強かった日差しが和らぎ、吹き抜ける風に心地よさを感じたら、それはおしゃれを楽しむ秋が到来した合図だ。今シーズンの一大トレンド「グレー」を主役にシックで、気品あるワントーンスタイルを楽しもう。
Photos : TATSUYA YAMANAKA(Q+A)
Styling : YOSUKE TEZUKA
Hair&Make : MEGUMI NISHIMURA
グラデーションを生かし
セットアップも柔らかムードに
カジュアルスタイルも
ワントーンならシックな雰囲気に
マフラーのボリュームが
艶やかさをプラスする
ハイセンスなアイテムも
グレーなら落ち着いた印象に
Interview
歌舞伎の世界に留まらず、テレビドラマへの出演など、目覚ましい活躍を続ける片岡愛之助さん。以前、現代劇でスーツを着て演じた役が印象的だったからか、街を歩くとこんなこともあるそう。
「世間の人は僕がスーツ以外の洋服を着ているだけでびっくりするんですよ。『ジーンズも履かれるんですね』って言われたり、若い子が駆け寄ってきて『Tシャツも着られるんですね。……よかった』って、つぶやいて走り去って行ったこともあります。『よかった』ってどういう意味なんでしょうね(笑)」
もちろん歌舞伎俳優だって洋服は着る。ただ鍛え上げられた身体に合うサイズのモノを探すのが、ひと苦労だという。
「僕は腕回りがゴツイので、シャツやジャケットのサイズを合わせるのが難しいんですよ。Tシャツもピチピチになりがちで。太腿も太いので流行りの細身のパンツも履けないんですよ。ブランドなら個性的な色やデザインのものがよく見つかる、アルマーニが好きですね」
また一時期はクロムハーツにハマり、アクセサリーはもちろんカバンや財布など、多数のコレクションがあったとか。
「いまとなっては何で好きだったのか分からないのですが、凝りはじめると、そればかり買ってしまう性格なんです」
現代劇への出演は、すべて歌舞伎のためだと愛之助さんは語る。
「歌舞伎を観たことがない方は、『歌舞伎って難しそう。眠くなりそう。台詞が聞き取れない。チケットが高い。何を着て行けば良いのかわからない』など、頭の中がクエスチョンばかり。それで敬遠して、一生見ない人も多いと思うんです」
そこで歌舞伎を知るひとつのきっかけになればとテレビに出演しているという。
「この俳優さんは、歌舞伎俳優なの? 面白いね。じゃあ、今度歌舞伎も観てみようか。そうなってくれれば嬉しいと思っています。だからテレビに出るときは、歌舞伎とはまったく違った役柄で出たいんです。それこそドラマ『LOVE理論』でのキャバクラの店長役なんて最高ですよね。あの金髪の店長が普段は、歌舞伎をやっているなんて知ったら、驚かれるじゃないですか?」
そして今年10月に新橋演舞場で開催される歌舞伎は、まさに歌舞伎初心者に打ってつけの公演だという。
「あの石川五右衛門がスペイン人と日本人のハーフだったとしたら。そんな奇想天外な設定の新作歌舞伎です。五右衛門は髪は赤色だし、フラメンコだって踊れるんです。歌舞伎のパロディも盛り込んでいるので、歌舞伎を知っている方にも楽しんでもらえますし、はじめての方にとっては見やすい作品になっています」
舞台中心の生活で、合間にドラマの撮影も入る。まさに休む暇もない生活を送るが、とくに苦ではないという。
「僕ら役者には芝居しかないんです。趣味は?と聞かれたら、新しいお芝居を作ることって答えますよ(笑)」