冬になると欲しくなるのが、ダウンジャケットだが
今年は経済の先行きも不透明で奮発するわけにはいかないだろう。
かといって、寒さに震えていては仕事も遊びも楽しめない。
そこで税込5万円以下で購入できる良質ダウンジャケットを厳選した。
トレンドを押さえた着こなしとともに参考にされたし。
Hair&Make : MICHINORI KIKUCHI Model:MAZEN Text:KOJI SONEHARA
2020.11.16
厳しい寒さを控えたこの時季は、暖かそうなダウンを買い物リストに加えたくなる。今年は都会で遊びづらかったから、アウトドアを始めた人も多いかもしれないが、果たしてどんな装いが適切なのか。腕や首回りが動きやすい、すっきりとしたデザインに惹かれるが、寒空の下でも快適に過ごせる保温性能も捨てがたい。そこで縫い目のないシームレスなデザインをセレクト。
薄さのわりにしっかり保温されるので、フィールドで求められる防寒機能をハイレベルでカバーする。また、カラーレスのデザインならフーディとのレイヤードも容易。昼夜の寒暖差が激しく脱ぎ着が多いフィールドでは、そんなディテールが役に立つ。
大判ポケットにジッパー付きコンパーメント、首回りを隈なく覆うネックパッフルなど、アウトドアダウンとしての資質を十分備えた一着。胴体周りのボリュームが抑えられているので、自然の中を探索するときや、野営をセッティングするときに、激しく動いてもストレスが少ないだろう。
ファッションとしては、控えめの光沢と程よいハリのある生地の質感が、視覚的にとても安心できる。スラックスと合わせれば、街の景色にも難なく馴染むだろう。
光沢のあるブラックと、大きめにデザインされたステッチ幅が、これぞダウンらしいダウンであると強く主張する。大胆なボリューム感は、90年代の日本でアメリカンカルチャーに影響を受けた若者たちがまとっていたそれと重なる。
移り変わりが激しいファッショントレンドの中でも、この90年代のリバイバルブームはまだまだ健在。薄手のシャツに、ボリューミーなダウンを浅めに羽織った着こなしは、冬の街歩きでしか通用しないスペシャリティがある。
冬のアウターは、それだけでコーディネートが完結するといってもいいくらい、会う人に強い印象を残していく。どんなコーディネートもすべて包み込んでくれるダウンの便利さに、毎年助けられているという人も多いかもしれない。
今年は思い切って、これぞというカラーリングを見つけてはどうだろう。晴れた日の空の色に近い、淡さを含んだブルー。クラシカルな風合いを残した色合いは、どうしたってお洒落に映る。
リモートワーク中も仕事着で過ごすというサラリーマンは少なくないと聞く。しかし、客先への訪問や、現場立ち合いなど、コートを着て外に出る機会はめっきり減ったかもしれない。どうせ家から出ないしと、古いアウターを引っ張り出してきてはいないだろうか。人に会う機会が少なくなった今こそ、会って話ができるタイミングでファッションへの愛情をぶつけ、違いを出したい。
昨今、ビジネスシーンの冬スタイルにおいてもダウンが浸透。スーツスタイルにも合うダウン選びが肝となるが、紺やグレーなら、あらゆるデザインや色味のスーツともマッチする。この時季だからこそ、そんな抜かりない身だしなみこそがビジネススキルのアピールにひと役買うはず。
ビジネスカジュアルともなればダウン選びの幅は広がる。でも、あまり遊びすぎると場違い感が出てしまうのも否めないから、生地は光沢の少ないものを、色はグレーを選ぶのが安ぱい。それを軸に巧みなカラーバランスを見せれば、カジュアルな印象のあるバックパックを組み合わせても上品さを損なわない。
スタイリスト・川田真梨子さん
メンズ誌を中心にスーツからカジュアルスタイル、和装まで幅広いコーディネートを手がける人気スタイリスト。本誌では創刊号から長きに渡って、メインスタイリストとしてリアルなコーディネートを提案し続けている。