竜星 涼

Just trust yourself. 目標への最短ルートがきっとある

Special Interview 竜星 涼

今年はどんな一年にしよう。
とにかく仕事に打ち込んでみるか
プライベートを充実させてみるか
いや、公私ともに最高の結果を出そうとか、期待は膨らむばかり。
何れにしても、先ずは一歩踏み出すのが大事だろう。
丁寧に日々を送り、好きを摂取する。
こうしたインプットが、“自分”をかたちづくるのだ。
俳優・竜星涼が見据える2025年を聞くと
そこには、さらなる飛躍の予感が漂っていた。

Photos : TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling : TAKASHI YAMAMOTO(style³)
Hair&Make : oya
Text : SHINSUKE UMENAKA(verb)

2025.1.15

自分の好きに出合う、アートの醍醐味

2024年は大河ドラマ『光る君へ』に出演し、また、テレビドラマ『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』では主演を。さらに、大ヒットした映画『ラストマイル』にも出演するなど、精力的な活動が目立った竜星涼さん。今回の撮影でもカメラマンと対話しながら、積極的にポージングのアイディアを提案する姿が印象的だった。聞けば、日頃から気になるギャラリーや展示会があれば立ち寄るなど、クリエイティブのインプットに余念がないという。

「美術館で開催されている展覧会に行くこともありますが、その場合、わかりやすいテーマやよく知られている作品を集めたものが、中心になる気がします。もちろんそれも良いのですが、個人的には銀座の路面にあるような小さなギャラリーの個展に、ふらっと立ち寄るのが好きです。いくら有名な作品でも感性にあわないことがあると思うので。でも、自分は“これが好きだ”っていうものを見つけるのが、アートの醍醐味だと思うんです。だから、街を歩いていて気になるギャラリーを見つけたら、誰の個展かわからなくても、サクッと入ってみる。最近だとEMISSIONという作品をそうやって知りました」

EMISSION(エミッション)は、光のアーティスト・松尾高弘氏が率いるアートブランド+スタジオで、「Light Crystallized / 光の結晶化」をコンセプトにした独創的なプリズムアート。自然の美や現象を結晶にしたかのようなインテリアアートやジュエリーは、銀座でスペシャリストが一点一点、制作しているという。

「EMISSIONはギャラリーで一目惚れして、作品を買うようになったのですが、こうした出合いのきっかけは何でもいいと思うんです。若い頃だったら、ファッション雑誌がそうでした。今日のようなモデルの仕事があると、自分なりのアイディアが降りてくるのは、当時の蓄積があるからです。普段から何かを鑑賞したり、真似ごとをすることで、引き出しを増やしておく。それが大切なのかもしれません」

竜星 涼

時代をつくった日本のテレビドラマに、再び光を

そんな竜星涼さんに、2025年に向けた抱負を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「クリエイティブが発揮できないとか、予算がないとか、最近はテレビドラマに対するネガティブな言葉を聞くことが増えてきました。ですが、僕はテレビドラマを観て育ち、憧れを抱いて芸能界に入ってきました。各国が日本のドラマを真似る、ワールドワイドなコンテンツの時代もあったと聞きます。その良さを完全に手放してしまうのは、もったいない。だからこそドラマに立ち返って、先人に負けないくらいの熱量で取り組んでみたいと思っています」

ドラマ『ビーチボーイズ』に憧れ、反町隆史さんのいる現在の事務所の門を叩いたと、たびたびインタビューで語ってきた。さまざまな仕事を経験した20代を経て、30代では俳優業に飛び込むきっかけとなったテレビドラマで新たな挑戦をしたいと思いを吐露する。またこれからの10年間は、自分のレベルアップにも時間を費やしたいという。

「もっと英語を話せるようになりたいと思っています。これまでも何度か挑戦したのですが、そのたびに逃げ出してしまう自分がいました。フランクな会話ならできても細かいニュアンスを伝えようと思うと、お手上げです。もし英語が話せたら、外国の作品に出演したりと、仕事の幅が広がるというメリットはもちろんありますが、ただ学ぶ動機はもっと単純です。英語を使って、いろいろな価値観や文化の人とコミュニケーションしたい。いや、もっとフランクに言えば、仲良くなりたい(笑)。高い目標を立てるのではなく、目の前にあるちょっとした課題からクリアしていく。そうしないと気が遠くなって挫折してしまうし、そのほうが自分に合っているなと気づきました」

年齢を重ねたことで、目標への自分なりの最短距離が見えるようになってきたのかもしれない。

竜星 涼

大好きな先輩なので どんどん話しかけにいってしまいます(笑)

2月7日(金)には、映画『ショウタイムセブン』の公開が控えている。本作では阿部寛さんとドラマ『VIVANT』以来の共演になり、阿部さんが主役の元人気キャスターを、竜星さんは事件に巻き込まれる若きキャスターを演じている。

「阿部さんはすごく優しくて、気風の良い方です。こちらから話しかけやすい空気をつくっていただきつつ、同時に緊張感がもてるような距離を保って接してくださるので、馴れ合いになってしまうことがありません。常に人に対して思いやりがある方なので、大好きな先輩です。それに甘えて僕は、現場でもどんどん話しかけにいってしまいます(笑)」

今回の『ショウタイムセブン』では、爆弾犯が交渉役にかつて人気キャスターだった阿部寛さん演じる折本を指名する。そして、折本は降板した番組への復帰を狙って、その一部始終を生放送することを決断する。こうしたストーリーのため、渡辺一貴監督は、緊張感を演出するために、長回しを多用したという。

「ライブ感や緊張感を出すために現場では極力撮影を止めない長回しという手法が多く使われました。そのため主役である阿部さんは同じシーンを繰り返し撮ったり、長台詞があるシーンも多かったと思います」

最後に、『ショウタイムセブン』の見どころを語ってくれた。

「本作は、ニュース番組のスタジオを舞台に物語が進行していきます。そして、生放送中のシーンもあるため、観客の皆さんもどんな展開になるのか、放送を見ながら、ドキドキと事件を見守るような形になります。そして、最後には問題提起もあり、鑑賞後も人生を振り返って考えたくなるようなエンターテインメント作品になったのではないかなと思っています」

Information
映画『ショウタイムセブン』
1本の電話からはじまる
命懸けの生放送

映画『ショウタイムセブン』

2025年2月7日(金)全国公開

真実に鋭く切り込む取材スタイルが好評だった国民的ニュース番組「ショウタイム7」のメインキャスターを降板させられたアナウンサー・折本眞之輔(阿部寛)。そんな彼がラジオ番組の放送をしていると、1本の不審な電話が入る。それは、謎の男からの連続爆破テロ予告だった。直後に発電所から火の手が上がり、犯人は交渉人に折本を指名する。「一体なぜ自分が」と不審に思いながらも、第一線に復帰するチャンスとみた折本は生放送中の「ショウタイム7」のスタジオに乗り込み、犯人との生通話を強行し、放送することに試みるのだが……。

出演:阿部寛、竜星涼、生見愛瑠、前原瑞樹、平原テツ、内山昂輝、安藤玉恵、平田満、井川遥、吉田鋼太郎 
監督・脚本:渡辺一貴 音楽:照井順政 原作:The film “The Terror, Live” written and directed by Kim Byung woo, and produced and distributed by Lotte CultureWorks Co., Ltd. and Cine2000

竜星 涼
プロフィール
竜星 涼(りゅうせい りょう)
1993年3月24日生まれ。東京都出身。2010年4月テレビドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ)で、俳優デビュー。2013年2月からのスーパー戦隊シリーズ『獣電戦隊キョウリュウジャー』では、テレビドラマ初主演を果たした。主な出演作に映画『orange 』『泣き虫ピエロの結婚式』『ぐらんぶる』『弱虫ペダル』、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」などがある。また近年は映画『Gメン』『ラストマイル』『劇場版 ACMA:GAME 最後の鍵』、ドラマ『VIVANT』(TBS)、『ACMA:GAME アクマゲーム』、『光る君へ』(NHK)、『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』(日本テレビ)などに出演している。