俳優、窪塚洋介。同じ時代を生きてきたGOODA読者にとって、いまさら彼のキャリアを振り返る必要はないだろう。鮮烈な俳優デビューから突然の活動休止。復帰後はレゲエDeeJayやカメラマンなど、アーティスト活動にも乗り出す。そして、ハリウッド作品への出演。新しい刺激を追い求める生き様からは、いつも目が離せない。そんな彼のアンテナにも、eバイクはいち早くひっかかったという。
「たまたま後輩がMATE. BIKEの代理店をやることになり、宣伝に力を貸すことになったんです。それで東京や沖縄で撮影しながら、試乗したんだけど、電動アシストのパワーが想像以上で、ちょっとビビるくらい強烈でしたね。大きなバッテリーが搭載されている分、車体は重いけど、パワーでフォローできちゃうから、重量を感じさせない。MATE. BIKEの場合は、ハンドルをBMX仕様に変更したり、荷台を付けたり、自分好みにカスタマイズできる点も遊び心があるし、すごくいいよね」
eバイクを手に入れたことで、移動の選択肢が増え、TPOによって使い分けていると語る。
「雨の日や家族と一緒ならクルマ。ひとりで遠出するならバイク。天気が良い日とか、ちょっとそこまでという外出にはeバイクをよく使っています。バッテリーがフルなら80キロくらいは走れるから、俺の場合、充電も1か月に1回程度で済む。息子も通学用として使っていて、普通のチャリと違うし、みんなから注目されるって言ってますね」
日常の“足”として、家族で活用しているようだ。
「このあいだ妻とも、自転車で娘を送り迎えする時間っていいよねって話してたんだよね。風を受けながら、娘を背中に感じられるし、子どもも親の背中から安心感や愛情が伝わって、通学路の道中が記憶に刻まれるんじゃないかな。バイクだと怖いし、あっという間に着いてしまう。ちょうどいいスピードの自転車を使うからこそ、家族の時間ができる。移動がゆっくりということは、それだけ親子で一緒にいられる時間も長くなるってことでもあるから」
そして、話題は最近、ハマっているという“腸活”へ。“マゴワヤサシイコナ”の合言葉で知られる腸に優しい食材を中心に、1日1.5食を摂ることを心がけているという。もともと健康志向ではあったが、ストイックに追求するほどではなかった。しかし、知人からすすめられた本を読んだことで、改めて食生活を見直す気になったとか。
「腸は第二の脳っていわれることもあるけど、むしろ第一の脳だと思ってます。古代生物も腸から生まれたっていうし、腸だけの生命体もいる。胃だけ、骨だけ、脳だけの生命体って、むしろいないですよね。最初にできる器官も腸だし、生き物は腸で感じ、腸で考えているといっても過言じゃないと思うんですよ」
だから、腸を整える食生活が重要だという。実際、腸活をはじめてから、すこぶる体調が良いと語る。
「ただ、酒を飲みすぎるので、健康な食生活と相殺されて、結局、プラマイゼロになっているんですけどね。でも、腸活をしていなかったら、今ごろ体を壊していると思う。酒をこれだけ飲んでも、二日酔いをリカバリーして、毎日仕事に行けるのは、腸活のおかげ」と笑う。
朝は野菜ジュースと自家製のヨーグルト。昼は好きなものを食べ、夜は白米を摂らず、軽く済ませると語る。お腹が減らないのか?と尋ねると、
「昔はお腹が減っていたら寝られなくて、しっかり晩御飯も食べていました。でも、空腹時に細胞が活性化され、生命の本来の力が出ることがわかってきたので、空腹が楽しめるようなりました。結局、ただのマインドセットだったんですよ。“お腹が空く=死ぬ。だから食べなきゃ”みたいな。肉をたくさん食う奴が強いっていう刷り込みがあったけど、その呪縛が消えたことも大きいですね。お腹が空いていても寝られるし、むしろ、空腹に喜びを感じながら、寝られるようになりました」
2017年にはマーティン・スコセッシの監督作「Silence-沈黙-」でハリウッドデビューを果たし、2020年にはBBCとNetflixの共同制作シリーズ「Giri/Haji」にも出演。かと思えば、クラウドファンディングで資金を集め、撮影された豊田利晃監督の短編映画「全員切腹」や、「LINE NEWS」の動画プロジェクトである「VISION」の縦型ドラマ「上下関係」への出演など、規模も撮影環境もまったく異なる作品にも顔を出す。舞い込む多くのオファーから、どうやって出演作を選んでいるのだろうか?
「オファーを受けるかどうかは、胸のドキドキが基準です。誰が撮ろうが、どこで撮ろうが関係ない。自分が楽しめるかどうかですね。もし、不安のほうが多かったらやらない。20数年、俳優をやってきているので、どんなクオリティに仕上がりそうなのか、引き受けて後悔しないか、何となくわかるんですよ。『上下関係』でいえば、縦型で撮影したら、どんなふうに見えるんだろう?って、これまで経験したことがない撮影へのワクワクが決め手のひとつでした」
キャリアを積んでいけば、どこに地雷が埋まっているか、勘が働くわけだ。また、海外作品への出演が続いたことで、日本語で演技することの良さを再確認しているという。
「海外での撮影は得難い経験ができるし、成長できるから今後もチャンスがあれば、挑戦したいと思っています。いつも“生涯チャレンジャー”って言ってるけど、あぐらをかいた奴は、もうそこで歩かなくなっちゃうから。でも、俺は歩き続けて先に行ってみたい。自分自身に飽きたくない。ただ、言葉を使って演技する仕事だから、どうしても使い慣れている日本語のほうが得意だと実感しています。海外で学んだのは、マイペースで誰とも自分を比べないで、感謝してやっていくことが大事ってこと。だから、腸活して、毎日、自宅の神棚の水を変えたら、自分でつくったオリジナルの祝詞を唱えながら、“今日を迎えられたことを心から感謝します。生かせていただいてありがとうございます”って感謝する。そうやって日々過ごしていければ、ハッピーですね」
心と体を整えながら、次なるオファーを待つ。まだまだ僕らを驚かせてくれそうだ。