
暮らし・住まい
53歳のピュアな野心。26歳の相棒と繰り出した「YouTube」という冒険——料理人・川越達也
2026.03.16
かつてお茶の間を沸かせたスターシェフ「川越達也」が今、YouTubeで等身大な魅力を放っている。PC音痴の彼を動かしたのは、26歳の若き起業家がぶつけてきた情熱だった。「川越シェフだよ。」「川越シェフだぜ。」という新たな遊び場で見せる意外な素顔、そして20年ぶりに新調したコックコートに込めた想い。これまでメディアで語られなかった“ここだけの話”から、彼の清々しい再始動を紐解く。
春は、「はじまり」の季節。新しい環境に高揚感を覚える一方で、不安を抱えながら迎える新生活も少なくない 。今注目を集める「あの人」を紐解く、新生活の記憶と彼らが好きなモノの話から、自分自身の「はじまり方」を見つけてみてはいかがだろう 。
Photo:Yuto Kuroyanagi/Text:Kazuyuki Nomura
無茶ぶりされると「まだ見ぬ自分」に出会える
——しばらく表舞台での露出はありませんでしたが、なぜこのタイミングでYouTubeをやってみようと思ったのですか?
2年くらい前かな。今チャンネルを手掛けてくれている荒木から突然連絡もらって、「川越さんでYouTubeチャンネルをつくりたい。一緒にやってくれませんか!?」と言われたんです。話しを聞くとまだ26歳で、大手企業を退職して起業したのだと。いきなりそんなこと言われて驚いて、最初は断ろうと思っていました。でも、とても熱意を感じたので、では一回会ってお話ししましょうということで、友人のレストランで会ったんですよ。その時点でも丁重にお断りするつもりでいたのですが、実際に会って説得されるうちに、荒木の人柄も面白くて、ビジョンもしっかりもっているし、なんだか面白そうだなと段々思うようになってきて。結局そのレストランで8時間話して、じゃ、チャレンジしてみようということになったんです。
——ある程度年を重ねると、チャレンジすることが怖くなることもあると思います。不安はなかったですか?
もちろん全くないというわけではなかったですが、それよりも楽しそうだなという気持ちのほうが強かったですね。あと、うちのスタッフは多くが20〜30代の若い子たちなので“応援してあげたい”という気持ちもどこかにありました。僕も20代中盤の頃に起業したのですが、まわりに親身になって応援してくれた大人がいなくて苦労したんですよ。今は僕も人生経験を重ねてきて、チャレンジする若い人たちの相談にものってあげられるし、何かしら役に立てるのかな。そういう役割を担えるのかなと思って。
――YouTube動画にはもともと興味があったんですか?
いや、それが全く。見ることはあったのですが、自分がやるというイメージは全然できなかったですね。そもそも、パソコンだってほとんど触ったことがない。だから、基本的には僕の意見はなくて、荒木はじめスタッフが「川越にやらせたい」企画を考えて、僕がそれをやってみるというスタンスです。
——なるほど。だから結構無茶ぶりのような企画もあるのですね。
そうなんです(笑)。最近はサブチャンネルの「川越シェフだぜ。」のほうではかなりバラエティ要素の強い企画をやっていますが、僕も53歳になりましたが、まだ見ぬ自分に出会えることがあり本当に楽しいですよ。僕は基本的によっぽどのことじゃないと嫌とは言わない。スタッフとも年齢とか立場を越えて、何の隔たりもなく皆んなが楽しみながらやっているので、そのあたりの空気感も動画を通してお届けできているのかなと思います。
迷った時に選ぶのは、「敢えて負荷が強そうなほう」
——今回、テーマが「新生活」ですが、これから新生活を迎える人たちに何かアドバイスなどありますか?
僕も10代、20代とシェフとして生きていくうえで色々環境が変わってきましたが、どちらの道に行くか迷った時には“負荷が強そうな方”を選ぶようにしていました。働くお店を選ぶ際も、その時の自分の実力よりも上のレストランに頑張って背伸びして行っていました。もちろん、その分しんどい思いをするのですが、結果的にそのほうが断然成長できると思います。
——なるほど。川越シェフは結構楽天的なほうですか?
う〜ん、どうなんだろう。でも昔から自分に言い聞かせているのは「元気があれば、何でもできる」ということ。子供の頃から体が強いほうじゃなかったし、大人になるにつれ自分のやりたいことをさまざまな事情でできない人とかも見てきたなかで、元気さえあればどうにでもなるし、どんなことだってチャレンジできると思っています。それこそ、年齢とか、立場とか関係なく。
シェフの日常を支える「誠実な」道具たち
——川越シェフのお気に入りの調理道具を教えてください。
このまな板は、“顔の見えるライフスタイル”を提案するECサイト「TADORi」と、宮城県のKURIMOKUとの共同開発で作ったまな板。宮城県産天然銀杏の一枚板でつくられており、防腐剤や塗装剤も使われていない無添加仕様なのがお気に入り。通常のまな板よりも厚く設計されており、野菜などを切る際も包丁がサクッと入り調理が快適です。
これも昔から使っている貝印のスクレッパーです。もともとは生地を切ったり、ならしたりする製菓用のアイテムですが、包丁で切ったものをフライパンや鍋に入れる際に使っています。みじん切りした小さな野菜とかでもサッと集めることができて便利です。
——川越シェフの気分がアガるものを教えてください。
実は最近、20年ぶりにコックコートを新調しました。今までは昔ながらのオーソドックなコックコートを愛用していたのですが、最近のコックコートって結構シルエットや襟の部分とかもスタイリッシュで、昔とはちょっと違うんですよ。それで、いいなと思って新調してみました。やっぱり新しいコックコートを着ると、テンションがあがりますね。デザイン違いで2型つくってもらったのですが、選ぶ時はスタッフ皆んなの意見も聞いて決めました。その際の様子も動画になっているので、ぜひ見てみてください。
50代の装いは「崩し」の塩梅でスイッチを
——コックコートのイメージが強い川越シェフですが、普段着もとってもオシャレ。ファッションは好きなのですか?
ジャケット/THE FLAT HEAD、パンツ・シューズ/AOURE、ニット/ISSEY MIYAKE
昔からファッションは好きです。なんとなく家を出る時に気分のスイッチをオンにする意味でも、好きなモノを着ていたい。特に意識しているのが、キレイになり過ぎないよう、どこかにカジュアルなアイテムを入れてバランスをとること。そのあたりのメリハリを考えてコーディネートするのが好きです。
あと、季節感も結構意識しています。今日のように春めいてきた日だったら、ペールトーンのニットを取り入れてみたり。気分的なものですが、ちょっとしたことでその日の気分って結構変わってくるので。
外出する時に着けてないと落ち着かないのが時計。たくさん持っているワケではないですが、DIORの時計が好きでこれは10年以上愛用しています。自分が本当に気に入ったもの、好きなものは大事に長く使うことが多いですね。
新しいことに挑戦して、皆に楽しんでもらいたい
——最後に、今後の目標を教えてください。
YouTubeをはじめて意外だったのが、昔僕のことをテレビなどで見てくれていた人たちだけでなく、全然当時を知らない若い世代の人たちもチャンネルを見てくれていること。なんかそういうのも励みになるし、嬉しいですね。これからもこのチームで頑張って皆さんに楽しんでもらえたらと思うので、ぜひチェックしてみてください。
【INFORMATION】
■公式YouTubeチャンネル①
『川越シェフだよ。』
https://www.youtube.com/@kawagoechef_dayo
■公式YouTubeチャンネル②
『川越シェフだぜ。』
https://www.youtube.com/@kawagoechef_daze
■公式YouTubeチャンネル①
『川越シェフだよ。』
https://www.youtube.com/@kawagoechef_dayo
■公式YouTubeチャンネル②
『川越シェフだぜ。』
https://www.youtube.com/@kawagoechef_daze





