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穏やかな陽光が心地よい季節。そんな春の明るい日差しには柔らかなパステルカラーがよく映える。「色」を巧みに使ったワンランク上のスタイルでゆったりと贅沢な時間を過ごそう。

Photos:SATOSHI OSAKI
Styling:YUKIHIRO YOSHIDA
Hair&Make:KEISUKE SAKAI

定番のネイビージャケットも

淡色ストールと合わせて春仕様

トレンドカラーのグリーンは

光沢ありで差をつける

シックにまとめたトップスには

カラーパンツの外しが効果大

春のカラーニットは

素材感ありのピンクが○

Interview

 時代劇から現代劇まで、軽妙な男からシリアスな難役まで、多彩な役を演じ分ける北村有起哉さん。1998年に俳優としてのキャリアをスタートさせた実力派で、20代の頃は、舞台挨拶や取材のオファーがあると、自前で衣裳を準備するほど、作品と衣裳の関係性には強いこだわりを持っていたという。

「2001年に今村昌平監督の『赤い橋の下のぬるい水』という映画に出させてもらった際に、舞台挨拶で、どうしても赤い靴を履いて登壇したくなりまして。あちこち探し回り、PATRICK COXでようやくこれだ!という赤い革靴を見つけたんですが、自分に合うサイズがなかったんですよ」

 取り寄せればもちろん手に入るが、翌日に迫った舞台挨拶には間に合わないと思い、ふと店員さんの足元を見ると、お目当ての赤い革靴を履いていた。
「後日、必ず購入するので、店員さんが履いている靴を1日だけ貸してくださいと頼み込みました。たまたまサイズが同じだったという幸運も重なって、無事、赤い靴で登壇できました」

 一度、気になった洋服との出会いは運命だと考え、縁を感じるのだという。
「今度舞台で強制収容所の囚人の役を演じるので、体重を落としている最中なのですが、そのせいで体型が変わり、着られなくなる服も増えてきました。そんなときは、自分の身勝手でお気に入りの服たちとお別れしないといけないのかと思い、申し訳なくなります」

 北村さんが体重を落としているのは、7月から始まる舞台『BENT(ベント)』での役作りのためだ。『BENT』は1979年にロンドンで初演され、その後、ブロードウェイでも上演された名作劇で、1930年代のナチス政権下のユダヤ人強制収容所を舞台に、同性愛者たちの悲劇を描いている。日本では1981年の初演以来、役所広司さんや椎名桔平さんなど、日本を代表する俳優陣が出演しており、今回は佐々木蔵之介さんとタッグを組む。

「いまの僕らにはとても想像もできないような過酷な状況が描かれるのですが、最後には人間の尊厳というか、皆さんに希望を感じていただけるお話になっています。大役ですし、プレッシャーを感じていますが、すごい作品に出会えたことを幸せに感じています。なかなかここまで自分を追い込まないといけない役は、そうありませんから。囚人という役に説得力を持たせるために、肉体を絞る必要があるんですよ」

 そんなストイックな日々を送るなか、今回の撮影は、別の意味で良い刺激にになったようだ。
「昔からお洒落をすることは好きなんですが、しばらくその気持ちに蓋をしていたんです。デパートに行っても最近はほとんど買い物をしていなくて、自分でもここまで変わるんだって、驚くくらいでした。でも、今日はいろんな洋服を着させてもらって、自分のなかのアンテナがピピっと反応してきちゃいました。どの衣装も欲しくなったし、なぜか地中海に行って、ワインでも飲みたくなりましたよ。それくらいテンションがあがりましたね。あらためて自分は洋服が好きなんだなって思いました」

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