ワーケーションの次はシーケーション! 2021年は船でリモートワークが流行る!?
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    暮らし・住まい

    ワーケーションの次はシーケーション!
    釣り船でリモートワーク!?

    2021.04.01

    リモートワークが普及したことで、出勤が義務ではなくなりつつある。そこで郊外に拠点を移す人や、観光地やリゾートに滞在しながら働く「ワーケーション」にチャレンジする人も増えていると聞く。そんななか、次なるワークスタイルを模索する動きがある。それが釣り船に乗りながら、リモートワークを行う『シーケーション』だ。

    事務作業やウェブ会議をこなしながら、夕食のおかずを釣ることもできて一石二鳥だという。にわかに信じがたいが、そんな斬新すぎるワークスタイルを体験してみた。

    仕事をしながら、晩飯を釣る
    新時代のワークスタイル

    緊急事態宣言も解除された2021年3月のある日。私は、千葉県の大原漁港にきていた。前々から興味のあったヒラメ船に乗るためだ。釣船でリモートワークを行うという新たなワークスタイル「シーケーション」を試すという魂胆があり、あえて平日を選んだ。もちろん会社にはひとことも伝えていない。

    ただ、リモートワークが推奨されているため、NGとはいえないだろう。仕事ができれば、リモート先は自宅でなくても、良いはずである。誤算といえば、ヒラメ船の集合時間が午前4時だったことである。都内を2時半には出発しないと間に合わないため、サラリーマンには無謀な挑戦のように思えた。

    ただ、以前、一部の好事家の間で流行ったエクストリーム出勤のようなものだと考えれば、多少、始動が早い程度だと考えられなくもない。前夜は残業があり、ほとんど眠ることができなかったが、新たなチャレンジに興奮していたせいかもしれない。

    眠い目をこすり、千葉の大原に到着。まだ周囲は真っ暗だ。船に乗り込むと、すぐに出港した。沖合のポイントまでは1時間ほどかかるという。よし、事務作業をこなすチャンスだ。持参したノートパソコンを広げる。ときどき波しぶきがキーボードにかかったが、魚を掴むためにタオルを持ってきていたので、ことなきを得た。

    問題なく、入力ができている。閉塞感のあるオフィスや自宅とは異なる、潮風を受けながらの仕事も悪くない。しかし、しばらく続けていると、腹の底からこみ上げてくるものが……。どうやら、集中して画面を凝視していたせいで船酔いをしてしまったようだ。酔い止めを事前に飲んでおくべきかもしれない。

    ポイントに着いたこともあり、しばし釣りをして、気を紛らわそう。時計を見ると、まだ6時半だった。始業時間前だし、問題ないだろう。いったん、ノートパソコンを横に置き、竿を握った。仕事の合間に釣りができるなんて、釣り人にとっては贅沢な瞬間だ。これは“あり”かもしれないな。

    しばらく釣りに興じていると、あっというまに時間が過ぎていく。陽もすっかり高くなっていた。すると、胸のしまっていたスマホから振動を感じた。誰だ、こんなときに電話してくるなんて! 見ると、会社からだった。

    平日から釣りをしているのは自分のほうだったと、すぐに我に返るが、竿に反応があり、電話どころではない。無視して、釣りを続けることにした。

    しかし、しつこく電話が鳴る。「取り込み中なので、あとにしてもらえますか?」と、返答し、すぐに電話を切った。課長の声だった気もするが、目の前のヒラメのほうが重要だ。しばらくヒラメとの格闘に集中したこともあり、大物をゲットすることに成功した。

    素晴らしいぞ、シーケーション。これは流行るかもしれない……。

    そんな折り、再びスマホに振動が。そうだった、リモート会議があるのだった。慌ててスマホを取り出し、接続する。

    「課長、さっきはすみません。取り込み中だったので。え、どこにいるんだって? 今日はリモートなので、外ですよ。後ろに釣り人が見える? いや、気のせいじゃないですかね?」

    しまった、バーチャル背景にしておけば良かった。後悔したが、もう遅かった。しどろもどろになりながら、シーケーションの素晴らしさを熱弁した。

    「え、課長、クビですか!?」

    どうやら、先取りしすぎたようだ。シーケーションでのリモート会議ではバーチャル背景を使うことをオススメする。さて、明日から転職活動か……。ヒラメでも食べながら、シーケーションを認めてくれそうな会社を探すとするか。


    #Enjoy April Fool's Day

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