自炊には慣れてきたけれど、最近レパートリーがマンネリ気味……。そんな人にうってつけなのが、スパイスカレーです。スパイスカレーは市販のカレールーを使わず、スパイスからつくっていくカレーのこと。名前だけ聞くと上級者向けに思えますが、最近は基本的なスパイスなら、スーパーでも手に入るため、手軽につくることができます。
また具材やスパイスの調合を変えるだけで、味が劇的に変化するため飽きがこないという長所もあります。さらにスパイスのオリエンタルな香りがキッチンに漂うだけで、なんだか異国を旅しているような気分になる優れもの。今回は、そんなスパイスカレーの調理に欠かせないオススメのツールを紹介します。
Styling&movie&photo:YASUNARI ARAI/Edit&Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)
2021.1.15
スパイスカレーは炒める、煮込むといった工程で調理が完結するため、鍋さえあれば簡単につくれてしまいます。そのため普通の深鍋でも問題ありませんが、せっかくならカレーに適した鍋を選んでおきたいところです。長く愛用するなら鉄製の鋳物鍋も良いのですが、重いのが難点。そこでオススメなのが、熱伝導に優れるアルミ素材を使ったココット鍋です。
鉄製と比べて圧倒的に軽く、まとまった分量をつくるカレーに向いているといえます。加えてセラミックコーティングなら、こびりつきにくく、お手入れも簡単。スパイス特有の匂いは、洗っても落ちにくく頑固に残るため、メンテナンスのしやすさも考慮しておきたいところです。
ちなみにカレーをつくったあとは、鍋をお湯でサッと汚れを洗い流してしまうのが、片づけのコツ。水ではなく、お湯というのがポイントです。そのほか、蓋は密閉できる遮熱タイプをおすすめ。ヘルシーな無水調理が可能になります。
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グリーンパン
「フェザーウェイト・ココット」有害物質を一切使用していない調理器具を使ったヘルシークッキングを推奨しているグリーンパンのココット鍋。従来の鉄製鋳物鍋の半分程度の重さながら、高い保温性と優れた熱伝導性を兼ね備えたカレーの調理にぴったりな逸品。
参考価格 22㎝/16,500円、 26㎝/22,000円
スパイスの香りを立たせるためにテンパリングしたり、たまねぎを飴色になるまで炒めたり、そして煮込むカレーを混ぜたりと、スパイスカレーのあらゆる工程で使うのがターナーです。
シリコン製、ステンレス製、ナイロン製、そして木製など、素材もさまざまですが、耐久性や溶けてしまうリスクを考えると木製が最も使いやすいといえます。また、先端がカーブしており、混ぜるだけではなく、具材をすくったり、押し付けて焦げ目を付けることができるタイプがベストです。
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ビクトリノックス
「ターナー」一見すると、普通の木べらに見えるが、先端が微妙にカーブしている形状のため、具材をすくったり、押し付けて焦げ目を付ける作業もとても楽。炒め物や煮物、ソースづくりはもちろん、スイーツづくりでの裏ごしなど、幅広い場面で使える。耐久性も高い。
参考価格 3,520円
香辛料は、スパイスカレーに欠かせない調味料ですが、すぐに使えるようパウダー状に加工されているものと、種(シーズ)のままで販売されているものがあります。より香りが豊かなのは後者ですが、使う直前にスパイスミルで挽き立てる、ひと手間が必要です。
ひと口にスパイスといっても、シナモンスティックのような堅いものから、クミンシードのような粒の小さいものまで、形状は実にさまざま。そのため、切れ味の鋭い刃をもち、粗さが微調整できるスパイスミルを揃えておくのがベターです。
肝心のスパイスですが、最初はクミン、シナモン、カルダモン、ターメリックなど、王道のスパイスを用意すれば十分。ハマったら、レッドチリやコリアンダーなど徐々にバリエーションを増やしていきましょう。
余ってしまったスパイスはマグネットタイプのスパイスボトルで保管すれば、ピタッと冷蔵庫に付けておけて、便利です。
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マイクロプレイン
「スパイスミル」粒状や棒状の調味料やスパイスを入れ、回転させるだけで細かいパウダー状に加工できるミル。アメリカで特許を取得したという独自の刃は切れ味が鋭く、ハードなシナモンスティックでも簡単にパウダー状に。また、クミンシードやホワジャオといった粒の小さいスパイスも難なく粉砕できる。
参考価格 3,960円
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山崎実業
「マグネットスパイスボトル タワー」マグネット付きで、冷蔵庫やパネルに接着することが可能。収納場所に困らず、調理中にサッと使えるというメリットも。スパイスボトルのほか、プッシュ式醤油差しや調味料ストッカー、小麦粉&スパイスボトルといったアイテムもある。一式揃えれば、ディスプレイのようなおしゃれな収納が完成するはず。
参考価格 605円
ライスと合わせるのが、カレーの定番ですが、スパイスカレーはインドの家庭料理・チャパティとの相性も抜群です。全粒粉と塩と水とサラダ油があればつくれるし、ナンのような発酵時間や窯は不要といたって簡単。全粒粉と塩を入れて混ぜ合わせたら、水を3回に分けて加えながら、さらに混ぜていきます。サラダ油も加え、生地がまとまってきたら、なめらかになるまでこねます。
ラップをして、30分ほど寝かせ、その後、等分に切り分けます。最後に麺棒などで、2ミリ程度の厚さになるまで、丸く伸ばしたら、焼くだけ。本場インドでも使われている鋼鉄製のチャパティパンを使うなら、生地が引っ付かずに焼け、気分も俄然と盛り上がります。
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「鋼鉄製のチャパティパン」
インドから直輸入されている鋼鉄製のチャパティパン。木の把手で使うほど、味が出てくる。表面が平らで、適度なサイズ感は、まさにチャパティパン専用。使用後にサッと油を塗ってメンテナンスしておけば、孫の代まで使えるはず。
参考価格 2,000円
荒井 康成 YASUNARI ARAI
料理道具コンサルタント/Kitchenware Stylist
洋菓子店店長、和陶器店主を経て、フランス陶器エミール・アンリ社の日本法人設立に携わる。以後、日本初の「料理道具コンサルタント」として独立し、「料理通信」「ELLE gourmet」など、各食情報誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、Panasonic「ふだんプレミアム」や魔法びんのパイオニア「サーモス」のInstagramディレクション、「キユーピーサラダクラブ」や「カルビーフルグラ」など食品会社の販促物スタイリング撮影、食の学校「レコール・バンタン」では講師として、多岐に渡り活動中。著書に「ずっと使いたい世界の料理道具」(産業編集センター刊行)。http://www.araitools.com