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高良健吾 スペシャルインタビュー

Go ahead with New Normal

いろんなことが変化した2020年。

そうせざるを得なかったから、
前に、前に進んできた。
その経験は間違いなく僕らを強くした。

そして、2021年。

強くなった僕らはこの一年を
良いものにできるに違いない。

そうできるよう、
少しずつでも進んでいこう。

新しい今年を少しでもハッピーにするために
素敵なアイテムたちをご紹介。

ぜひ、お買い物のご参考に。

次の一歩を踏み出すために。高良健吾が考えるニューノーマルとは?

2020年は激動の一年だった。
当たり前が当たり前でなくなり、
次から次へとルールが書き変わっていった。

戸惑い、イラ立つことも多かったけど、
それでも人生は続くから、
価値観をアップデートして
新しい楽しみや喜びを探すほうが建設的だ。

ファッション、日々の暮らし
そして、仕事との向き合い方……。

俳優・高良健吾と語らう
僕らのニューノーマル

Interview KENGO KORA
Photos : TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling : SHINYA WATANABE(Koa Hole inc)
Hair&Make : SATOKA TAKAKUWA
Text : SHINSUKE UMENAKA(verb)
2021.1.15
Interview 01

メリハリのある生活を送ろうと
パジャマを新調した

高校卒業を機に熊本から上京し、俳優の道に進んだ高良健吾さん。2006年の映画初出演以降、徐々に露出を増やし、気がつけば33歳にして出演作が50本を優に超えている。どこにでもいそうな好青年からサイコパスまで幅広い役を演じ、いまや日本映画界に欠かせない実力派俳優のひとりといえるだろう。

一方、素顔はストリートファッションや音楽が好きで、移動はもっぱら“自転車”と僕らとの共通点は多い。ライブを観に行ったり、旅行に出かけたり、当たり前の日常が変化し、誰もがニューノーマルを模索するなか、高良さんに現在の生活スタイルを聞いた。

「たとえば“タイトな洋服が苦手で、ストリートファッションが好き”という洋服の好みは、以前からずっと変わっていないので、コロナ禍になったからといって変化することはなかったですね。ただ、部屋から一歩も出ず、一日中、家で過ごす日も増えました。

そんな日は寝巻きのままで生活しても支障はないのですが、ダラダラしそうで、わざわざ外出できるような格好に着替えていました。生活にメリハリを求めていたのかもしれません。その分、寝巻きにこだわりたくなって、パジャマを新調しました。そんな心境の変化はありました」

現場までは自転車でいくことや
1日40キロを走破することも

「もともとネットショッピングが苦手で、買うのは靴下やアンダーウェアくらいでした。洋服はショップに行って実物を触り、試着をしながら、買いたい派なんです。だから、ショップに行けなくなると、自然と洋服代が減りました。欲しいという気持ちも湧いてこなかったですね」

ちなみに店頭で試着しながら選びたいのは、サイズ感へのこだわりが強いからだという。そして、そのサイズ感には“自転車”が関係している。

「ペダルを漕ぎやすいのか、ハンドルに手を伸ばしても背中が突っ張らないかなど、フィッティングの中心に自転車があります。学生時代に“自転車通い”だったこともあって、東京に来てからも移動は基本的に自転車です。タクシー代も毎日乗っていたら馬鹿にならないし、都内だと目的地によっては自転車のほうが電車より早く着きます。

だから10キロ、20キロの走行は普通で、日によっては40キロくらい走ることもあります。秋から冬にかけては晴れる日も多いし、風を切って走っていると、最高に気持ちいいですよ」

確かに都内のタクシー移動は渋滞にハマることも珍しくない。また地下鉄も多く、駅のホームまでの上り下りも時間がかかるだろう。コロナ感染のリスクも考えると自転車のほうがスマートだ。

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Styling Point

硬くなりがちなセットアップは スニーカーで崩すのが正解

オンでもオフでも重宝するブルゾンとスラックスの出立ちはまさにニューノーマル。チラリと覗くインナーの黒が大人の雰囲気を醸し出す。足元は抜け感の出るスニーカーがちょうどいい。
衣装協力
ジャケット90,200円、パンツ46,200円/The Letters(The Letters TEL:03-6427-0280)、カットソー23,100円/OLD JOE(OLD JOE FLAGSHIP STORE TEL:03-5738-7292)、リング35,750円/THE GREAT FROG(The Great Frog Tokyo TEL:03-6804-1745)
Interview 02

コロナ禍で旅に行けない
それが一番キツイ変化

「コロナ禍になって、一番キツイなと感じるのは、旅ができなくなったことです。その分、余計に自転車に乗るようになったのかもしれないです」

旅は高良さんにとって、人生の大切なピースだという。自分ではない他者を演じ切り、疲弊した心を見知らぬ土地で解きほぐしていく。気づけば憑き物が落ちるように役が抜け、次の現場に向けたリセットが完了するのかもしれない。

「もし自由に旅行できる時代に戻ったら、行きたいところがたくさんあります。南米にも行ってみたいし、南アフリカもまだ足を運んでいない国です。ヨーロッパでの電車の旅も面白かったので、またやりたいな。アメリカならポートランドにも興味があります。そこからアラスカに飛ぶのも楽しそう。もちろん東南アジアも面白いですよね」

旅のことを考えると、次から次へとプランがあふれてくる高良さん。

「旅に変わるものを見つけるのは難しいですね。読む本が増えたり、観る映画が増えたり、今までもしていた過ごし方で時間を埋めている感じです」

自粛を強いられる状況は当然、仕事にも影響する。特に俳優業は現場がストップすれば、働く場所がなくなってしまう。ひたすら連絡を待つ日々だ。しかし、それ自体は思ったほど苦ではなかったという。

「僕たちは、呼ばれなかったら仕事がないのと同じです。実際、これまでの俳優人生でも、仕事がない期間がありました。そんな時は本を読んで、映画を観て、旅行して過ごす。その当時とあまり変わらなかったともいえるので、過度にストレスを感じて苦しくならないよう、今できることをやろうと心がけていました」

マスクで共演者の表情がわからない
でも、楽しまないともったいない

撮影が再開すると、現場では大きな変化が待っていた。感染のリスクを避けるため、俳優たちは本番直前までマスクやフェイスシールドを着用するといった対策が取られている。当分はこれがスタンダードになるはずだ。

「これにはもう慣れていくしかないと思っています。セットでの撮影では密になりがちなので、スタジオに入る順番やタイミングをズラしたり工夫する必要があります。また、マスクをすることで、リハーサルのときには相手の表情がわからないというデメリットもあります。

でも、僕はこの状況を楽しむようにしています。マスクを取った本番で初めて、こんな表情を浮かべていたんだと発見するのも悪くない。今年もこれが撮影現場のスタンダードになると思うので、楽しまないともったいないと割り切っています」

とはいえ、コロナ禍で不可能になった撮影もある。たとえば、1月29日から全国公開される高良さんの出演映画「おもいで写眞」では、大勢の高齢者がエキストラとして参加している。2019年の夏に富山県で撮影が行われた作品だが、今後はこうしたキャスティングも不可能になるだろう。

「おもいで写眞」では深川麻衣さんが演じる主人公・音更結子の祖母の死をきっかけに物語が動き出す。遺影に使われていた写真がピンボケだったことから、高良さんが演じる星野一郎とお年寄りの遺影撮影をはじめるのだが、作中の出来事と同じ体験を高良さんもしていたという。

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Styling Point

レザーのコートに合わせる ややワイドなパンツが今っぽい

黒×グレーのメンズライクなコーデ。色数を抑えると、スタイリングに統一感が出るが、その分、平坦になりすぎるきらいも。そんなときは素材違いのアイテムを組み合わせることで、コーデが立体的に見えてくる。
衣装協力
コート215,600円、シャツ36,300円、パンツ49,500円/OLD JOE(OLD JOE FLAGSHIP STORE TEL:03-5738-7292)、リング35,750円/THE GREAT FROG(The Great Frog Tokyo TEL:03-6804-1745)
Interview 03

自分だったら、地元の河川敷で
“おもいで写眞”を撮りたい

「自分の祖父の葬儀でも、遺影を見ると微妙な表情の写真が使われていました。これしかなかったんだなと残念に思った記憶があります。当時は一般的な問題だとは思わなかったのですが、台本にも描かれていて、こういう問題に悩む人がほかにもいるんだと初めて知りました。そういう意味で、台本に親近感が湧いたのを覚えています」

劇中では、高齢者が希望する場所で“おもいで写眞”を撮っていく。もし高良さんがおもいで写真を撮るなら、どこで撮影を希望するのだろうか?

「真っ先に思い浮かぶのは地元の熊本です。昔、友だちと遊んだ思い出深い河川敷かな。それか阿蘇。他人が見たらなんてことない場所なんですけど、学校が終わったらそこに集合して、いつも遊んでいました」

高良さんは、熊本でボランティア活動を行うなど、郷里への思いが強い。「おもいで写眞」で高良さんが演じた星野一郎も郷土を愛す一方で、東京への憧れも抱いている。進路に悩み、映画の終盤にある決断を下す。その姿は、俳優を目指し、上京した自身の姿とも重なるだろう。揺れ動く一郎に感情移入したはずだ。

「僕もよく考えます。あのまま地元にいたら、どんな人生だったんだろうなと。東京に出なかったことを後悔するかもしれないし、“熊本最高!”と思っているかもしれない。実際、いまでも熊本にいれば良かったなと思う瞬間もありました。

でも、結局、自分で選んだことなので、『ああすれば良かった』なんて考えても意味がない。そのときに、そうしたかったってこと。何を選択しても、結果次第で必ず不満は出てきますから」

その人らしさは意識しなくても
必ずどこかに現れる

最後に高良さんは「おもいで写眞」の見どころを語ってくれた。

「事務所の後輩である深川麻衣さんが演じた主人公は、自分らしさを大切にできなかった人を演じています。特に当初は、自分の価値観に合わない人に出会っては、イラつき、衝突します。でも、少しずつその人らしさを大切にできるようになっていく。そんな成長の物語が見どころです」

ちなみに高良さんは、自分らしさを大切にできているのだろうか? 気になり尋ねた。

「プライベートでも仕事でも、その人らしさを引き出してあげたいなと思うときもあるし、願ってもできないときもあります。ただ、芝居ということで考えれば、その人らしさというのは意識しなくても必ずどこかに出ています。ただ出過ぎると作品の邪魔になってしまうこともあれば、自分らしさを出したほうが良い時もあります。だから、演技においても、僕は自分らしさを否定しないようにしています」

高良さんの所属する事務所テンカラットの設立25周年企画作品でもある「おもいで写眞」。コロナ以前に撮影された同作品には、語り継いでいきたい人生のヒントが詰まっている。

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Styling Point

定番コーデもサイズや素材感で 2021仕様にアップデート

シャツに合わせるアウターは光沢のあるナイロン地。アウトドア感が加味された2021仕様だ。また、パンツもダボっとした太めを選ぶことでストリートな雰囲気が出る。シャツとアウターの丈の関係性も絶妙。
衣装協力
ジャケット63,800円、シャツ35,200円、パンツ31,900円/FUMITO GANRYU(fumitoganryu.jp TEL:03-5962-7946)、リング35,750円/THE GREAT FROG(The Great Frog Tokyo TEL:03-6804-1745)