肉を豪快に焼く!かつては、キャンプ飯の定番といえば、バーベキューでした。しかし近年はキャンプのスタイルが多様化したことによって、パンを焼いたり、パスタを茹でたりと、思い思いの料理を作って楽しむ人が増えています。なかでもおすすめなのが、韓国料理です。夏でも夜になると、山間は冷え込むため、香辛料を使う韓国料理は暖も取れるし、キャンプに打ってつけです。
そこで今回は韓国料理をアウトドアで楽しむための調理器具をご紹介します。
Styling&movie&photo:YASUNARI ARAI/Edit&Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
2021.7.15
まずはチーズタッカルビ。鶏肉と野菜をコチュジャンなどの調理料で味付けし、最後にチーズを加える鉄鍋料理です。コチュジャンの甘辛さと、チーズのコクがクセになる一品です。アウトドアでもスキレットを使えば、簡単に調理することができます。
スキレットはキャストアイアン(鋳鉄)製の厚手なフライパン。家庭で使うフライパンではアルミやステンレス製が主流ですが、厚みのある鋳鉄は蓄熱性が高く、熱がじっくりと伝わるのが特徴です。そのため火力が不安定になりがちな屋外での調理でも芯までムラなく火が通り、素材の旨味を閉じ込めてくれます。
またチーズタッカルビをつくるなら、重さのある蓋付きのスキレットが最適。オーブンでの調理のように全体から熱が加わり、最後に加えたチーズをとろとろに溶かすことができます。
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ロッジ
「ロジック ミニスキレット」1896年にアメリカで創業したロッジのスキレット。昔ながらの製法を守りつつ、オートメーション化を採用することで、スピーディな製造を可能にしている。蓋は適度に重く、圧力鍋のような効果を発揮。食材を芯から柔らかくしてくれる。そのほか新品でもシーズニング済みですぐに使用できるのも特徴だ。
参考価格 2,860円
香辛料とアサリの出汁が効いたスンドゥブ・チゲは、夏でも冷んやりと涼しさを感じるキャンプ場でのメニューに最適です。調理法も煮込むだけで手軽につくることができます。使うのは、調理したあと、お皿に移さず、そのまま食せるメスティンが便利。
メスティンはいわゆる飯盒(はんごう)のことで、そのまま火にかけて調理することができ、ご飯を炊くだけではなく、スープや炒め物にも使える万能な調理器具です。熱伝導率の良いアルミ製のものが一般的。スンドゥブ・チゲに使用するなら、香辛料の匂いや墨の汚れが着色しにくいセラミックコーティングタイプがおすすめ。キャンプ場でもサッと拭くだけで、汚れを落とすことができます。
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ニーラック
「ブラックメスティンセット」水洗いで簡単に汚れが落ちるセラミックコーティングを施したメスティン。また汚れが目立つ定番のシルバーとは異なり、黒なので汚れが目立たないという特徴も。蓋の内側にもコーディングがされているので、蓋を使ってちょっとした炒め物を作ることもできる。
参考価格 5,980円
アウトドアではできるだけ洗い物を少なくしたいところです。そこで活用したいのが、キッチンバサミ。切れ味の鋭いステンレス製で、しかも切りやすいようカーブした設計になっているタイプなら、むしろ包丁よりもカットしやすいと言えます。洗う手間だけではなく、調理の手間も省けます。
スンドゥブ・チゲの仕上げに加える、ニラもキッチンバサミでザクザクと切って直接投入しましょう。
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貝印
「関孫六 鍛造オールステンレス カーブキッチンバサミ」カーブした形状で食材が切りやすいよう工夫されている。肉の脂身など、包丁では切りにくい食材もこれなら簡単にカットすることができます。また包丁がわりに使うだけではなく、卓上での切り分けにも便利。継ぎ目がない一体型になっており、分解して洗えるので衛生的な点も好印象。
参考価格 4,512円
手羽先や唐揚げに、コチュジャンやニンニク、香辛料などを混ぜてつくった甘辛いソースを絡めて食べる韓国のフライドチキンの一種「ヤンニョムチキン」。そんな人気の韓国料理もジップトップの「ディッシュ」などの保存容器を使用することで、キャンプ場でも簡単に本格的な味が楽しめます。
食材を持ち運ぶ保存容器としても使え、また、ソースを絡めるボールを持っていく必要もありません。キャンプ場では荷物を少なく、洗い物も極力減らすのが、スマートな調理法です。その点、ディッシュなら手を汚さずにお肉の味付けができます。また、フリーザーバッグとの違いは、置いて作業ができること。両手を使って、食材や調味料を入れやすいのが大きな利点です。
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ジップトップ
「ディッシュ」食材を冷蔵、冷凍保存する際の容器として使用するシリコーン素材のアイテム。そのまま電子レンジで温めることもできる優れもの。さらにタレや調味料と食材を絡める際にも便利に使える。手も汚れず、満遍なく絡めることができる。間口が広く、食材も取り出しやすいのも特徴だ。
参考価格 2,970円
お湯を沸かすケトルはコーヒーを飲んだり、ときにはカップラーメンを食べたりと、アウトドアの必需品です。せっかくならkaicoの「ケトル」のような間口の広いものを選んでおきたいところです。
なぜなら参鶏湯のようなスープ系のメニューをケトルでつくれば、スープを取り分ける際にも便利だからです。肉や野菜を配り、器にスープを注ぐだけ。また、ひとつだけケトルを持っていくなら、琺瑯製がおすすめ。保温性に優れているため、アウトドアでも冷めにくく、熱々の料理が楽しめます。また臭いが付着しにくいので、スープ調理をつくったあとに、お湯を沸かしても臭いが気になりません。
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kaico
「ケトル K-008」大きな間口が特徴のケトル。奥まで手が届きやすく、洗いやすいという特徴を生かして、アウトドアではスープやラーメンの調理にも使える。鉄にガラスコーティングを施した琺瑯製で熱伝導率が高く、また保温性に優れているので、冷めにくい。また琺瑯は臭いが付着しにくいので、調理で使ったあとに、お湯を沸かしても臭いが気にならない。
参考価格 10,450円
荒井 康成 YASUNARI ARAI
料理道具コンサルタント/Kitchenware Stylist
洋菓子店店長、和陶器店主を経て、フランス陶器エミール・アンリ社の日本法人設立に携わる。以後、日本初の「料理道具コンサルタント」として独立し、「料理通信」「ELLE gourmet」など、各食情報誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、Panasonic「ふだんプレミアム」や魔法びんのパイオニア「サーモス」のInstagramディレクション、「キユーピーサラダクラブ」や「カルビーフルグラ」など食品会社の販促物スタイリング撮影、食の学校「レコール・バンタン」では講師として、多岐に渡り活動中。著書に「ずっと使いたい世界の料理道具」(産業編集センター刊行)。http://www.araitools.com