ファッション
グローバルでサステナブルなアウトドアブランド「Cotopaxi」(コトパクシ)が2023年飛躍の予感!
2022.12.28
本来別の目的で製造された他社アイテムの高品質な残材を利用し、唯一無二な製品を作り出したアメリカ発のサステナブルなアウトドアブランド「Cotopaxi」(コトパクシ)。アメリカのミレニアル世代(1981年〜1996年の間に生まれた世代)を中心に人気が高く、日本でも環境意識の高い層に人気のブランドだ。2023年には新店舗を構え新たな展開をみせる「Cotopaxi」の取り組みと人気商品について、アルコインターナショナル株式会社の川島クリスティーナさんに聞いてみた。
取材/TAKANORI ITO
協力/辻井国裕(office borshch)
サステナブルを実現する「世界でひとつだけ」のバッグ
―― 本日はよろしくお願いします。「Cotopaxi」はアメリカのブランドですよね。
「『Cotopaxi』はアメリカのユタ州ソルトレイクシティで、2014年に誕生したブランドです。創業者のデイビス・スミスは幼少の頃中南米に住んでいて、そこで生活する人々の間に格差を感じた経験があることから、そういう状況を軽減すべく、ブランドに関わり一緒に仕事をする人たちの労働環境と生活水準を向上させる取り組みに力を入れています。アイテムによって異なりますが、バッグはフィリピンで、ロゴウェアやTシャツ、キャップなどの小物はフェアトレード認定工場で生産されているなど、パートナーシップを大切にしながらブランド展開しています」
――ブランド名にはどんな意味があるのでしょうか?
「ブランド名の『Cotopaxi』とは、アンデス山脈エクアドル側で活動する成層火山の名前です。コトパクシ山は、地元文化の一部を形成するとともに、近くのアンデス先住民社会では神聖な山として尊重されています」
――「Cotopaxi」にはどんなアイテムがあるのでしょうか? 代表的なものは、残材を使ったリュックですよね。
「『Del Día』(デルディア)というラインがありまして、他のブランドが製品を作った際に出た、残材を利用して作ったバッグになります。本来捨てられてしまう生地をパーツで縫い合わせて作るので、世界に2つとない個性的でカラフルなアイテムができあがると同時に、資源を再利用することができます。この『Del Día』のラインで、ブランド設立当初から作られているのが、『LUZON』(ルソン)というモデルです。大きさが、18リットルと24リットルの2種類あって、それぞれ機能が少しずつ違います」
――世界で同じものが絶対にないというのがいいですね。これが世の中に広まって「Cotopaxi」が有名になったんですね。
「そうですね、それに続くのが『ALLPA TRAVEL PACK』(アルパ トラベルパック)というモデルです。こちらのモデルもDel Díaコレクションで残材を使用しているのですが、スーツケーススタイルでコンパートメントになっているバッグです。長い旅行等には大容量の『42Lモデル』がおすすめです。バックパックスタイルのほか、頑丈なサイドのハンドルを使用したキャリースタイルと、付属のワンショルダーベルトを使用した持ち運びも可能です。普段使いにおすすめの『28Lモデル』というサイズもあります」
――この2つが中心になっているんですね。他に注目されているモデルはありますか?
「こちらは『BATAC』(バタック)というモデルで、軽量かつマルチに活躍する人気のモデルです。16Lはもともと大きなトラベルパックと組み合わせるようにデザインされているので、他のバッグにも収納しやすく、24Lは旅行やハイキングなどのアクティビティから通勤・通学やジム通いなど、日常使いも可能な汎用性の高いアイテムです。この3モデルは、『Cotopaxi』にとって非常に重要なものになっていると言えます」
2023年東京・下北沢にフラッグショップがオープン
――「Cotopaxi」はバッグだけではなく、洋服もリリースされていますが、その全てがサステナブルなアイテムだと聞いています。
「人気はこちらの『Teca Fleece Pullover』(テカ フリース プルオーバー)というプルオーバーのジャケットで、100%リサイクルポリエステル素材を使用しています。クラシックなスナップボタンを採用したプルオーバー仕様のデザインで、単体のジャケットとしてもミッドレイヤーとしても最適なアイテムです。最高クラスのリサイクルフリースと、他社で生産された際に残ったポリエステルタフタにDWR(耐久性撥水)加工を施した素材を使用しています。これにより、捨てられるはずだった最高品質の素材も余すことなく利用され、商品としてリリースされます。レトロなカラーリングが人気ですね」
――可愛いデザインですし、値段的にも手頃でいいですね。ダウンジャケットもあるのでしょうか?
「こちらは『Cotopaxi』定番のダウンウェア『Fuego Hooded Down Jacket』(フエゴ フーデッド ダウンジャケット)です。800フィルパワーのグースダウンを使用しております。こちらのアイテムはResponsible Down Standardに準拠したRDS認定ダウンを使用しているのですが、この認証基準は、人道的な方法で動物から採取したダウンとフェザーを使用していることを保証しているものです」
――2023年1月10日に東京・下北沢に旗艦店ができるとお聞きしました。どんなお店になるのでしょうか?
「現在、大阪に店舗があるのですが、関東初出店が東京店になります。アメリカの店舗ではさまざまな国の人が働いているのですが、東京店でもその雰囲気を大事にして、グローバルなスタッフにも入ってもらいたいと考えています。『reload』(リロード)という下北沢駅前の再開地なのですが、路面店のような建物で素敵な場所ですよ」
――2023年新しい店に伺うのを楽しみにしています。本日はありがとうございました。
「Cotopaxi」のバッグには「Made in the Philippines with Pride」(メイドイン、フィリピンウィズプライド)と書いてある。工場とのパートナーシップのもと、「DEL DÍA」というラインが生まれ、廃棄物の削減を成し遂げ、そして「Cotopaxi」は毎年自社の財団であるCotopaxi Foundationに年間収益の1%を割り当て、社会へ還元している。財団は、社会環境の向上や貧困緩和の分野において実績のある非営利団体を慎重に選定し、助成金を授与している(2020年においては、財団は34の非営利団体に助成金を授与するとともに、75万人を支援し、40万ドル以上を寄付)。本国アメリカでは、Instagramフォロワー数27万人の「Cotopaxi」。プロダクトが優れていることはもちろん、環境問題や労働環境の改善に向き合う姿勢も含め、多くの人に支持されている本ブランドに、今後注目だ。
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伊藤孝法
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1973年北海道生まれ。中目黒の老舗セレクトショップOUTPUTオーナーで、さまざまなブランドのPRなども手掛ける。2014年、WWD日本のファッショニスタ100人にも選ばれ、自身のYOUTUBEチャンネル「ファッションとカルチャーとme」も更新中。