出をつくりました」
また、美味しい食事も頑張った自分へのご褒美に欠かせないと語る。
「ひとつドラマが終わっただけで、いくつご褒美を自分にあげるんだって話ですが、先日はお寿司を食べに行きました。同じクールで別のドラマに出演していたある俳優さんと一緒に行ったのですが、撮影が終わったら一緒に食事しましょうって連絡を取り合っていて、それを実現させた形でした。一生懸命頑張ったよなってお互いに讃え合いながら、食事をしましたね。大変だった思いを共感してくれるような同業者や仲間がいると、盛り上がるし、楽しいんです」
美味しい食事を摂る。それは自分へのご褒美としてはもちろん、さまざまな役を演じていく上でも大切なことだと語る成田さん。
「味が濃いものだったり、香りの強い食材、あるいは、刺激的なものに身体が慣れ過ぎると、五感の繊細さを欠いてしまう気がしています。芝居をするうえで、五感は整えておきたいと思っているので、日頃からなるべく良いものを摂ることを心がけています。どんな役のオファーがきても、“はい、行けます!”と応えられるように、心と身体を整えて、準備をしておきたいなと。だから、体のケアやトレーニングもしていますし、サウナにもよく行きます」
テレビドラマ「降り積もれ孤独な死よ」では刑事を演じ、現在劇場公開中の映画「スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム」では、連続殺人鬼を演じている。職業はもちろん、人間性がまったく異なる役を演じ分けるには、心身を万全にしておくことが重要だという。そのため特に“食”に気を使っていると語る。
「最近は、韓国のタッカンマリにハマっています。現地にすごく美味しいタッカンマリ屋さんがあって、そこで買ってきたタレを使ってみんなでタッカンマリを食べる会があるんです。自分がタレを買いに行く担当になることが多いのですが、以前、仕事で韓国を訪れて行きたいところを尋ねられた際にも、迷わずそのお店を伝えたくらいです。もうひとつハマっているのが、胡椒。実は明日からカンボジアに行くのですが、カンボジアには世界一美味しいといわれる胡椒があるんです。それを求めて現地に行くという仕事なのですが、すごく楽しみにしています」
そんな成田さんが主演を務める映画「スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム」が現在公開中だ。2018年11月に第一作が公開された人気シリーズで、最終章と銘打たれた本作は3作目となる。成田さんは物語の鍵を握る、連続殺人鬼の浦野善治を第一作から演じてきた。1作目では浦野に狙われる被害者が、2作目では浦野を追う刑事がそれぞれ主人公だったが、本作ではついに浦野が主役となっている。それだけに思い入れも強いだろう。
「1作目の僕の出番は、数十分程度だったのではないでしょうか? それでも、初対面の方にいまでも、“浦野のイメージが頭に残っていて、成田さんに会うのが怖かったんです”と、言われることがあります(笑)。そんな経験もあって、これまでさまざまな映画やドラマに携わってきましたが、本当に多くの方が見てくださっているんだなと一番感じるのが、この作品です。1作目のころから、中田秀夫監督を中心に各部署が信頼し合っていて、すごい良いチームだなと感じる現場でした。そんな思い入れのある作品が公開されるのを、とても楽しみにしています」
本作では、韓国語での演技シーンもある。それも見どころのひとつだろう。
「日本語で芝居をするときも、ちょっとした言い回しや、話し方に気を配っているんです。ただ、それが外国語となると発音は通じるレベルまで練習できたとしても、言葉のニュアンスまではわからないので、難しいと感じましたね。韓国語の先生には、お手本の発音に加えて、芝居ができる男性にセリフを話してもらった音源もいただきたいとお願いしました。そしたら若い方と年配の方のふたつのバージョンの音源を用意してくださって。それを自分のなかに取り入れることで、なんとか形になったんじゃないかなと思います」
最終章となる本作には、あっと驚く結末が用意されている。成田さんの韓国語での演技とともに、注目したい。