ビジネスシーンで一目置かれる最新のデジタルガジェットから、感性を刺激するデザイナーズ家電まで。大人の男のライフスタイルを彩るアイテムを厳選。
“2万円のトースターを売る”と聞いて、無理と感じる人は少なくないだろう。劇的な技術革新が難しくなり、ヒットが生まれにくいと言われる家電業界。しかし、この“2万円のトースター”を大ヒットさせているメーカーがある、それが「バルミューダ」だ。独自のスチームテクノロジーを使うことで、パンの表面だけが軽く焦げ、中の水分がしっかりと残った状態で焼き上げてくれるので、外は「サクッ」中は「もっちり」という焼き上がりを文字通り実現しているのだ。しかし、この機能性だけがヒットを生んでいる要因ではない。最大の要因はもっと別のところにある。
焼き上がりの機能性は確かに、目を見張るものがあるが、それだけではヒットが生まれないことは、多くの高機能家電が証明している。寺尾玄社長は、多くのメディアやイベントとで「人はモノではなく、体験を買っている」と語っている。つまり、モノの機能性ではなく、購入後の利用シーンを想起しながら購入を決めているということ。機能を主でアピールするのではなく、いかに購入後の体験を感じてもらえるかを考えて商品販促をしている。それをわかりやすく体現しているのが、バルミューダの公式サイトだ。サイトを見ると商品より先に、たくさんの美味しそうなトーストの写真が出てくるのだ。この写真を見れば誰もが、トースターでこんがりと美味しいパンを焼き、食すシーンを思うに違いない。同社は、過去にも“3万円の扇風機”などもヒットさせている。バルミューダの2016年の次なる一手に期待したい。