手軽に没入できる漫画体験とは異なり、リアルな視覚情報からインプットされる映像体験は、より強い印象が残りやすい。だから名作に出合い、心が動いたときの感動も大きいだろう。しかし、最近では、タイパを重視して1.5倍速で鑑賞されることもあるとか。「間違いない名作である」と、目利きたちの太鼓判があれば、しっかり本腰を入れて観ようと思えるかもしれない。そこで、毎日のように映画・配信ドラマに触れている賢者たちに、公開や配信が待ち遠しいという作品を紹介してもらった。
Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
2025.1.15
ある限界集落を舞台に、カニバリズムを題材にしたサスペンスコミック『ガンニバル』。「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)で連載されていたこの作品を、ディズニープラスが柳楽優弥主演で2022年に実写ドラマ化した。配信がスタートすると、ダイナミックなカメラワークによるサスペンスとアクション表現やミステリアスな心理描写に日本ドラマのクオリティを超えた作品として大きな話題になった。そんな人気作の続編がついに2025年3月19日(水)から配信開始される。主人公が真実にたどり着く寸前で幕を閉じた前作だが、シーズン2では村に隠されたすべての真実が明らかになるという。
これを楽しみに生きてると言っても過言ではない! 衝撃のラストから引っ張られ続けている。2024年の名作ドラマ『ライオンの隠れ家』で優しい兄ちゃんを繊細に演じて新たなイメージを作った柳楽優弥さん、そんなイメージが帳消しになるくらいまた大暴れしてくれ! 暴力警官最高! うおおお!
Jホラーの巨匠として知られる清水崇が総合プロデュースを手がけ、テレビドラマ『イシナガキクエを探しています』の演出を手がけた近藤亮太が監督を務める本作。近藤亮太は日本で唯一のホラージャンルに絞った一般公募フィルムコンペティションである「第2回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞し、Jホラー好きの間で新世代のホラー映画監督として注目を集める人物。ホラー映画ファンでなくとも、どんな恐怖が体験できるのか、いまその目で確かめておきたい。
YouTubeと実話怪談とフェイクドキュメンタリーが悪魔合体した果ての異様なJホラーブームは2025年も絶対に続く! これが良いことなのか悪いことなのかは時代が判断するだろうけど、確実に続く! そんななか、早くも評判が聞こえてくるのはこの映画。震えながら楽しみにしてます。
1982年北九州市生まれ。大学を卒業後、地元小学校での非常勤講師を経て、地元のヴィレッジヴァンガードにアルバイトで入社。小倉、新潟、高円寺で店長、マネージャーを経て、現在は下北沢店に立つ。サブカル系YouTubeチャンネルへのゲスト出演や雑誌への出演も多数。
映画『君の名前で僕を呼んで』や『チャレンジャーズ』の監督として知られるルカ・グァダニーノが描く大人のラブストーリー。本作は1950年代のアメリカで、時代の異端者と言われた“ビート・ジェネレーション”を代表する作家ウィリアム・S・バロウズの自伝的同名小説がベースになっている。主演は「007」シリーズのダニエル・クレイグ。2024年の第81回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品された。
2024年『チャレンジャーズ』が話題となったルカ・グァダニーノ監督の新作というだけで楽しみな、原作ウィリアム・バロウズのクィア映画。主演はオスカーノミネートも期待されるダニエル・クレイグ! 予告からもう映画に魔法がかかっているような幻想的な表現が溢れている。
アメリカでは、ニコラス・ケイジが凶悪なシリアルキラー役を強烈なインパクトで演じたことで話題となったサスペンススリラー。舞台は1990年代のオレゴン州。『イット・フォローズ』のマイカ・モンロー演じるFBIの新人捜査官リー・ハーカーは上司からの命令で未解決連続殺人事件の捜査を担当することになる。10の事件に共通していたのは、父親が家族を殺害した末に自殺していたこと。そして、すべての犯行現場に、暗号を使って記された「ロングレッグス」という署名入りの手紙が残されていた……。
『羊たちの沈黙』を思わせるような女性FBIと連続殺人事件。しかしこちらはよりダークなホラーテイストになっており、犯人?役をニコラス・ケイジが怪演しておりめちゃくちゃ怖いらしい。監督のオズ・パーキンスはあのヒッチコック『サイコ』のアンソニー・パーキンスの息子。主演は『イット・フォローズ』でホラーと相性がいいマイカ・モンロー。
映画はもちろんNetflix、Amazonプライムビデオ等のストリーミングサービスで最新作を追いかける海外テレビシリーズウォッチャー。もともと会社員をしながら、趣味で綴っていた文章が編集者の目に止まり、映画やドラマに関するコラムを執筆するようになった。現在はwebメディアや雑誌などでコラムを執筆している。https://twitter.com/hitomi_forward
2016年に歌手として初めてノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン。そんな彼がまだ無名のミュージシャンだった若かりしころの姿を描いた伝記ドラマ。主演は『デューン 砂の惑星』『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で知られるティモシー・シャラメ。また、監督は『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』『フォードvsフェラーリ』などを手がけてきた名匠ジェームズ・マンゴールドだ。わずか10ドルを手にニューヨークへと降り立ったボブ・ディランが時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、そして世界的なセンセーションを巻き起こしていく様子を描いていく。
ブレイク作『君の名前で僕を呼んで』以来のアカデミー賞ノミネートになるのではとの声も上がっている、ティモシー・シャラメの最新作。少女漫画から出てきたような容姿で世界中の人を魅了し続けている彼が、新たに演じるのは若き日のボブ・ディラン……! かっこいいうえに歌ってギターも弾けるのかシャラメさん……。今回は共演するピート・シーガー役のエドワード・ノートンと、ジョーン・バエズ役モニカ・バルバロの再現度の高さも英語圏では度々話題になっており今期大注目作品の一つ。
トム・クルーズが主演する「ミッション:インポッシブル」シリーズの最新作。ベンジー・ダン役のサイモン・ペッグや、ルーサー・スティッケル役のビング・レイムスなどお馴染みのメンバーに加え、前作の『ミッション:インポッシブル デッドレコニング』から参加したグレース役のヘイリー・アトウェルや、パリス役のポム・クレメンティエフも続投が決まっている。物語の詳細はまだ明かされていないが、“ファイナル”と銘打たれており、イーサン・ハントにどんな花道が用意されているのか、期待が高まる。
公開されているポスターで敢えて顔の皺もハッキリ映し出された、真っ直ぐな視線のイーサン・ハントに歴史と老いを感じる。気づけば1作目公開から約30年経過(!) トム・クルーズには、還暦過ぎたし落ち着いて欲しいと願うと同時に、それでもまだイーサン・ハントを観たいと思ってしまう自分もいる。今回はタイトルに「ファイナル」とあるので遂に終わるのかどうなのか……! 映画館で、しかと見届けよう。
東京大学法学部を卒業後、2017年にお笑いコンビ「XXCLUB」としてデビュー。同時にテレビやYouTubeの構成作家としても活動している。また、映画やドラマの考察を行うYouTubeチャンネルがバズったことで、ラジオや雑誌などでおすすめドラマを紹介することが増えている。「週刊フジテレビ批評」「#バズ英語 〜SNSで世界をみよう〜」、TBSラジオ「こねくと」、J-WAVE「OH! CINEMA PARADISE」などにレギュラー出演中