ファッション
【やっぱりMUJI(無地)が好き Vol.1】
〜僕の良品計画〜 夏はリネンだ
2022.08.29
ファッションシーンからは少し離れた場所で、人々に愛される服をつくるブランドがある。インテリアから日用品、ましてや食品にいたるまで幅広く展開する【無印良品】だ。“人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会”が経営理念にある良品計画がつくるブランドだから、流行よりも日々の生活に寄り添うことを大切にしていて、時代に左右されることなく愛され続けている。かくいう僕もそんな無印良品に魅せられた男の一人だ。お洒落玄人から僕のような若輩者まで、誰にとっても相応しくあってくれるMUJI(無地)について少し語りたい。
Photos : KENTO SHINADA
Styling&Text : RYOUJI HORIUCHI
Model : DAICHI SHO
着込むほどになじむリネン100%のジャケット
自然素材にこだわった無印良品が、毎シーズンこれでもかと展開するのがリネン100%のアイテム。なかでもこの「フレンチリネン ジャケット」は、ベーシックで昔ながらの背広感漂うカタチが秀逸だ。巷で流行りの開襟シャツを合わせ、昭和にタイムスリップしたかのようなこのレトロな雰囲気を楽しもうじゃないか! と思わせる魅力がある。
着心地はというと、裏地は無く風通しの良さとシャツのような軽さで見た目ほど暑くない。袖口は本切羽(飾りボタンではなく、開け閉め可能な丁寧なつくり)なので腕捲りもしやすい。加えて内ポケットはスラッシュポケット(タテ型のポケット)になっているので、物の出し入れも楽チンという粋なつくりだ。更に、ボタンまで木でできているというから驚きだ。まさに、オール天然素材の一着である。
見た目も穿き心地も秀逸な天然イージーパンツ
イージーパンツとは、快適さと穿き心地の良さを追求したパンツのことで、昨今さまざまなブランドからリリースされるトレンドアイテムである。しかし、昨今のイージーパンツは機能性を重視した素材使いが主流なのに対して、無印良品は直球勝負のリネン100%である。しかしながら、この「フレンチリネン パンツ」の穿き心地はまたしてもとても良い。
肌触りの良いリネンの質感はもちろん、太ももから裾にかけてしっかりとテーパードが効いている上に、レングスはくるぶし丈になっているのでスッキリして見える。何よりジャケット同様に穿き込むことで麻の独特な風合いが増し、唯一無二のシワとなって身体になじんでいくのが堪らない。パンツのみでも十分素敵だが、先に紹介したジャケットと合わせて、セットアップにするのが◎。
流行りの開襟シャツを和風に着こなす
生成りのセットアップに合わせたのは、アメリカの名門シャツブランド「インディビジュアライズドシャツ」の半袖開襟シャツ。無印同様に素材はリネン100%なので夏の装いにもってこいの一着だ。インディビジュアライズドシャツはさまざまなセレクトショップで取り扱われ、アメリカのみならず日本国内においても人気の高い質実剛健なブランド。
時代に流されない物づくりをしているということは、常に男心をくすぐるのだ。古き良き日本を感じる生成りのセットアップに、開放的な深めのVが特長のこのシャツをサラッと素肌に着て、男の色気を醸したい。
伊達男へ導く。ヴィンテージ感漂うサングラス
癖のある着こなしの小物は、潔くサングラスだけがいい。リネンのセットアップと相性バッチリな茶色いガラスレンズが入ったこのサングラスは、開襟シャツ同様にアメリカ生まれの人気アイウェアブランド「オリバーピープルズ」のサングラス(モデル名 Weslie Sun)だ。ゴールドの細身のフレームの随所に彫金が施され、かけるだけでクラシックでありながらエレガントな雰囲気を纏うことができる至極の一本だ。
足元には永遠の定番を添える
ここまでくるとついつい下駄を合わせてしまいたくなる気持ちを抑え込むのは、履き心地に定評のあるビルケンシュトックのサンダルを知っているからだ。独自開発されたブッダベッド(インソール)は、一度履いたらやみつきになること間違いなし。更に老若男女問わず大人気の定番モデル「Zürich」は甲をしっかりと包み込んでくれる上に、ダブルストラップのデザインがシンプルに良い。服との色合いもマッチしていて、足元を主張し過ぎないのがポイントだ。
このように無地のアイテムはデザイン性ではなく、モノの本質である"素材感”や"カタチ”と向き合っている。そして、着る人のことを大切にしているモノづくりだからこそ、“僕はやっぱりMUJI(無地)が好き”なのだ。